癒やしのお隣さんには秘密がある

田辺桃子さん…見た事あるけど名前までは知らなかった女優さんでしたがドラマを観ていて演技の上手さに感心してしまい『誰？』と検索してしまいました。
ドラマの内容も楽しみではありましたが個人的には藤子の自然体な演技に『この子すごいなぁ』とどの立場目線かょ、ですが惚れぼれとしながら観察してました。他の作品でどのような役柄を演じているのか興味が湧いたので見てみたいと思います。有名で人気があるけど何を演じても同じにしか見えない役者より何倍も価値のある女優さんを見つけた気がします。

仁科に自分の想いを伝える時の真っすぐな眼差しや迷いのないすっきりした表情がとても良かった。これまでの何処か頼りなくて守ってあげたくなるような雰囲気とは違う強さがあって、藤子の内面の成長が感じられました。怯えて声も出なかったり、強張って動きがぎこちなくなったり、恐怖の演技がドラマにありがちなオーバーなものではないところもリアリティがあって上手かったです。

仁科に「どうして普通に話しかけてくれなかったのか」と泣きながら訴えるシーン、もどかしさや悔しさが入り混じったような辛そうな表情が印象的で、仁科のことが本気で好きだったことが伝わってきて切なかったです。坂本を振るシーンも、真っすぐ坂本を見つめて、相手を傷つけないように言葉を選びながら、素直に自分の気持ちを伝える姿が優しくて誠実な藤子の人柄を感じさせて良かったと思います。

泣き叫びながら必死で仁科の自殺を止めようとする姿、力づくで安全な場所に引っ張り込む勇敢さ、ホッとして泣き笑いしてしまうピュアさ、人生に絶望して死を覚悟した時にこんなにも自分のために一生懸命になってくれる人に出会ったらそりゃあ心惹かれてしまうようなっていう説得力がありました。坂本を意識し過ぎてあからさまに動揺したり動きがロボットみたいになってしまうところも初々しくて可愛かったです。

「平和だ」と呟くシーンが何度かありましたが、ホッとしているだけでなく、心にぽっかり穴が開いているような何処か寂しげな雰囲気があるのが印象的でした。仁科への恋心が思った以上に大きかったことが伝わってきて、どうして普通に出会えなかったんだろうって切なくなってしまいました。余計なことを考えなくて済むようにと仕事に没頭する姿や、心配をかけないようにと無理して笑っているような陰りのある笑顔も、手を差し伸べたくなるような儚さや健気さを感じさせて良かったと思います。

咄嗟の嘘が苦手だったり、誤魔化す時に挙動不審になったり、追い込まれている状況でも素直な良い子っぷりが変わらないところが藤子らしくて良かったです。何処か頼りないというか、控えめで守ってあげたくなるような雰囲気があるところも、仁科のようなストーカーに狙われてしまう説得力があります。段ボールに書かれた「ごめんなさい」というメッセージを見た時の少し寂しげな何とも言えない表情も、藤子の複雑な心境が伝わってきて良かったです。

値段を確認しながら食材を選ぶ堅実な姿や、タイムセールでゲットした戦利品を満足げに見つめる表情、同僚に向ける屈託のない笑顔、飾らない自然体な姿はお坊ちゃん育ちの仁科にとって新鮮で眩しく、さぞ魅力的に映っただろうなあって仁科の回想シーンを見ながら思いました。平穏に暮らしているその辺にいそうな普通の子っていう雰囲気がちゃんとあって、ストーカー被害に遭ってしまう恐怖がよりリアルに感じられるところも良いと思います。

部屋着のまんま飛び出した藤子。友達がたくさんいるところにいても仁科さんに似たスーツを着ている人が近くを通るだけで飛び上がるほどびっくりしていたのがすごくリアルだなと思いました。本当に怖いんだなと伝わったと思います。

