警部補ダイマジン

占部に殺される時の恐怖と悔しさが入り混じったような表情と鋭い視線が、迫力ある殺害シーンとともに印象に残りました。あんな執念や恨みが籠った目で見られたら一生頭から牡丹の顔が離れなくなりそう。メインキャストの中ではクスっと笑えるようなコミカルな演技を見せてくれることが多く、嫌味なエリートだけど親近感のある良いキャラを作り上げていたので、亡くなってしまった時のショックや喪失感が大きく感じられたのも良かったと思います。

44についての見解を台場に語る時の熱い口調や表情が、いつもと様子が違って違和感があり、ラストの展開への良い伏線になっていたと思います。44のスパイで間違いなさそうだけど、平安に問い詰められた時の「裏切ったのはあなたです！」という言葉も真実味を帯びていて苦し紛れの嘘には聞こえなかったし、色んな謎を残したまま殺されてしまった影響もあって、今までで一番存在感を示していたと思います。

台場に「余計なことしてくれたよな」と心底憎々し気に嫌味を言う姿が牡丹らしくて良かった。相当しつこく事情を聴かれて嫌な思いしたんだろうなって、牡丹の苛立ちと身内に事情聴取される悔しさが伝わってきました。エリートでプライド高そうだもんなあ。出番は多くないけど、毎回「牡丹らしいなあ」「牡丹なら言いそう」って感じられるしっかりしたキャラ設定と演技が凄いなと思います。

内藤の逃走をへっぴり腰のとうせんぼで阻止しようとしたり、急所の足の傷を攻撃されて悶え苦しんだり、エリートで良いスーツ着て見た目はキメまくってるのに毎回格好良いところゼロな気の毒さがキャラクターとして面白いです。足を攻撃された時の叫び声や暴れっぷりも凄いけど、そのあと脂汗をかいていたり、体に衝撃を与えないように話し声が抑えめになっていたり、目が据わっていたり、後を引く痛みと必死で戦う姿もリアルで、でもちょっとコミカルさもあって悲壮感を出し過ぎないところが上手いなと思います。

中野を保護する時の苦虫を嚙み潰したような表情や、ねっとりした嫌味な口調が、足を撃たれた恨みや助けるのが心底癪だという牡丹の心情そのままって感じで良かったです。エリートインテリなはずなのに、冷静さ皆無で感情全部顔に出ちゃってるのが面白い。やたら上から目線な態度も「助けてやるのは俺たちだ」って誇示して優位に立ちたいっていう牡丹の器の小ささを感じさせて良かったと思います。

足を撃たれて殺されかけたのにあまり心配して貰ってないし、怪我が治ってないのに捜査であちこち歩き回されるし、エリートなのに相変わらずちょっと残念で気の毒なキャラが牡丹らしくて面白かったです。行く先々で傘や箒、モップなどを杖代わりにしてヨロヨロ歩いてたり、ちょっと足に衝撃を喰らうとめちゃくちゃ顔を顰めて痛みを我慢したり、はっきり映っていないシーンでもずっと細かい芝居を続けているところも好感が持てます。

平安を助けに行ったはずなのに速攻で一緒に捕まってしまうし、足を銃で撃たれるし、大袈裟に喚いてめちゃくちゃうるさいし、少ない出番でも牡丹の鈍くさくて残念なキャラクターをしっかり印象づけていたのが良かったです。小綺麗なスーツや眼鏡姿もキャリア組らしいきちんと感が出ていて良かったし、撃たれて喚いている時も犯人に「シーッ」と窘められた途端すぐに声を押し殺して黙るなど、長いものには巻かれろ的な典型的な組織人間らしさが感じられたのも、牡丹の人間性が感じられて良かったと思います。