恋は闇

子どもの身代わりになったとい意味では可哀相な父親だけど、ちゃんと子どもたちと話さず、自分だけで呑み込んだ結果、いろいろと誤解や問題を残したまま服役したから、この事件がもつれたとも言える。結局は愚かな父親であり、バカな人間でもある。

萩原さんは麻雀がメインの仕事になっているのかなと思っていたけど、時々、こういう悪党ではないけど、しょうもないがゆえに他人を巻き込んでしまうような役を演じ、なかなかそれがはまる。もっとドラマに出てほしいね。

元はと言えば…って気持ちはあるけど、浩暉やみくるとしっかり向き合ってもう一度父親をやり直そうとする姿が見られたのは良かった。みくるに「お父さん」って呼ばれた時の少し照れくさそうな、嬉しそうな控えめな笑みも、野田と別れる時に隣のみくるを見やる穏やかで優しい眼差しも、ちゃんとお父さんのもので、この親子はもう大丈夫だなって明るい未来が感じられたのも良かったです。

やたら怪しいヤバい人っていう印象しかなかったけど、みくるから浩暉は犯人ではないと聞いた時の深く後悔する姿や、万琴に過去の話をする時の真摯な態度や口調など、９話は子供たちを思う普通の父親の顔が沢山見られたのが新鮮で良かったです。やってきたことクズ過ぎて最低なことに変わりないけど、今現在はただただ浩暉とみくるを守ることしか頭になくてその点においては信頼出来るって感じられたのも良かったと思います。

以前はホームレスの男性に、今回は唯月に包丁を突き付けていたけど、気負いなく本当に何でもないことのようにスッと刃先を向けてくる感じが、何の躊躇いもなくサクっと刺してきそうな怖さがあって良いですね。こういう何気ない所作や丁寧で穏やかな口調が、貫路の何をするか分からない得体の知れなさ、不気味さをより強調させているところも良いと思います。

ホームレスの男性の背中に包丁をつきつけて脅している姿と「ありがとうございます」と丁寧な口調で微笑む穏やかな雰囲気のギャップが怖い。何を考えているのか分からない不気味さがあって、毎回出番は数秒でとても短いけどちゃんと存在感があって、ドラマの世界観にしっかり溶け込んでいるところもさすがだと思います。

ラストにちょっと映っただけで台詞もなかったけど、「謎の男」っていう役名ぴったりのミステリアスさでインパクトがありました。事件を調べてるのか、犯人と関係してるのか、今の段階では何も分からないけど、どの方向の立場であっても説得力がありそうな、何とも意味深な表情が印象深くてしっかり存在感を示していたと思います。