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脚本・ストーリー 3.9 /5.0(77.4%) | 388位 /1087件中 |
キャスト 3.9 /5.0(78.8%) | 555位 /1087件中 |
演出 3.8 /5.0(75.8%) | 444位 /1086件中 |
音楽 4.0 /5.0(80.6%) | 185位 /1087件中 |
感動 2.0 /5.0(39.6%) | 996位 /1082件中 |
笑い 3.0 /5.0(59%) | 487位 /1082件中 |
スリル・興奮 3.1 /5.0(62%) | 590位 /1079件中 |
脚本・ストーリー 3.9 /5.0(77.4%) | 388位 /1087件中 |
キャスト 3.9 /5.0(78.8%) | 555位 /1087件中 |
演出 3.8 /5.0(75.8%) | 444位 /1086件中 |
音楽 4.0 /5.0(80.6%) | 185位 /1087件中 |
感動 2.0 /5.0(39.6%) | 996位 /1082件中 |
笑い 3.0 /5.0(59%) | 487位 /1082件中 |
スリル・興奮 3.1 /5.0(62%) | 590位 /1079件中 |
イギリス一、と言われているメドウバンク学園。
なのに、スプリンガーの様な生徒に対してサディスチックで、同僚教師たちの弱味を探る事に喜びを感じるような人を雇っているのが不思議でした。
ポアロの人を見る目を買って、次期校長に相応しいと思う教師を助言してほしい、というバルストロード校長のお願いはちょっとどうなのかな、と思いました。けれどスプリンガーの人柄を見抜けずに雇ってしまった事で自信がなくなってしまったのかも。そう考えると納得出来ます。古株のチャドウィックさんと一緒に創立した学園だから新しい校長を選出するのは失敗したくないですよね。
ただ、次期校長は当然自分だとまるで疑っていなかったチャドウィックさんの心境を思うといたたまれない。
ジョンスン寮母が格好良かったです。相手が王女でも学園の生徒として扱いを変えず、出来ない事はビシッと断る忖度一切なしの対応がステキ。パトリシアの事でもスプリンガーにバシッと注意してくれて良かったです。殺人事件が起きたことでパトリシアの両親は娘の学校を変更する事を決めていましたが、まぁ仕方ないですよね。他の保護者たちもそうしたでしょうし。
けれど最後にバルストロード校長が辞職の意思を翻し、学園を立て直すと決意したので逞しいなぁと思いました。逆境に立たされたことで失われた情熱が戻るって凄い。見倣いたい強さですね。
「名探偵ポアロ」ではよくイングリッシュガーデンや情緒ある田舎町が出てきます。その為、都会よりも牧歌的な風景の田舎の方が、人間関係の複雑さや人の狡さが際立ってしまうといつも思います。
今回ポアロが依頼の為に訪れたブロードヒニーでも、掃除婦のマギンティ夫人が殺害されましたが、彼女は他人の家の掃除をするかたわら、勝手に引き出し等を漁るような人でしたし、彼女の姪夫婦や村人もなんだか好感を持ちにくい人ばかりでした。
下宿屋を営んでいるモーリンは明るい雰囲気ではあるけれど、大雑把で整理整頓や掃除は苦手な様子で、あまり下宿屋をやるには向いて無さそう。ポアロが我慢して宿泊していたのは他に泊まれるような所が無かったからでしょうね。事件解決の為とは言え潔癖なのによく耐えたなぁと思います。
ロビンがちょっと可哀想でした。殺人者の子供に生まれて、きっとずっと大変な目に遭いながら生きてきたのだろうと感じました。
やっと手に入れた平穏な生活を壊されたくなかったのは理解出来ます。
殺人も他の人に罪をきせるのも正当化は出来ないけれど、生まれながらに業を背負わされていた事には同情してしまいます。
スペンス警視のベントリーは無罪かもしれない、という直感とポアロに捜査を依頼したのはナイスでした。
ギリギリ冤罪で処刑されずに済んで、ベントリーは本当にラッキーだったと思います。無気力な感じが気になっていたけれど、モードがいれば良い方向に変われそう。
リンが気の進まない婚約を受け入れていたのが不思議でした。単身でアフリカに行っていたくらい行動力のある人なのに。
デヴィッドと出会った事でローリーに結婚出来ないと伝えましたが、欧米の人ってああいう場面で「ごめんなさい」って言わないものなのでしょうか。
日本人はなにかを断る時には「すみません」とか「ごめんなさい」って言いがちですし、婚約を自分の事情で解消するのなら、やっぱり謝罪するのが礼儀のように感じるのですが、文化の違いでしょうか。
ローリーの事もあまり好きではないけれど、ぬか喜びさせられてしまった事はちょっと可哀想に思いました。
ロザリーンは女優で、まだ20代前半なのに結婚は2回目、という情報から、さぞかし美人で自信と魅力あふれる女性でしょうと思ったら、オドオドしていて兄デビッドの言いなりになっているので意外でした。
実は本人はすでに殺害されていて、彼女はゴードンの召し使いだったと知り府に落ちました。
デヴィッドは発する言葉がいちいち不快で不穏。クロード一族だけにではなく初対面の人間にも横柄で、
実の妹に固執し過ぎて殺害するような異常性も理解し難い。
ただ、リンに対してだけはほんの少しだけ違ったので、一応彼にも好意を抱いた相手には嫌われたくない気持ちがあるのだと感じました。
死刑が執行される瞬間までデヴィッドが繰り返していた言葉は、死んだ赤ん坊への懺悔だったのか憐れみだったのか。
