PICU 小児集中治療室

ポーカーフェイスではあるものの、その乏しい表情の中にちゃんと喜怒哀楽があるところがいいと思います。武四郎を支えていたつもりが支えてなかったとガッカリしたり、桃子の出産の壮絶さに絶句したり。医師なのに呆然としちゃうところが笑えました。

母を亡くした武四郎を全力で支えようとしている悠太がとても素敵でした。一人暮らしを心配してしばらく泊まろうか？と提案したり、落ち込むみんなを元気づけるようにバクバク食べたり、みんなの気持ちを押し上げるような悠太の優しさがとても素敵でした。

植野先生の前に現れた悠太はいつにも増して細く消えてしまいそうで反省の気持ちが痛いほど伝わってきました。その生真面目さが追い詰めた原因でもあり人間って難しいなと思います。今は少し自信のない頼りなさがありますが、きっと成長して溌剌と働いてくれるでしょう。

若さと真面目さからの過ちがあり、自分を見直して成長しようとするところにこの悠太というキャラのポイントがあります。自ら命を捨てるくらいなら譲ってそれを譲って欲しいという母親がいる病院で、子どもたちの生死と向き合うことは、悠太にとって改めて医者になった意味を考えるきっかけになるでしょう。高杉さんはそんな悠太の繊細さや優しさ、そして弱さをうまく表現していると思います。また友人たちには弱味を隠し、見栄を張るところも、虚栄心からではなく優しさからだと感じさせてくれました。とても良い芝居だったと思います。

最近の悠太を見ていてギリギリの精神状態であることがよく分かっていたのでその悠太が選んだ自殺の意味が生きてくるんだと思います。目覚めてからも表情がなかったのが痛々しかった。友の言葉に心が解けるように表情も変わっていったのがとても良かった。

ギリギリまで頑張って思いつめられた感じが良く出ていた。少しやつれているようにも見えて。言葉も自分に言い聞かせているようで。危うかったけれど、自殺が未遂になったことで生きなおせたらいいな。

いつかその張り詰めた糸がプツンと切れてしまいそうで怖いです。切羽詰まった表情にいろいろ心配してしまいます。たくさんの重荷を背負ったような疲れた表情と儚げに笑う顔がとても悲しい。悠太のいる環境が良くないことがすぐに分かります。

志子田たちとは離れた場所で一人頑張っている悠太。電話でしか繋がる場面がないけれど、その短い場面の中で切羽詰まった悠太の感情がちゃんと伝わってきます。助けて！と言葉に表さないのに誰か助けてあげて！と見ている方はハラハラさせられます。