おっとりして穏やかな藤子が、全力で仁科を拒否する姿が恐怖やショックの大きさを物語っていて印象的でした。忠告を聞き入れなかったことを坂本に詫びたり、デート中の田辺を気遣ったり、自分が大変な時でもきちんと周りに気を配る姿も藤子らしくて良かった。見た目の可愛らしさはもちろんだけど、こういう何気ない優しさや気遣いが出来る人柄の良さが男性3人に好意を寄せられる説得力を感じさせるところも良かったと思います。

すごく謙虚で地味だけど華がある。とても清潔感があってヒロイン向きですね。癖のある役で光ると思っていましたが、正統派でもキラキラ輝いています。ただ叫ぶというよりもじわじわくる恐怖の表現がとても上手いと思います。

仁科のストーキングに気付くシーン、事情が飲み込めず茫然とした表情から徐々に恐怖が沸き上がってくるまでの様子がとても良かったです。こういったシーンでよく見るオーバー気味な芝居ではなく、凍り付いたような表情や瞬きを忘れて潤んだ目元、震える声など、控えめで繊細な演技でショックの大きさや恐怖を表現しているところがリアルで、さすが上手いなと感じました。

「仁科さん早く帰って来ないかなあ」って待ち遠しそうにしていたり、食事の約束をした時も「これってデート？」って浮かれていたり、自分の好きな子がこんな反応してくれたら嬉しくて堪らないだろうなっていうお手本のような表情や仕草がすごく可愛いです。それがあざとくなく自然に見えるところも魅力的。仁科の前でも気取らずに美味しそうに餃子とビールを堪能する姿も、藤子の飾らない素直な人柄が感じられて良かったです。

弟と一緒に仁科が自分の部屋にいた時のテンパった姿や、ご飯を作る約束をする時のはにかんだような笑顔、控えめで初々しい反応がとても可愛らしくて、複数の男性に一方的に好意を寄せられてしまう説得力があります。恋愛中特有のキラキラしたオーラも放っていて、そのほんわかと幸せそうな姿が、狂気じみて卑劣なストーキングシーンとギャップがあり、より仁科の異様さと怖さを際立たせているところも良かったです。

めちゃくちゃ怯える演技が上手い。仁科さんが爽やかイケメンだからすっかり怖い部分を忘れていたけれど、誰かに付きまとわれる恐怖をすごく体現してくれたからストーカーの怖さが伝わった。仁科さんにはこんな風にさせないでほしいな。

仁科に助けられた時に泣き出してしまうシーン、すごくリアルで上手かったです。表情や強張ったまま、身体が震えて涙が勝手に出てきてしまう姿が恐怖とショックの大きさを物語っていて、庇護欲を掻き立てられるというか、仁科が思わず抱き締めてしまう説得力がありました。坂本の好意に全く気付いていないところも、藤子の無防備さや鈍感さを感じさせて良かったと思います。

上村にこれ以上藤子さんが汚れていくのを見ていられないと言われるのも分かるなーと思いました。すごく素直で優しくて自分だけのものになって欲しくなっちゃうんだろうな。だけど同じ分だけ他の人にも優しいから男の人が狂っちゃう。悪気はないけど罪だなと思いながら見ています。

仁科と話している時の楽しそうな笑顔や安心してリラックスした雰囲気が良いですね。仁科に好意を持って信頼しきっているのが伝わってきて「癒しのお隣さん」というフレーズに説得力を感じさせます。怯えて息を呑んだり、動揺や恐怖で上手く話せないところ、震えながらも必死で平静さを保とうとする姿など、恐怖に怯える演技もリアルで良かったです。

可愛らしいどこにでもいそうな普通の女の子という雰囲気があって、それがストーカーという日常に潜む恐怖をよりリアルに感じさせて良いですね。無防備で隙がある危なっかしい感じも自然に醸し出していて、仁科に執着される説得力がありました。仁科と話している時のはにかんだような笑顔や、顔を合わせる前に髪型や服装を直す姿も新しい出会いにときめく女の子らしさがあって可愛かったです。