ウェディングケーキを枕の下に置いて眠ると夢に未来の結婚相手が現れる、というジンクスが印象的でした。ウェディングケーキといってもギルクリストが食べたのはチョコレート菓子みたいなモノで、枕の下敷きになってもグチャッとしていませんでしたが、生クリームがぬってあるケーキでもそのジンクスを実行する人はいるのか疑問です。
絶対ダニがわくし無理。絶対完食した方がイイ。
ポアロは、ギルクリストは精神鑑定を受ける必要があるから死刑になるかは分からないと言っていましたが、別に彼女は狂っている訳ではないように思いました。
人を殺してまで叶えようとした夢が破れて、やけっぱちになっているだけの憐れな人。
自分の境遇やコンパニオンとしての毎日が不満で、雇い主の兄の死でそれを打開できる千載一遇のチャンスがきた!と思ってしまったのがとても残念。彼女が孤独ではなかったら、愚痴や不満をこぼせる誰かがいたら殺人を犯す事はなかったように思いました。
コンパニオンなのに召し使いのような扱いをされ、自分の事を「生まれてこなければ良かった」「バカな女」と言っていたギルクリストに同情してしまう。
シェイタナはなんて贅沢で我が儘な人なのだろうと思いました。
イギリス屈指のお金持ちで健康体なのに、心の病だかなんだか知らないけれど、彼の考えたゲームが本当に悪趣味。
過去に殺人を犯して逃げおおせた人たちを自分の屋敷に呼び寄せ 、過去の罪を暴露すると暗に匂わせる事で自分を殺害させるゲーム。
オリヴァは言葉を交わす前からシェイタナを嫌っていたけれど、ミステリー作家のせいか直感的に何か感じるモノがあったのでしょうか。
別に言動が乱暴とか下品な訳ではないけれど、シェイタナはちょっとどことなく人に不安感、嫌悪感に近いモノを抱かせるところがある気がしました。「得体が知れない」不気味さ。
気弱そうなメレディスに盗癖があったのは意外でしたが、あれも精神的なモノが影響しているのでしょうか。彼女の場合は母親が父親を殺害する所を目撃してしまった過去があるので、その影響なのかなぁと思いました。
メレディスに執着していたドーズが彼女を繋ぎ止めておく為に叔母を殺害した事も、デスパード少佐と結婚すると言い出したメレディスを殺害しようとした事も、理解し難い。どういう経緯があってドーズはメレディスに執着、依存するようになったのか。ポアロは「(親友同士というより)奴隷のように扱っていた」と言っていましたが、ドーズにとってはおそらく恋だったのでしょう。
シェイタナに秘密の現場写真を撮られていたのは、実はロバーツではなくウィーラー警視だった訳ですが、ポアロに自分の性癖?を知られて気まずそうな警視がちょっと可哀想でした。ポアロが警視に「どんな趣味を持っていても自由ですが、あなたの立場には合わない」と釘を刺していて、もうやめてあげて、と思いました。多分ウィーラー警視は今後絶対ポアロには逆らえませんね。
ルースのおねだり上手、自由奔放さは、大金を持っている父親が甘やかしてきたからでしょうか。決して傲慢な言動はしないけれど、自分のワガママを通す事に慣れている感じがちょっと鼻につきました。
そしてルースはあまり男を見る目がない。離婚に同意しない夫デレックはいちいち不愉快な人で借金だらけだし、恋人のラロッシュは実はペテン師。
デレックはルースを愛しているけれど、ラロッシュに借金帳消しと引き換えに妻の宝石を盗み出す事を提案され乗ってしまうし、ラロッシュは一番に遺体を発見したのに疑われてしまうのを恐れてデレックに口止めするし、最低。
言葉と行動が必ずしも一致するわけではないのも分かるけれど、それにしたって薄情に思います。
薄情といえばヴァンオールデンもヒドイ。自分の愛人のメレルに、離婚に同意しない娘婿デレックを誘惑させるなんて発想が下劣ではないでしょうか。所詮は愛人、と根底では思っているとしか考えられない。
キャサリンはひどい災難だったけれど、「旅が好きになったみたい」と言っていて逞しいなと思いました。やはりタンプリンのいとこだからメンタル強いのでしょうか。 レノックスのちょっとクレイジーな所はなんだか安心します。普通なら不安や恐怖に心を占領されてしまうような状況で、スリルを楽しもうとするからそれを見てちょっと冷静になれる感じがします。
ヘンリエッタが不思議。美人で賢く明るい性格なのだから、妻帯者であるジョンでなくても望めばいくらでも素敵な人と付き合う事は出来そうなのに、ジョンのどこがそんなにいいのでしょう。ジョンに離婚の意思はなく、ヘンリエッタもそれを求めていないという割り切った関係ですが、それは結局都合のいい女って事じゃないでしょうか。不毛な状態を受け入れているのが理解しがたいです。
しかもジョンの妻であるガーダにも優しいし親切で、夫殺害の疑いがかからないように手回しまでしてくれる。いくらそれが愛した人の最後の望みでもあそこまで庇えるものでしょうか。「私ガーダの事好きよ」とジョンに言っていたのは嘘ではないと思うけれど、罪悪感からの優しさと好意なのかなぁとも思います。
だけど不思議と嫌な女って感じがしないんですよね。ヘンリエッタはポアロにジョンの事を「高潔な人」だと言っていたけれど、彼女の方が高潔な感じがしました。
一方女優のヴェロニカはひどかった。ジョンの12年前の恋人で、自分も結婚しているのに復縁を迫ってフラれ、ジョンが亡くなったら自分が言い寄られて断ったと嘘をつくのだから本当嫌な女ですよ。
この人がジョンに計画的に近寄って誘惑しなければ・・・、いや妻のガーダと愛人のヘンリエッタがいてもヴェロニカの誘惑にのるような男だからいずれはどこかで別の女性との関係がバレていただろうし、避けようのない事だったのかもしれません。
それほどにガーダはジョンを尊敬して崇拝して愛していたのだと思います。
