王様に捧ぐ薬指

東郷ともう一度向き合うと決めた綾華に「さすが私の娘」「当たって砕けろ！」と泣きながらエールを送る姿が逞しくて愛情深い桃子らしくて良かったです。誇らしげな泣き笑いの表情も綾華への深い愛と「この子なら何があっても負けない、大丈夫」という信頼が感じられてグッときました。肝が据わっていて頼もしくて、でもチャーミングさもあって、パワフルで魅力的な大家族のお母さんを好演していたと思います。

バレバレな嘘で誤魔化そうとする金太郎を「そんなわけないでしょ！何で嘘つくの！」」と一喝する姿が格好良かったです。桃子の逞しさや肝の据わりっぷりが感じられて、さすが大家族のお母さんという説得力がありました。借金が１億円と訊いて思わず笑っちゃう姿もリアルというか、羽田家にとって非現実的な途方もない金額なんだなということが伝わってきて、事の重大さがより深刻に感じられたのも良かったと思います。

綾華に家を出ていくよう告げた後、「ちょっと突き放し過ぎたかなあ」と不安そうに金太郎に抱きついて泣いちゃう姿が良かった。結婚して30年経った今でもしんどい時に素直に甘えられる空気を自然に醸し出しているところもさすがだし、直接的な台詞がなくても、綾華には幸せになって欲しい、家族のためではなく自分の幸せを一番に考えて欲しいという親心が感じられてグッときました。

金太郎が病院に運ばれた時の今にも泣きだしそうな不安げな表情や、盲腸だと分かった時の心底安心した笑顔、嬉しそうに喧嘩の思い出話を語る時のテンションの高さなど、表情や仕草から金太郎大好きって気持ちが溢れ出ているところが可愛らしいです。無理してる感が一切なく、自然とラブラブな空気を醸し出しているところも良いですね。見ているこちらまで幸せな気持ちになれる仲良しっぷりが素敵です。

自分たちの新婚時代を思い出して金太郎と惚気合う姿が可愛らしかったです。本物のラブラブっぷりが、綾華と東郷の偽者夫婦と良い対比になっています。気弱でまごつく金太郎に代わり「喧嘩したんじゃないの？」と東郷に直球で尋ねるシーンも肝の据わった大家族のお母さんらしい頼もしさがあって格好良かったです。ウエディングドレス姿も美しかったです。

キャリアウーマンのような格好良い役のイメージが強いけど、こういう庶民のお母さんもハマりますね。大きな口をあけて豪快に笑ったり、ワンコと子供たちの世話にあたふたしたり、元気で逞しくて可愛いお母さんがよく似合ってました。結婚式で泣き続ける旦那さんを優しく宥める姿も、夫婦仲の良さが自然に伝わってきて素敵だったし、ドレス姿の綾華を愛おしげに優しく見つめる眼差しも温かい母の愛が感じられてグッときました。