あんぱん

出番もセリフも少ないし、素朴で寡黙で、ほとんど顔も上げないで仕事をしている豪。見せ場は蘭子と過ごす出征前夜という感じでしたが、細田さんはとても丁寧な芝居をしていたと思います。

生い立ちもあり、釜じいなどがいくらかわいがっても、いろいろとわきまえている感じが伝わってきましたし、それでも出征前夜には蘭子を受け入れ、芯の通った強さも感じさせました。

私の祖父は宮大工で石屋でもあったのですが、細田さんの手元を見る限り、石屋の仕事もちゃんと練習したように思えます。

短い出番でしたが、印象に残る良い芝居だったと思います。

ほんとに澄んだ綺麗な目をしていて、ヤムさんのいい奴から死んでいくって言葉がリンクしてしまうようで悲しくなった。宴会で蘭子が歌う姿にいつになくいい笑顔で、この笑顔が最後にならないといいなと願ってしまった。

パン競走での走りっぷりが、ちゃんと足が遅い人のそれに見えるのが凄い。無駄に力が入っていて足が重そうで、素人目にも走るのが苦手ってはっきり分かるところが良かったし、きっとビリになるって分かってただろうに、親方のために恥をかく覚悟でちゃんと参加する男気も格好良かったです。

お辞儀がかっこいいと思ったら、片膝ついて座っているところもかっこいいんだよね。親方によく仕込まれているのか親御さんがすごいのか。それだけで石屋の格が上がるってもんです。小さいメイコにまでさん付けでお姫様のように扱うところが紳士的で素敵でした。