ジョンはヘンリエッタにも言っていましたが、特に突然現れて結婚を迫ってきたヴェロニカには強く「離婚はしない」と拒絶していました。浮気はしても絶対に離婚はしない、というのが一貫しているのですが、あれは妻ガーダへの愛だと思いたい。死の間際に「ヘンリエッタ」と名前を呼んだのはガーダを守ってほしい、という意味だとヘンリエッタは解釈していましたが、それも妻への愛だと信じたいです。
お金持ちを羨ましいと思うけれど、これを観るとお金持ちって大変だなぁとも思います。
最初はリネットに恋人を奪われたジャクリーンを気の毒に思っていたのが後半で裏切られる。
けれどジャクリーンとサイモンが立てた計画は、リネットがサイモンに惚れなければ話にならないので、サイモンはその点では自信があったのでしょうか?そんな女性が取り合う程の男性には見えないけれど。
幼馴染みのジャクリーンと愛した男性に騙されて殺害され、友人のジョアナには知らぬうちにパールのネックレスをニセモノとすり替えられ、メイドのルイーズはお金と引き換えに犯行を黙秘。容姿とお金には恵まれたけれど、人との縁には恵まれなかったリネットの人生。憐れです。来世では幸せになってほしい。
ラストの終わり方はモヤモヤします。
ジャクリーンとサイモンは三人も殺害したのに刑を受けることなく自殺。狡い。「愛こそ全て」とのたまうのなら、人の財産を奪うことなんてせずに慎ましく愛し合う二人で生きていけば済んだ事でしょうに。
身近にお金持ちがいるとバカな事を企んでしまうのかもしれないですね。人は弱いから。
エリノアが立派だったと思いました。フィアンセのロディがもうひとりの幼なじみであるメアリに心変わりしてしまった事に大変なショックを受けるけれど、ヒステリーを起こさず努めて冷静に婚約解消を申し出て、潔い。
病で臥せっていた叔母のローラが急逝する直前にロディとメアリがキスしているのを見てしまったからショック続きなのに、ローラが遺書を作成していなかった為、全財産を相続することになってしまったので、遺品の整理や遺産の分配も主導する事に。
全財産を相続する訳だから屋敷も屋敷にあるモノも全て自分の物。
若くして棚からぼた餅式にリッチになったのだから、亡くなった叔母の死を悼みつつ、コッソリ小躍りして喜びに浸るのが普通のように思うけれど、ロディの心が自分から離れてしまった事のショックが強すぎて表情は暗い。全然浮かれない彼女の様子でどれだけエリノアが一途に婚約者を想っていたか分かりますよね。
本人のいない所では「メアリが憎い、死んでしまえばいい」と言いながらも、ローラの生前の希望で、メアリにも7,000ポンドの遺産を分配すると約束し心の痛みに耐えながら誠実に振る舞う姿は素敵です。だからこそ尚更痛々しい。
メアリはローラの看護師たちオブライエンとホプキンズが「いい子」と言う通り、確かに明るくて性格も悪くはないですが、エリノアとロディが婚約していることを知っていたのに、ロディを拒絶しなかったこと、納屋の整理があると言って葬儀が終わった後も屋敷に残ったことが、ちょっと無神経というか我が強いように感じました。
ドクターロードは良かれと思って黙っていた事が幾つかあって、ポアロに怒られていたのがちょっと可哀想でした。でもポアロが怒るのも仕方ない。頼ってきたのは自分なのに信頼しないのは失礼ですよ。
でもロードも誠実な人だと思うので、エリノアと性格的に合いそう。頑張れドクター。
フィリップはなぜキャロラインを嫌っているのかと思ったら、子供の頃から彼女の方が彼に対して酷い事を言っていたのですね。それじゃ嫌って当然、仕方ないように思います。
自分が失礼な言動をわざとしてきた相手に慰めを求め、拒否されたら罵るなんて身勝手です。
キャロラインはフィリップに「あなたまだアミアスが好きなの?本当に可哀想な人ね」と捨て台詞を吐いてましたが、あれは間違っていると思います。
彼のように長くひとりの人を一途に想い、相手の幸福を願っていたのだから、フィリップは幸せで素敵な人です。
キャロラインだって妹想いで、夫の浮気相手であるエルサに同情する優しさを持っているのに、相手との関係性や視点で相手への評価が違うのは当然なのですが、家庭教師のウィリアムズ先生の話と比べると全然違う印象を受けるので面白いなぁと思いました。
画家のアミアスに一目惚れして、我が物にせんと自らモデル志願し、妻や子供のいる家にまで平気で押し掛ける傍若無人なエルサには呆れる。
絵を仕上げるためだけに彼女を愛しているフリをし続けたアミアスは、ウィリアムズ先生の言う通り自業自得だと思うけれど、キャロラインは本当に気の毒でした。
エルサが14年前の事件の事をポアロに話している時、「キャロラインを絞首刑にしてやることが出来て楽しかった」と言っていて、なんて恐ろしい女だろうと思いました。
でも最後に自身の犯行を暴かれ「あの日死んだのはアミアスやキャロラインじない、私よ」という言葉が彼女の口から出てきて、この人も時が過ぎていくほどに自分のした事の残酷さが恐ろしくなったのかなぁと少し可哀想に感じました。殺してしまうほどに本気でアミアスを愛していたのだと思うと、彼女も被害者のように思えます。でもだからといってルーシーに自分を撃たせて終わりにしようとするのは狡い。罪のない人が絞首刑になってしまったのだからちゃんとツケは支払ってもらわないと。
ケネスがなぜアレーラと離婚しないのか理解出来ません。 息子は病死した前妻との子でアレーラを嫌っているし、アレーラは男好きで複数の親しい友人なのか恋人なのか、よく分からない男性たちもいる。それを夫には隠そうともしないし冷淡な態度もとる。妻としても母としても相応しくないような。
ロザムンドになぜ離婚しないのかと問われて「妻だから」と答えるケネス。「愛しているから」だったら分かるんですけど、愛情ではないのですね。真面目そうな人だから一度結婚したら決定的な不貞行為がなければ離婚はしない、という義務感のような気持ちなのでしょうか?
