おちょやん

役柄的に、あまり目立たぬ位置にいるようでいながら、ストーリー展開の節目節目で、実は誰にも負けないくらい、ヒロインの事を温かく優しい目で、真剣に応援しているような表情が場面に出てきて、目にいっぱい涙を浮かべヒロインの活躍を見守る演技がとても印象的で、思わずもらい泣きしてしまうほど感動しました。言い方は悪いですが、最初はあまり興味をもてない役者さんでしたが、今は最高に好きな役者さんのひとりになりました。あの役は、まさに西川忠志さんで、大正解です。アカデミー最優秀脇役賞です。「おちょやん」の感動的ストーリーに、絶対に欠かせない演技だったと、感じました。

なんと良い役者になったか…と、感動してしまった。

舞台袖で大山社長の額を持って涙を流す熊田さんが、道頓堀復活の舞台を袖で見ている大山社長の姿に重なって。熊田さんは千代ちゃんの子どものころからの苦労も成功も挫折も見ているから、ある意味視聴者目線に近くて感情移入しやすい役だったように思う。熊田さんが本当にいいところで素敵な涙を流してくれるのでこちらも一緒に泣いてしまった。とくに歳をとってからの演技は素敵でした。

涙の熊田さん、良かったです。思えば千代ちゃんが道頓堀のお茶子として働いていた頃からの付き合いですもんね。そりゃ思い入れは相当なものでしょう。見守っていた一人としての千代ちゃんの道頓堀凱旋は胸にくるものがありますよね。それにしても泣き顔、お父様に似てましたね（笑）

稽古場で待っている千代に一平が遅れてくることを告げる様子が本当に辛そうで。振り返れば幼き千代に芝居の台本をあげたのも彼で。高城百合子と同じくらい千代に影響を与えた人だと思う。ドラマの中では社長からの伝書鳩的な感じが多いけれど、ずっと千代のことを見守り続けてきたのだ。花かごの人は熊田さんなのではと感じた。

熊田さんは中間管理職みたいな立場で、いつも大山社長の威光を後ろに仕事してる感がすごいのですが、寛治くんのことで大山社長から警察に通報すると言われても、何度も何度も確かめる風で抵抗していたし、劇団だけじゃなくていろんな人のこと思いやれる優しい人だと改めて思いました。

熊田さん自身がすっかり家庭劇に入れ込んでしまっていて、大山社長の前で心が揺れ動く様子が中間管理職らしくてよい。家庭劇の前では忠実な大山社長側の人として、強めに手紙を読むが、しっかり自分の内面が出てしまっている感じも少し滑稽で楽しいです。

大山社長と鶴亀家庭劇の間に挟まれて結構難しい中間管理職的な役どころですが、大山社長からの伝言を読み上げる時に熊田さんの本心が透けて見えるのが素敵です。一平君が千代ちゃんとの結婚を舞台上で発表した時の熊田さんの様子も、熊田さんだなあーとちょっとほっこりしました。