おちょやん

　外見は同じなのに役になっていてうまいと思います。
出てくるだけで印象的でこのドラマを見ようという気になりました。
モデルになった人に納得で主役より目立っていたように思います。

登場するだけで何が起こるのだろう？と思わせる、口を開けば周りの人間を惹き付け、時として主役の千代まで食ってしまう見た目以上の存在感の大きさは、最高の脇役であると思う。千代をラジオドラマの出演交渉の際に、舞台上で腹痛を起こし、トイレにかけ込んだが間に合わなかった時の話し方の話術の高さと新喜劇の舞台に立つ千代に、お母ちゃんいかんといてと絶叫する所等のギャップも最高でした。

当郎さんの役は、本当にいい役で大好きでした。どれだけ笑わせてもらったか。舞台で一平君に抱き着く千代ちゃんに離れろジェスチャーとかおかしくて。一共演者だろうのに自分の奥さんみたいに振舞っていて。それほどに千代ちゃんは人に好かれる人だったというのをコミカルに嫌みなく示していて本当に良かったです。実際に千代ちゃんと当郎さんのラジオドラマをスピンオフででも見たいです。

塚地くんは本当にお芝居が上手いなあ。お笑いに造詣が深いからこその演技なのか。当郎がいるとその場が明るく柔らかく、見ているこちらまでほっこりとします。ラジオドラマを撮っているいるシーンなどは周りをちゃんと気にかけている感じもあって頼もしさも感じます。

台本通り当郎の役を演じておられるのだろうけれど、会議室での千代ちゃんたちの会話はアドリブというか、その場の雰囲気で適当に話している風に聞こえてとても自然で。それでいてラジオドラマの時は、きちんと間を計算して話している風で、その使い分けがすごいなと思って見ています。

ラジオドラマの子沢山の設定のため、楽屋代わりの会議室でもたくさんのキャストが出てきては順番にセリフを言うけど、当郎さんが肩の力の抜けた言葉を一声かけるだけで、なんだかホッとします。意地の悪い所が無く、言葉が温かくて、とても人の良いお父ちゃん。ラジオドラマ面白そうで、聞きたくなりますね。

詳しいことを語らなくても、初めて千代に出会った時のその時間がどれだけ楽しくて魅力的なものだったのかということが感じられる話しぶりでした。箕輪さんのことを立てながらも千代の良さを語る当郎さん。ご自身の人の好さも出ていてとても好感を持ちました。