アレーラも複数の男性にチヤホヤされるのが好きな性分なら結婚するよりも独身でいた方が良かったように思います。彼女は自分の資産を持っているし、女優だし、経済的に困ることはないでしょうし。
元牧師のレーンは、妻が不倫相手と逃げてしまった事から、人妻でありながらパトリックと親密にしているアレーラを「悪魔」と称したり、女性不信からくる女性蔑視発言がちょっとヒドイ。それほどショックが大きかったのでしょうけど、早く気持ちを切り替えられることを願うばかりです。
ヘイスティングスが投資しているアルゼンチン料理のレストランのオープニングパーティーでポアロが倒れたのは肥満のせいと最初は言われていましたが、実は食中毒。しかも今回で14回目。ヘイスティングスはもう投資をやらない方が良いと思います。
自分に関心のない人を振り向かせたくなる、というのはモテて他人からチヤホヤされることが当たり前になっているモテキャラには有りがちなのでしょうか?
ライドナー博士の妻ルイーズは、最初自分には目もくれなかった夫の友人ケアリーを誘惑するはずが恋に落ちてしまい、それが彼女の運命を決定してしまう羽目に。
殺されてしまった事は気の毒だと思うけれど、愚かだと言わざるを得ない。男はみんな私に魅力を感じて近寄って来るのに、あの人はちっとも私に関心を示さない、面白くない、誘惑してやれ、という思考が嫌。
介護士レザランの見立てでは妻帯者のマーカードも彼女に好意を持っていたので夫人はルイーズを嫌っていたそう。ルイーズが殺害されたと知ってショックで涙していたのに、人間て分からないものですね。
ケアリーを想っているシーラも、ライドナー博士を慕っているジョンソンも、恋敵であるルイーズを悪く言っていたけれどいただけない。嫉妬するのは仕方ないかもしれないけど、みっともないですよ。恋敵の悪口言ったところで自分の恋が成就するでもないのに。品下がった事しないでほしいです。
ライドナー博士のルイーズに対する異常なまでの執着心も恐ろしい。
ドラマでも歌詞でも恋愛をテーマにしたものがもてはやされるけれど、んん?本当は恋や愛ってフワフワしてキレイなモノじゃなく、恐ろしくて厄介なモノなんじゃないの?と考えてしまいます。
エルキュールポアロ、と言えばこのドラマシリーズに尽きる。吹き替え版には賛否両論があるけど、これはどちらも最高。今回のトリックもさすがのアガサクリスティー、現実的にはどうかとも思うが、このすり替えの作業が今のミステリーでは逆に定番になっている。アクロイド殺しほどではないけど、禁じ手に近いストーリー展開。カギが彼女とは想像しつつもつい引き込まれる。毎回贅沢だなあ、と思うのは第一次世界大戦後のモダンな衣食住の描写。ミス・レモンの部屋までお洒落なポアロのマンション。細部まで手が込んでいてさすがだと感じる。
ヘイスティングスが株に失敗して全財産を失う事態に見舞われながらも、全く不幸に見えません。売却出来る土地がある事と、妻のベラがヘイスティングスの失態を怒らず責めず、黙って尽くしてくれているからでしょうか。ヘイスティングス本人も散々惚気ていましたが、本当に良い人と結婚したなぁと思います。女性に優しくて甘くて美人に弱い人なので、いつか悪い女に騙されるのではと心配に思う事もあったので安心しました。
対照的にジャップ警部は結婚生活が長いからか、クール。「エミリーは食事の席で仕事の話は許さない」と愚痴っていましたが、そりゃ嫌でしょう。殺人事件の話なんて。
カトリック教徒の方は離婚歴のある人とは結婚出来ない、という制約があるらしいけれど、マートン公爵はカトリック教徒でありながら知らなかったのでしょうか?
女優のジェーンは冷酷で大胆な殺人計画を立てて、名探偵であるポアロまで欺こうとしたのだから、大した自信です。
俳優のブライアンはジェーンに振られた腹いせに、絞首刑へ送ろうとポアロを印象操作しようとした事を知った時は、なんて粘着質な男だろうと思いましたが、彼の「冷たい女」という罵り言葉はジェーンの本性を的確に表現していた訳ですね。
それでも彼女が犯人と分からないまま死刑にしたいが為に陥れようとするのは、ちょっとどうなのでしょう。結局はジェーンが犯人でしたけど、何があってそこまで彼女を憎むようになったのか少し気になってしまいました。
犯行がバレた後「いつも思い通りに出来たのよ。どんな男でも」とジェーンは言っていました。確かに彼女の様に美人で女優をしていて演技が上手ければ、どんな男性でも手の平で転がせたことでしょう。
でもそれならカトリックのマートン公爵との結婚は諦めて別の人を探したら良かったのでは?と思います。
愛が目的じゃないなら、そっちの方が殺人よりもリスクがないでしょうに。
エッジウェア卿も評判の悪い人で実の娘にも憎まれていたほどだから、冷酷な人間同士割り切って上手くやれなかったものか。
最後に冷酷な殺人犯と知らずにジェーンと結婚するところだったマートン公爵からの御礼の小切手がヘイスティングス宛てに来て良かったです。遠慮する彼に「君の手柄だから君が受け取るのは当然」とポアロ。
ポアロのああいう粋な計らい出来るところ好きです。
今回のお話では、ポワロがまんまと女優のジェーンにしてやられてしまっていたので、ポワロにもこんな人間らしいところがあるのだなと興味深く視聴しました。
大体どの推理ものでも、最初に「犯人ではないか?」とされ、疑いの目をかけられた人物は実は犯人ではなかったというオチがつきものですが、今回は「そうくるか!」という、まさにどんでん返しの内容で、度肝を抜かれました。自分に疑いの目をかけささせた上で、探偵にその疑惑を晴らさせるという手口はお見事というか、危険な綱渡りであり、その点から言えばジェーンはとても度胸のある女性でした。ある意味では魅力的な女性かもしれません。
なぜポアロが早々に私立探偵を引退して田舎で隠居生活をしているのか、不思議です。人から必要とされる能力をもっているのにもったいない。人間の暗部ばかり見聞きするのが嫌になったのかも知れないけれど、そういうのも柳に風と受け流す強さを持っているキャラクターだと思っていたので、らしくないように感じました。
古い友人だと言うアクロイドが殺害されたにもかかわらず、彼の姪フローラに捜査依頼されても、すでに探偵業を引退したことを理由に引き受けようとしなかったポアロには正直少し失望しました。
ブランクがあるから軽率に引き受けるべきではないという考え方も分かるけれど、自分の事を「名探偵」と豪語し自信満々だったポアロは一体どこへ?
