ひだまりが聴こえる

玉ねぎを刻みながら泣く航平の隣で、一緒に泣いているシーンがとても良かった。何があったか詮索しないけど何となく察していて、でも敢えて触れずにいつも通りの態度でそっと見守るだけという距離感が素敵。「美味しいの出来るよ」という掛け声も航平へのエールのように聞こえて、親子の絆と母の深い愛が感じられてグッとくるものがありました。

男の料理教室、どこまでが決まってる台詞なのか分からないけど、台本を感じさせない自然なやりとりや、テレビ仕様っぽくない張り過ぎない声のトーンが、実際の料理教室を見学しているようなリアリティを感じさせて良かったと思います。終始リラックスした雰囲気で丁寧だけど気さくさもあって、さすが教えるのが上手だな、こんな教室なら通ってみたいなと涼子さんのプロフェッショナルぶりが感じられたのも良かったです。

買ってきた食器や雑貨を次々と開封して、自慢げに航平に披露する姿が可愛かったです。お揃いのお弁当箱を見せる時の、ちょっとワクワクしたような、航平が喜ぶだろうなって期待が混じった表情も良かったし、航平にとって太一は特別な存在だってちゃんと分かっているのも伝わってきて、その優しい気遣いにほっこりと温かい気持ちになりました。

包丁を落とした航平を叱るシーン、珍しく本気なお説教モードから危ないでしょという怒りと、怪我をしなくて良かったという安心感が伝わってきて、その口調や表情がすごくお母さんっぽくて良かった。料理を教えてたのか、お教室の準備を手伝ってもらってたのか分からないけど、一緒にキッチンに立つのが日常化してるところも、二人の親子関係の良さが感じられて良かったと思います。

航平にお弁当を２つ渡すシーンが良かったな。太一との繋がりを無理強いすることもしないし、特に言及もしないけど、きっかけを与えてそっと背中を押す、その距離感が見ていて心地良い。母として心配していることも「大丈夫かな」と不安に思う気持ちやもどかしさも十分伝わってくるけど、干渉し過ぎず航平を信じて見守る姿がとても素敵です。

旦那さんに会うことより推しのツアーを優先させるところや、それが後ろめたいのか、妙に歯切れが悪かったり目が泳いだり、焦って誤魔化すような表情をしたり、自分の気持ちに正直で感情が全部顔に出ちゃう姿が可愛らしかったです。チケットが当たったことを嬉しそうに話すテンション高めな姿もオタク全開で良かったです。

航平にハンバーグの作り方を教えるシーンがとても良かった。手慣れた感じの教え方や「良いね～」「上手い、上手い」など、良いところを見つけてとにかく褒めて伸ばす感じが現役の料理教室の先生っていう説得力があったし、弾むような声音やニコニコ楽しそうな笑顔など、航平のお願いが嬉しくて仕方ない気持ちが伝わってくるところも、母の愛が感じられて良かったと思います。

推しのライブが良すぎて飲み過ぎちゃって二日酔いでヘロヘロになってるのが可愛い。フラフラした足取りで何度も吐きそうになったり、航平に介抱されてヘラっと笑ってみせたり、しっかり者のお母さんの顔とは違うチャーミングな一面が垣間見れたのが良かったです。遠慮せずにしっかり航平に甘えるところも良い親子関係だなあってほのぼのと温かい気持ちになりました。

航平にお弁当を二つ作って欲しいと頼まれるシーン、航平に起こったであろう変化を喜ぶ嬉しそうな笑顔や、何があったのか気になるだろうけど理由をしつこく追及することなく快く引き受ける姿に、ずっと航平を心配してきた母の深い愛情が感じられたのが良かったです。表情だけで母としての色々な思いが伝わってきてグッとくる。「２つと言わず３つでも良いよ」とおどける姿もチャーミングで良かったです。