介護スナック ベルサイユ

散々嫁をいびってきた姑の最後に食べたい料理が嫁の餃子ってどうなのかね。私の料理を選んでくれて今までの苦労が報われたわ〜ありがとうお義母さん、なんて甘い雪解けは期待しないでほしいわね。結局自分本位なのよ。もしも息子の再婚相手がすごくいい人で連れ子も自分もよく面倒見てくれたら今更頼みになんて来ないでしょ？子供をダシにして今更お願いなんてどの面下げて来るんだか。人生の最後なら恥もなければ罪もないのか。人生を図々しく終わらせなくないわね。

美来さんの過去にドン引き。人のもの、特に旦那に執着しちゃうって怖すぎる。自分のトラウマからそうなっちゃうんだろうし、いけないと分かりつつもターゲットはいつも人の旦那ってところが変えられないなら病気だと思う。人の家庭を壊してまで得られる癒しってなんなのだろう。でもその奥で苦しんでいる奥さんに会えたことでやっと自分の罪の重さを知ったのだろう。それはいいけどその贖罪としてお世話しているのは奥さんが亡くなるまで言わない方がいいと思う。

人生最後に会いたいのが自販機って‥、申し訳ないがそんな人生は送りたくないと思ってしまった。人と話すよりモノに話しかけるタイプだとは理解できるけど、あまりにも虚しすぎる。空想？の中でその自販機が最後に言葉をかけてくれるくらいならまだ救われるけどそれもない。人生はどこまでも世知辛い。ベルサイユが異空間なのは分かった。大輝がそこに入れたことも出て行ってもベルサイユに行き当たることも選ばれたということ。これを機に人生をやり直せたらいいね。

1人目は英霊と呼ばれた戦争で亡くなった兄との対面。本当は戦争を生き延びて現地の人として幸せな人生を送ったのなら軍服じゃなくてもよかったと思うが、そこは別れた時のままということなのだろう。生きていたなら一目でも会いたかったと思うのが親心ではあるが、遺骨も帰ってこなかった遺族としてはこんなアナザーストーリーがあるのは夢がある。どこかで生きていてほしい気持ちもあるからね。2人目はどうしようもない父親。娘と漫才できてよかったね。

人生の最後にどんどん体の自由がきかなくなって諦めるように死んでいくのは辛い。はっきりした頭と笑えるくらい元気な体で人生の総括をすることができたら幸せだろう。それが叶うスナックは今はおとぎ話だけどあったらいいなと思う。最後に会いたい人にあって予想通りの幸せな時間を過ごすのもあればちょっと期待外れになってしまうこともある。将棋の勝負は良かったけれど、両人が亡くなってしまえばあの世で会うことができそう‥なんて思ってしまった。人生最後に食べたいものはなんだろうと考えながら見ている。

企画としてすごく面白いと思う。車椅子に乗って焦点がぼやけたお年寄りがスナックで謎の点滴を受けてみるみる元気になってしまうのが面白い。でも人生の最後を自分で認識して会いたい人に会って言いたいことを言い、食べたいものをちゃんと味わって食べることができるって締めくくり方は理想だよね。取り違えられた2人の人生は山も谷も同じだけあったと思う。もしかしたらその人生だったかもしれない道を辿りお互いに労う、それがどんな仕組みだろうといい時間だったなと思えるだろう。こんなスナックもありだな。