そう思っていた時にジャップ警部が登場してくれてホッとしました。
案の定ジャップ警部にも捜査に加わるように言われてとうとう腹をくくったポアロ。ジャップ警部と一緒ならなんとかなるだろうと考えたのでしょうか。
アクロイドの執事パーカーが、とてもしっかりしていて捜査にも協力的で記憶力も良く、いい執事だなぁと思っていたら、酒場で「6年間アイツに尽くしたのに(遺産が自分には)1ペニーもなしだ!」とわめいていて少し驚きました。
うーん。気持ちも分からなくはないけれど、親族ではなくあくまで雇用関係だし仕方ないんじゃないかな?と思っていたら、店主も「そんなもんだよ」と返していました。ですよねぇ 。
医者のシェパードも休みなく働いても儲からない境遇を嘆き、自分がゆすっていた女性を侮辱するような言葉を吐いていましたけど、人間割りに合わない、自分が損をしている、と思うとイライラして攻撃的になってしまうものなのでしょうね。
「働き方改革」大事。
ボブの尻が可愛くてたまらん。
ミニチュアシュナウザーのボブは飼い主のエミリーが亡くなった後、一人遺産を相続する事になったミニーとグレンジャー医師に厄介払いされます。ミニーは「自分はボブに嫌われているから」と言い、グレンジャーは「あなたが引き受けてくれないと殺処分することになる」とボブに懐かれているポアロに押し付けて、最低だと思いました。
「殺処分」というワードを使えば相手が断れなくなると分かっていて言ってますよね。ミニーも遺産を一人で相続するのだから、故人が大切にしていた犬の新しい飼い主は自分で責任を持って探すべきだと、普通だったら考えそうなものだと思うのですが。遺産を全て相続した事で自分が犯人に狙われるかもしれないと怯えるも、遺産放棄も遺産分配もしないし、最初は慎ましい女性という印象でしたが浅ましい人、というイメージに変わってしまいました。
ただ、エミリーは病気で身体が辛いのと、自分の資産を狙って誰かが自分を殺そうとしているという不安からイライラしてミニーに当たる事もあったから、エミリーが亡くなってもう自分の役目は終えた、犬の面倒まで見きれない、という気持ちだったのかもしれません。
それでもやっぱりボブに罪はないし他人に世話を押し付けるのは間違ってますけどね。
ベラも高圧的な夫ジェイコブに萎縮している妻を演じていたのですが、夫が「卑屈になって他人に媚びるようになった」といって、あそこまで憎み貶めようとする前に、話し合おうという発想はなかったのでしょうか。なぜ殺人を犯す方にいってしまうのか、思考回路が謎。
生真面目なジェイコブと二人の子供たちのその後が心配。ギリシャで幸せになってくれると良いのですが。
それにしてもボブ役のワンコの演技が秀逸。
ヘイスティングスには申し訳ないけれど、今回のポアロの相棒は間違いなくボブでした。
ジロー警部が強烈なキャラクターでした。誰に対しても威圧的で好感は持てないけれど、なんとなく憎めない感じです。ポアロよりもふたまわりほど恰幅が良く、常時パイプを咥えています。自分をフランスで一番有能な刑事だと思っている割には、結構短絡的な思考で捜査しているように見えました。
逆に署長のベクスは穏和そうな人でした。ジロー警部のような部下は手にあまりそう。
ジャックの恋人で隣人のマルトと母親のドブレイ夫人は、隣のご主人が亡くなった事でポアロたちが話を聴きに来たのに、非協力的で薄ら笑いまでしていたので、「この母子なんか好きじゃない」と思いました。
例え普段は良く思っていなくても、普通隣人が殺されたとなったら怯えたり気の毒がったりするものではないでしょうか。
しかも義理でも恋人の父親が殺されたのだから、ああいう態度は無神経に感じます。
一方、ヘイスティングスは一目惚れしてしまったホテルの歌手イザベルに訊かれるまま、事件の事をペラペラ話してしまう上、署長室まで連れていってテーブルにあった現場写真や犯行に使われたペーパーナイフまで見せてしまうので、呆れました。何年ポアロの助手やってんですか?
