王様に捧ぐ薬指

政略結婚を進める東郷を「本当にこれで良いのか」と問いただしたり、東郷の実の母親への愛を口にしたり、静と桜庭を引き合わせたり、最終回では智宏の家族への深い愛が随所で感じられたのが良かったです。最初は仕事最優先の人という印象だったけど、回を追うごとに愛情深い普通の父親の顔も覗かせていたので、ラストの行動に違和感や唐突感がないところも良かったと思います。

桜庭と静の関係を知った上で「君の息子じゃないか」と傍にいられるように取り計らったり、東郷に「静を本当のお母さんにしてあげたい」と訴えたり、智宏の静への深い愛情が感じられたのが良かったです。「新田ホールディングスの会長」ではなく夫・父親の顔が見られたのが新鮮で、智宏なりに家族を愛して大切に思っているのが伝わってきたのも良かったと思います。

静に「東郷を後継者として育てる」と告げる時の嬉しそうな表情や「お前は私の後継者だ」と誇らしげに東郷を見つめる姿が印象的で、理想通りに育った自慢の息子なんだろうなと智宏なりの愛情が感じられたのが良かったです。普通の親子とは違う緊張感のある空気や距離感も「後継者として相応しいか」に相当の重きが置かれている感じ伝わってきて良かったと思います。

動きも表情も社長の重みもなく、他のキャストが上手いだけに本当に浮いてる。残念。

静と一緒にアルバムを見ているシーンがとても良かったです。静の肩に手を置く仕草が自然で妻を大切に想う気持ちが伝わってくるし、幼い東郷の写真に目を細める姿も優しい父親の顔になっていて、仕事面では厳しいところもあるけど、愛情深く家族思いな人柄が感じられました。

何クール連続でお父さん役をやってるんだろうってくらいよくお見掛けする方だけど、どれも全部違うから凄い。今回は大企業の会長だけど、高そうなスーツもサラっと着こなしているし、綾華との対面で見せた経営者らしい本音と建前の使い分けや、対経営者として東郷と接する厳しい一面など、醸し出す空気も前クールのほのぼの可愛らしいお父さんとは全くの別人で素晴らしかったです。