くるり～誰が私と恋をした？～

まこととの別れのシーン、涙を堪えて何とか笑顔を作ろうとする姿が切なかったです。公太郎に言った「まことさんには幸せになって欲しい」という言葉が、強がりではなく心からの願いに聞こえたのも律のまことへの深い愛情が感じられて良かったし、失恋で号泣したり駄々っ子みたいに朝日と絡む姿も、普段の余裕ぶった顔とは別人のような幼さがあって可愛らしく、親近感が沸きました。何だかんだ、朝日と良い友達になれそうなところもほっこりしました。

律がトリックスター的な役割を果たし、場をかき回すことで物語が進行します。演出上、とても重要な役回りだろうと思います。演じる宮世さんは律のチャラさと真面目さ、ピュアさと計算高さを、うまく表現していました。序盤は彼の嘘臭さが場を撹乱し、終盤は彼の真摯さが、思い合う2人の背中を押す、実に見事な役回りだと思います。個人的に律のようなタイプは好きではないけど、面白いキャラだったと思います。

付き合っていた人として思い出してもらえた喜びはかわいい子犬のようでこちらまで嬉しくなったけど、デートでは昔の距離感に戻れないもどかしさが伝わってこちらまで切なくなりました。近づける関係なのに近づかない。律の繊細さが出ていて良かったです。

記憶が戻ったまことに子供のように泣きじゃくりながら「律だよ」と抱き縋る姿が、普段の余裕のある律とは別人のようで、どんな思いで彼女のそばで初対面のフリをしてきたんだろうと切なくて胸が苦しくなる心地がしました。キスをした後のまことの表情を見て、彼女の想いが誰にあるのかを悟ったようなやりきれない切ない表情も良かったと思います。

「今のまことさんが決めないで」「大事なことを判断しないで」とまことを止める時の泣きそうな顔や縋るような眼差しが律の余裕の無さや焦り、不安を感じさせました。まことと交際していた時の彼女に向ける表情がとても優しくて愛しげで、過去も今もずっとまことのことが大好きなんだなって伝わってきたのも良かったです。

公太郎と対峙した後、一人になってから見せる焦りと不安が入り混じった表情、朝日の良い人っぷりを目の当たりにした時の毒気を抜かれたような姿、8話は年齢相応の隙や青さを滲ませることが多く、それが新鮮で印象深かったです。それだけ追い込まれた状況なのかなと、いまだ明かされていない律の事情により興味が湧いてきました。朝日におんぶされてる時の渋々といった不本意そうな顔も子供みたいで可愛らしかったです。

律だけはなんだか浮世離れしていて現実味がないというか‥なんかアニメのキャラみたい。バックボーンが語られる場面が少ないから仕方ないのかもしれないけど仕事している場面でもおままごとのようでよくわからない。

嬉しそうに公太郎の話をするまことを見つめる寂しげな笑みや陰りのある眼差しが切なかったです。思わずまことの手を握ってしまう姿や「俺の事忘れないで」と訴える時の縋るような切実な表情も、まことへの想いの強さや焦りを感じさせました。まことの記憶が少し戻った時の「やばいな」という呟きや、まことの夢で泣きながら「待って」と叫ぶ姿など、出番は多く無かったけど今後のストーリーの核となりそうな印象的な芝居でしっかり存在感を示していたのも良かったです。

直接由佳に会ったことがないのに、まことへの連絡のタイミングやインスタの投稿内容から彼女の人間性や悪意を察知する勘の鋭さや人を見る目の確かさが、律の賢さや経営者らしさを感じさせました。由佳を追い詰める時の冷たい眼差しや蔑むような口調も、一見冷静なんだけど沸々と煮え滾るような強い怒りを感じさせて良かったです。公太郎や朝日とプールでわちゃわちゃ騒ぐシーンで見せた子供みたいな姿も、普段の余裕のある雰囲気とギャップがあって良かったと思います。

公太郎と朝日をあからさまにライバル視しているし、積極的にまことにアプローチしているけど、わざわざライバルの公太郎を焚きつけるような言動をしてみたり、花見の時の写真もわざと彼に気付かせたようにも見えたし、ただまことが好きっていうだけじゃない、他の思惑があるような含みのある表情や物言いたげな視線が上手いです。「親だって合わないことはある」と例え話を交えてまことに語るシーンも、律自身の家族との距離感や何処か冷めたような関係性を思わせて、彼のバックボーンが少し垣間見れたのが良かったです。

まこととの誕生日デートにこぎつけて喜ぶ律がかわいかった。デート当日今までのまことと比べるようなところが多々あり、思っていた反応と違うと驚いたり物思いに耽ったりするようなところがあり気になりました。昔のまこととは違うんだろうなと認識できました。

デートの時の服装とか言動とか、以前のまこととの違いを実感するたびにちょっと切なそうな表情になるところが、記憶喪失前のまこととの関係の深さ、距離の近さを感じさせました。そこから徐々に今のまことの良さを知って惹かれていく心の動きが、彼女を見つめる眼差しや表情から自然に伝わってくるところも良かった。公太郎と朝日にマウントとったり牽制したり、あからさまに嫉妬や敵意を向ける姿も若さを感じさせて良かったと思います。

3人の男性陣の中で一番ストーカーに近いし、ウサギの着ぐるみも律だったことが分かったし、３話にして怪しさMaxだけど、時折見せる切なげで辛そうな表情が嘘には見えず、彼のまことへの気持ちは本物なんだろうなって思えるところが良いですね。好きって気持ちが真実だと思えるから、余計に律の目的が何なのか好奇心を掻き立てられます。

やってること完全にストーカーだけど、本人はケロっとしていて罪悪感ゼロな感じが怖いです。人懐っこくて見た目も可愛らしいから、余計にやってることとのギャップが際立ってゾッとする。まことに贈る薔薇を購入した時の幸せそうな笑顔や、まことに向ける優しい眼差しも印象的で、嘘や企みが多い人だけど彼女への想いは本物なんだろうなって感じられたのも良かったと思います。