穏やかなベクス署長もこれには怒ってましたが当然ですね。
イザベルはジャックの元恋人だけれど、ちょっと年齢が離れているような。イザベルは大人っぽくてしっとりした美人なのに、ジャックは学生っぽいので、なんだかちぐはぐな印象を受けます。
ドブレイ夫人は、10年前のベロルディ事件で夫の友人を、今度は自分の娘を唆して人を殺させたので、本当に許しがたいです。どちらも資産を狙ってのことなので、とんだ銭ゲバですね。しかも人にやらせて自分の手は汚さない。今回は無罪放免にならなくて良かったけれど、マルトは少し可哀想。10年前ドブレイ夫人が死刑になっていたら、少なくとも彼女は母親に唆されて殺人者になる事はなかったと思います。
ミス・レモンのお姉さんが登場。海外で暮らしていたけれど、夫が亡くなって帰国したそう。今は学生寮の寮母をされているみたいですが、とても優しそうな人ですね。
日本の学生寮だったら階違いにしたり、別棟にしたり男女で分けると思うのですが、ここでは特にそういう分け方はしてない事に軽くカルチャーショックを受けました。
部屋自体は当然男女で分けるけれど同じ階なのですね。
それにしてもこの寮には頻繁にネズミが出てきます。住み着いていて我が物顔で寮中を歩き回っています。よく見ればかわいい気もするけれど、キッチンを荒らされたり数が増えたら大変だから猫を飼った方がいいかも。でも寮のオーナーと学生が2人殺されてしまったし、寮は継続出来るのか疑問ですね。
シーリアの病的盗癖は心理学を専攻しているコリンの気を引く為の嘘だった訳ですが、まんまとそれに引っ掛かったコリンが滑稽でした。
心理学を持ってすれば完全犯罪は可能、自分には出来ると嘯いていましたが、自分の心理は客観視出来ないし、シーリアの嘘も見抜けなかったのですから。
今回のジャップ警部は散々でした。奥様が里帰り中の為に、慣れない家事に悪戦苦闘。キッチンは洗い物がたまって無惨な状態だし、アイロンをかければシャツに焦げ跡をつけてしまう始末。
気をきかせたポアロが自宅に滞在するよう勧めたのは良かったけれど、食生活が合いませんでした。
ポアロがジャップの為に用意したディナーがまさかの豚足!
母親直伝って言っていましたが、ヨーロッパにも豚足を食べる習慣がある国があったのですね。コラーゲンはタップリありそうですが、見た目がグロい。ジャップ警部もミス・レモンも表情が死んでいました。
朝食もトーストした耳なし食パンを碁盤目のようにカットしてイチゴジャムをチマッとのせただけ。
ポアロは何故あれだけで足りるのか・・・。ジャップ警部の言うようにベーコンエッグが欲しくなります。
ポアロ本人は快適に過ごしてもらおうとしているのに全て裏目に出てしまっているのがなんとも言えない。
ジャップ警部がポアロへのお返しに手料理のマッシュポテトと煮豆とレバー団子を振る舞いますが、これも見た目が美味しそうではありませんでした。ポアロはレバー団子アレルギーと嘘をついて(ズルいですね)チーズを所望しますが、出されたのはネズミ取り用のチーズ!・・・デザートの「ブチプディング」がどんなものか見てみたかったです。気になる。
ジャップ警部は毎年親戚の家でクリスマスを過ごすそうで。 親戚一同でクリスマスソングを大合唱。歌が大好きなんですね。でもジャップ警部は所在無げに一人イスに座って聴いているだけ。一緒に歌えばいいんじゃ・・・と思うけれど、イヤなんでしょうね。多分最初の1、2曲は仕方なく付き合って歌っていると思います。「クリスマスには歌っていればいいと思っている奴等」とポアロにこぼしていたので、親戚の皆さんは延々歌っているのでしょう。だとしたらジャップ警部が辟易するのも解ります。クリスマス休暇中に殺人事件に巻き込まれるなんてツイてないと思うけれど、今回のジャップ警部に限っては幸運でした。
そしてポアロはジャップ警部から思いがけずクリスマスプレゼントを貰い、嬉しそうでした。全く期待していなかった時に、こういうささやかなサプライズをされると嬉しいものですよね。ただ、中身は警部の奥様が編んだ手袋。可愛いけれど、どう見てもポアロの好みとは言えません。結構付き合い長いのに、友人の趣味を分かっていないのは刑事として洞察力に欠けてますよ、ジャップ警部!
奥様が時間をかけて編んだモノと知って、精一杯喜んでいるフリをするポアロが優しいと思いました。
因みにポアロがジャップ警部にお返しに渡したクリスマスプレゼントは、葉巻でした。さすが好みを分かってますね。ラッピングも素敵でした。
「私だったらロンドンから離れる」という医者の言葉を素直に聞き、日頃の疲れを癒すべく休暇を取ったポアロ。けれどラッキー・レンを見つけたら10ギニー貰える、という新聞広告のせいで何度も人違いされ、その度に10ギニーせびられる羽目に。これじゃあストレスになるばかりでリフレッシュ出来ませんよね。気の毒に。
劇場のプロデューサーのオパルセンは遣り手なのかもしれないけれど、高価なパールのネックレスや、ポアロを劇の宣伝に利用したり、脚本家のアンドルーには雀の涙ほどの脚本料しか払わなかったりと、あまり好人物とは言えません。そのくせ愛想は良いので余計厭らしく感じます。
オパルセンの妻で舞台女優のマーガレットは、ポアロに「二幕までで犯人が解ったのでは?」とお愛想を言いますが、舞台の宣伝に利用された事に不快感を露にしたポアロが「幕が開けた瞬間に解りましたよ」と返したのが痛快でした。失礼な仕打ちをされたのだから、これくらいの仕返しは可愛いものでしょう。
運転手ソーンダースが持っていたステッキの柄の部分が、黒い皮でゾウを型どっていて可愛かったです。
ソーンダース自身は少し冷徹っぽい雰囲気の人なので、そういうステッキを持っているのが意外でした。もしかして妻で共犯者でもあるグレースからのプレゼントだったりして。
