星降る夜に

いつもはお調子者で、一星の良き理解者ですが、奥さんの妊娠で違う一面を見せ、このドラマのアクセントとなるキャラだったと思います。彼の葛藤は理解できます。女性が母親になるのは出産の苦しみがある以上、必然的であると言えます。けれど男性はどこか客観的に父親になります。どうしてもモデルになるのは自分の父親だから、その父親に対して思うところがあれば、自分が父親になれるか悩みます。私も父親が暴力的だったので、あの血を受け継いでいるのかと思った時、自分は父親になっていいのか悩みました。千葉さんはそんなキャラの葛藤を見事に表現していたと思います。

一星と話しているところを見るとほんとに学生のノリで仲の良さが伝わってくる。勢いよく手話をするのは大変だろうなと思うけど男子2人身振り手振りが大きくて北斗さんがうるさいっていうのもよく分かる。仲良いのかと思うと手話で喧嘩してたりしてすごく面白い。

奥さんのうたと話す時は緊張していてこれから大事なことを話すぞっていう雰囲気が出ていたし、自分の気持ちを曝け出す怖さも見えた。だからこそうたの気持ちを聞いて一瞬で表情が緩み涙目になったんだよね。表情だけで十分春の気持ちが分かりました。

手話と声とのチャンポンでの会話はすごく大変だと思いますがちゃんと成立していてすごいです。一星くんの長い下ネタにいなすような表情が信頼できるお兄さんって感じでいいですね。誤魔化すように大まかに訳しているところも面白かったです。

すごく自然に手話が出てくるので春と一星の会話の盛り上がりを下げることなく男子同士のわちゃわちゃした感じがそのまま伝わってきてすごくいいですね。見る方はどうしても手話の間は文字を追いかけるところが多くなってしまいますが、オーバーなリアクションもあるので楽しい雰囲気がよく伝わります。

手話のスピードがとても速くて、一星とのやりとりも迷いがなくテンポが良くて、日常的に手話を使い慣れている感じがよく出ていました。ドラマ用の「視聴者に見せる手話」ではなくて、あくまでも会話の手段、「言葉」って感じがしたのも良かった。一星との関係に深く言及されるシーンはなかったけど、二人のやりとりや距離の近さを見るだけで、親友同士というのが伝わってくるところも良かったと思います。