グッド・ファイト

マイアに「躊躇せず飛び込むんだ！」とハッパをかける姿が、「君ならもっと出来る」と確信していて背中を押してあげるような雰囲気があって、全然説教臭くなかったところがエイドリアンらしくて素敵でした。法廷についていくというマイアを一旦突き放すシーンでもチラっとマイアの様子を窺うような表情をしていて、本気でダメだと言っているのではなく、マイアに足りない大胆さや強気な姿勢を引き出そうと試しているように見えたのが良かったです。

ダイアンに「事務所に来て満足」と言われた時のホッとしたような笑みや、「皆が路頭に迷わないよう走り続けなきゃ」と冗談めかして言う姿など、箇所箇所にエイドリアンの責任感の強さや人の良さ、温かさを滲ませる演技が好きです。こんなふうに繊細にエイドリアンの内面を表現したかと思えば、「ふざけてるんですか！」とわざと大声で怒鳴ってバンバン机を叩くなど、大胆な演技を見せてくれたり、9話まで進んでもまだ新しい一面を見せてくれる引出しの多さにも感心しています。

カールに「間違った側には立てない」と毅然とした態度をとる姿が弁護士らしい正義感に溢れていて良かったと思います。設立パートナー相手でも自分の意志や信念を曲げない姿は、エイドリアンの立場や年齢を考えると少し青臭い印象を受けますが、そういうところが彼の魅力だと思うし、様々な経験を積み重ねた自信と責任感の強さが堂々とした態度から滲み出ているので、向こう見ずさや「この人の下にいて大丈夫かな」という不安を一切感じさせないところも素敵です。

事務所を辞めるというダイアンを「皆で戦おうじゃないか」と引き留めるシーンがめちゃくちゃ格好良かったです。正義感と責任感が強い理想の上司ですね。エルズベスの言わんとするところをすぐに察して皆に分かりやすくまとめて伝えるところもエイドリアンの知的さ、有能さが伝わって良かったと思います。お料理教室でのエプロン姿とソースを褒められた時の照れた表情も可愛かったです。

アフリカ系黒人というキーワードが良く出て来るドラマの中で、まさに象徴的な存在感を発揮していると思います。ボス的な存在なのに、可愛らしい様な茶目っ気のある所も上手く演じているという印象です。法廷で相手を負かすのは女性陣の事が多いけれど、それ以外でドラマをまとめていると思います。

5話でエリズベスと対面するシーン、彼女の独り言を聞いてハッと表情が変わる瞬間が印象的でした。最初はエリズベスの変人ぶりにドン引きしていましたが、彼女の優秀さにすぐに気が付いて「信用出来る」と確信するまでの心の動きが一瞬の表情の変化に全部表れていて、エイドリアンの人を見る目の確かさと決断力の早さを感じることが出来ました。頼もしくてデキる上司、格好良いです。

最初は事務所の収益第一のワンマンかと思っていましたが、意外と正義感が強くて熱い一面もあって格好良いキャラクターですね。ドシっと構えていてブレないからトップとして信頼出来るし、4話でマイアを元カレから守るシーンは毅然とした態度で迫力があり、そのあとマイアに「気にするな」と笑顔を見せる姿は父親のような包容力と頼もしさが感じられて、好感度がめちゃくちゃ上がりました。