最後にポアロがラッキー・レンを見つけたけれど、そんなにポアロと似てませんでした。なんであんなに人違いされたのでしょう。しかもラッキー・レンは「すぐに見つかっちゃうから新聞社から解雇された」というのでポアロは10ギニー貰えませんでした。・・・アンラッキーですね。
競売場でのポアロとシェブニックスの競り合いが面白かったです。
鏡とテーブルのセットを90ポンドまでで競り落としたかったポアロですが、狙い通りに決まりかけた所をシェブニックスが横やりを入れて、結局120ポンドでシェブニックスのモノに。しかも競り合っている時と競り落とした時のシェブニックスの表情が嫌な感じ。相手を見下したような小バカにしているような印象です。
その後、詐欺被害に遭ったから調査してほしいとポアロの都合を無視して強引に約束を取り付け、報酬に鏡とテーブルのセットを譲ると言いましたが、元々それが狙いで競り落とした様なので、ますますシェブニックスに対する印象が悪くなりました。まるで世界が自分中心に回っていないと気が済まないタイプですね。
甥のヒューゴーには養女のルースと一緒になって欲しいシェブニックスは、婚約者のスーザンとの結婚には反対していて、自分に背くなら投資もしないと言っているらしい。ここでヒューゴーがシェブニックスに投資してもらわなくても結構!と突っぱねるか、自分のやりたい事を諦めてスーザンとの結婚を選んでいたら格好良かったんですけどね。
シェブニックスが殺害されて遺産相続して棚からボタモチ状態は、ちょっとどうなのだろうと思いました。
シェブニックスも何故本人たちの意思を無視して結婚させたかったのかよく分かりません。政略結婚ならともかく、自分の利益になる訳でもないのに。
助手のリンガードさんが犯人だったのは意外でした。シェブニックスが自分の意に反する結婚をしたらヒューゴーもルースも遺産相続から外す、という新たな遺言をしたためていた事が動機でしたが、なんでそうなるのでしょう。
確かにシェブニックスは横暴ですが私生児だったルースを何不自由なく育ててくれた人です。自分の都合でルースを捨てたのに、今度はルースが遺産相続から外されるのを阻止する為に、シェブニックスを殺して夫人に罪を着せようとするのは身勝手過ぎるし、恩知らずに感じました。
例え遺産の相続権を失っても、ルースが内緒で結婚したジョンと幸せになれるように見守ってあげたら良かったのに。
私はアガサクリスティーが大好きで、名探偵ポアロシリーズをいろいろ見てきました。どんな話も期待を裏切らないポアロの実績、巧妙なトリックは犯人をしっていても何回も楽しむことができます。本も読んでいるので、ドラマで復習をしている感じです。
今BSでやっているのはデビット・スーシェのドラマですが、どんな俳優よりも彼が一番イメージにあっています。相棒のヘイスティングズやミスレモンも想像通り。全く飽きないドラマです。
ポアロがまだベルギーで警官をしていた頃の事件。ベルギー警察の制服が可愛かったです。上司に怒られても怒鳴られても意思を貫き単独捜査を進めるポアロを見て、男気を感じました。そして組織には向いてないな、とも思いました。私立探偵のポアロが見慣れているからか、警察という組織に属して、事件解決よりも権力者の顔色を伺うことに神経をつかう上司に仕えなければならないポアロの姿は変な感じです。
デルラール夫人は敬虔なカトリック信者だったので、息子のポールがしたことを見過ごせなかったのでしょうけれど、マリアンヌが亡くなったのは過失致死と言えなくもないような・・・。一部始終を見ていたのなら、なぜその時に自首をすすめなかったのか、なぜ警察に黙っていたのか疑問に感じました。
ポールがマリアンヌとの結婚写真を机の引き出しにしまう度に、デルラール夫人が机に飾りなおして忘れようとするのを許さない沈黙の攻防も恐ろしい。
夫人がポールを殺害することを決意したのは、自身が病気で余命僅かということもあったと思うのですが、ちゃっかり他人に罪をきせようと薬の小瓶を仕込んだりしていて、潔いのか潔くないのか、デルラール夫人に関しては色々と矛盾が多いように思いました。
ブリュッセル市長のサン・タラールがポアロに対して怒りを露にしていたので、一体どんな経緯が?と思っていたらビルジニーとグルになってハニートラップ仕掛けていたのですね。最初は市長という社会的地位のある人がレストランで周囲の注目を引くほど突然怒り出すなんて、と思いましたが犯人と疑われ恋心を利用されたのだから、それは根に持たれても仕方ないですよね。
ミス・レモンに恋人が出来たらしく驚きを隠せないヘイスティングスと、冷静に何気ない風を装いつつ相手がどんな人なのか興味あり気なポアロ。好奇心もあるけれど心配でもあるのでしょう。
ポアロの招待でやってきたグレイブスは、控えめで真面目そうな感じで印象は悪くはありませんでした。
フォスカティーニ伯爵が殺害された事で、本当は伯爵の秘書ではなく召し使いだったと白状した時も、ミス・レモンはちょっと失望したみたいだったけれど、意中の相手に多少の見栄を張る事くらいあるでしょうと思いました。むしろ自分から白状したので潔いと感じました。
だからグレイブスが殺人犯でしかも妻がいたと知って、まんまと騙された!と思いました。
「名探偵ポアロ」では結構このパターン多い気がします。特に女性。追い詰められて化けの皮が剥がれた時に悪態付くのも女性なんですよね。原作がそういう風に書かれているのでしょうか。
ヘイスティングスがカーチェイスの末、ミス・レモンを騙したグレイブスを一発殴ったシーンが痛快でした。
でもポアロたちの心配をよそに、本人はもうすでにグレイブスへの関心がなくなっていたので良かったです。フォスカティーニ伯爵の猫をグレイブスが殺処分しようと言った事が決定打になった訳ですが、秘書ではなく召し使いだった事が分かってから気持ちが冷めていたように思います。男性が召し使いだとダメなのでしょうか? ミス・レモンは職業婦人だから自分と同等以上の稼ぎのある人が望ましかったとか?
