グッド・ファイト

新人弁護士が父親の投資詐欺に巻き込まれるが、ハッキリせずに観てイライラする。それ以外はおすすめです。

名前を隠してやってきたスタックがゴミ袋を要求したとき体調が優れないのかなと心配したのですが、そこに札束を入れ始めたのが面白かったし、アメリカのドラマっぽいなと思えて楽しくました！でもお金払って弁護士を利用して自分の犯罪を成立させるっていう考えが異質すぎて、スタックが主役のドラマもできそうだなぁと考えてしまいました。
ヘンリーは刑を受けたくないからと逃げる画策をしていて、どこにそんなお金があったんだと突っ込みたかったし、そんなことしたらマイアに嫌われるどころじゃないぞと思いました。けれどマイアが起訴されるのを止めるには35年の刑を受け入れるしかないと聞いて逃げるのを諦めてくれたので、ヘンリーたちが詐欺をしてたのかはわからないけど、娘のためになら命かけれるんだと最後に見直すことができたとホッとしていました。
ですがその安心した気持ちを吹っ飛ばすように、逃亡を手助けする人の車にヘンリーが乗ったので"ああ、この人は根っからの犯罪者なんだな"と"やっぱり娘より自分が大事なんだなと"改めてわかり、自分の騙されっぷりに呆れたしやられたなと思いました。

マイアの逮捕という最終回とは思えないラストシーンがいかにも海外ドラマという感じで、ものすごく消化不良です。タイトル通り、次々と問題が起こってまさにカオス状態でドタバタしたが、そんな中でもマイアの成長をきちんと描いていたのが良かったです。冒頭でエイドリアンに「大胆さがない」と指摘されてから、本編50分の間にアソシエイトとして急速に成長するマイアの姿は清々しくて感動しました。ヘンリーのクズ行動が全て台無しにしてしまいましたけど…。シーズン2の放送が待ち遠しいです。

グッドワイフのシリーズでもとても印象的な存在だったスウィーニーがスピンオフにも登場するとは！アリシアの名前もチラっと出てきてドラマファンとしては嬉しかったです。スウィーニーの件と同時にFBIによるマイアの聴取も行われていましたが、清々しいくらい開き直ってフリーダムに裁判に臨むスウィーニーとは真逆で、カトリックであるが故に必要以上に罪の意識を感じてオドオドするマイアの姿は、彼女の境遇を考えるととても気の毒で同情はするけど、自分も法律家なのだからもっとシャキっとしなさいとイライラしてしまいました。シリアスなシーンが続く中、スターキーのオフィスの窓に何度も鳩が激突して落下する姿がシュールでした。

エイドリアンとレディックの対立や代表投票対決と並行して、黒人牧師の性的虐待事件やヘンリーの自殺未遂など、事件が盛り沢山で裁判シーンがなくても十分見ごたえがありました。設立パートナーのレディックが老いて、次世代のエイドリアンやバーバラに追い抜かれる姿は観ていて切なかったです。あととにかくマイアが可哀想で…。せっかく新人アソシエイトとしてやる気と希望に満ちた生活を送っていたのに、両親に振り回されて全然仕事に集中出来なくてホントに気の毒です。

大陪審では起訴するのが普通という状況の中で、エルズベスがどうやってクレスティーバと戦うのか興味津々で観ていました。マイペースで飄々としたエルズベスの弁護も見事でしたが、相手方の弁護にコリン、エルズベスのサブにはルッカがつくという展開もめちゃくちゃ面白くて、ヘンリーが何を証言するのかというハラハラ感あり、答弁というよりただの恋人同士の痴話喧嘩になっているコリンとルッカに笑わせてもらったりと、非常に見ごたえのある回であっという間に終わってしまった気がします。

6話はSNSの規制って本当に難しいことなだなと改めて実感する回でした。日本でもそうだけど、ルールを作ったところで禁止用語の一部を変えて投稿するなど、イタチごっこ状態でキリがない。投稿者は屁理屈ばかりこねるし、どうやって解決するんだろうと興味深かったです。実際ダイアンたちも議論を繰り返し何度もステイプルズを呼び出して手を焼いていましたが、最終的には「かまってちゃん」の彼を放置して相手にしないというシンプルな方法が一番効果的だったのが意外だったし面白かったです。大好きなエリズベスも相変わらず良い味出してて最高でした。

グッドワイフで大好きだったエリズベスの登場、嬉しかったです。相変わらずの変人っぷりとずば抜けた優秀さも健在で、タジタジになって動揺するマイクの姿が清々しかったです。劣勢だった裁判がトランプ大統領自身のツイートが原因で土壇場で大逆転する展開も現実にありそうで面白かったです。

天敵マイクがスピンオフにまで！さっそく嘘つきまくってるし、マイアのフェイクニュース記事を利用する気満々だし、引っ掻きまわす予感しかしなくてハラハラします。エイドリアンが「この事務所は皆が支え合うんだ」と言っていましたが、その言葉通り、マイアを元カレから守ったり、ダイアンとバーバラも互いに歩み寄りを見せていたり、少しずつ事務所全体がまとまってギスギス感が無くなってきたのも、観る側が事件や案件そのものに集中出来るので良いと思います。

「グッドワイフ」のファンなのでスピンオフドラマとして楽しく観ています。ちょうどトランプ大統領就任の年に作られているので彼の話題が何度も出てきて、アメリカ国民の飾らない率直な反応が垣間見れるのも興味深いです。テレビであんな堂々とディスって大丈夫なのか？と心配になるくらい。2話の無料法律相談の時に混雑しているのに誰もルッカのところに並ばなかったり、3話ではエイドリアンの事務所に顧問料が振り込まれていなかったり、大統領が白人になった途端に関係が変わっていく根深い人種差別も露骨に描かれていて、枕詞通り、アメリカの「今」をリアルに感じられるドラマだと思います。