ポアロの友人アンドルーは、保守的な価値観の人で、女性の社会進出を良く思っていません。
10年前に遺言を作成した時、プリチャード主治医やシダウェイ弁護士夫妻と息子ロバート、ベイカー巡査部長夫妻と息子ピーター、カンピオン学長にはそれぞれお金を遺す事にしたのに、唯一共同経営者の娘バイオレットを除外したのにもその考えがあったからでしょう。
頭の悪い人でも性格の悪い人でもないけれど、女性蔑視としか思えません。
方やカンピオン学長は女性の自立を推奨していますが、別に仕事に邁進しようが専業主婦になろうが個人の自由でいいと思います。何故どちらか一つの選択肢にしたがるのでしょう。ただ、大学が女性の学位授与を認めていないので、学長が個人で女学生の授与式を行っているのはとても素晴らしいと思いました。
アンドルーはバイオレットのケンブリッジでの好成績を誇らしく感じ、遺言を書き換え遺産を全てバイオレットに遺そうとしますが、それが元で殺害されてしまいます。
実はバイオレットはアンドルーとカンピオン学長の子供なのですが、亡くなった共同経営者の子供としてアンドルーが引き取ったので、罪滅ぼしでもあったのかもしれませんね。
アンドルーとカンピオン学長の間でどんな取り決めがあったのか分からないけれど、価値観が真逆のふたりだし一緒にはなれなかったのでしょう。
それにしてもアンドルーは弁護士の妻セーラと不倫していたし、巡査部長の妻マーガレットとも親密だし、結構タラシ気質なのでしょうか。
ロバートは真面目で賢く女性を対等に見てくれる人なので、好感が持てました。母親のセーラが自分の息子にアンドルーの遺産を全て相続してほしくて殺害したことを知ってしまったので立ち直れるのか心配です。バイオレットが慰めても罪悪感は消えないでしょうし。でもカンピオン学長は「なんとしてでも大学は卒業させる」といっていたので希望はありそうです。バイオレットもアンドルーが父親と知ってショックを受けていたけれど、遺産で自分の出版社を創ると言っていたので逞しいなぁと思いました。
ポアロの朝食の少なさに驚きました。お皿の上にミミなし食パンをトーストして3×2㎝ほどにカットしたようなモノに、イチゴジャムを乗っけて3×3列に並べているだけの朝食。ポアロは美食家だけれど大量に食べている所は見たことがありません。意外と少食なのでしょうか。だとしたら、一体あのスタイルはどのように維持しているのか・・・。そして息の詰まるような几帳面さ。別に一口サイズに切ってチマチマ並べなくてもいいじゃない、能率悪いし、と思いましたが、それがポアロだから仕方ありません。準備から片付けまで本人がキッチリやる訳ですし。ポアロには決まり文句がいくつかありますが、「調和の問題」もそのひとつ。他の人にとってはなんでもないことでも、それが崩れると我慢出来ないというかストレスなのでしょうね。
ヘイスティングスにもっとイギリスらしい朝食にしては?と言われますが、美食家のポアロはイギリスの食文化には否定的でしたね。確かに「イギリスの食事は美味しくない」と耳にしたことは何度かあります。
けれど事件を解決した後、何も食べてなくてお腹が空いているのに時間的に店は閉店していて、ヘイスティングスの提案で屋台のフィッシュアンドチップスで空腹を満たすことにしたポアロが満更でもなさそうな顔でパクパク食べているラストシーンがとても可愛かったです。
戦争は雇用を生み科学を発展させる、綺麗事では生きていけない、というのがアストウェル科学工場の社長であるルーベンの信条でした。
そういうことを客人のいるディナーの席でも捲し立てるから、雰囲気最悪。あんな人と一緒だと、せっかくの料理も美味しく感じられないでしょうね。
クリスチャンだからか結構人に対して寛容で、ルーベンとは初対面のポアロでさえ「初めてですよ。あんな不愉快な人は。」と評するくらいですから、妻のリリーや弟のビクターたちの日頃の気苦労が窺われます。
確かにルーベンは戦争を利用することで会社の利益を得て勝ち組ではあるけれど、誰にも愛されていないどころが目の上のタンコブのような存在で、殺されても誰も悲しんでいない・・・その点から見るとプラマイゼロかもしれません。
むしろ、書斎に忍び込んで逃げようとした所を見付かって咄嗟に装飾品でルーベンを撲殺してしまったトレフューシスに同情してしまいますね。自分が完成させた研究を売り飛ばされてしまったらトレフューシスに入る筈の報酬はゼロになってしまうのだから理不尽に感じるのは当然だし、なんとか阻止しようとしたのだって理解出来ます。でも書斎からコッソリ逃げ出すなら、もう少し身を屈めて慎重に移動すると思うのですが、トレフューシスが結構普通に出てきちゃったのを見てビックリしました。あれじゃ誰だってすぐ気付く!
それにしても、沢山の芸術品を高値で転売するために所有して、芸術的価値には全く興味を示していなかったルーベンが、それの装飾品で撲殺されたのはちょっと皮肉ですね。
ミス・レモンの催眠術の腕前が炸裂していました。確か先週はタロットをいじっていましたけれど、ミス・レモンには占いなどスピリチュアルな方面の才能が備わっているのでしょうか?ヘイスティングスのナイスショットもミス・レモンのお陰かも。
エジプトの遺跡を開けた人が突然死した、というのは実際にあった話ですよね。
お墓を暴く行為が死者の怒りをかったとして呪いじゃないか、と恐れられたとか。
日本でも昔から墓泥棒やお供え物を盗んだり、墓石にイタズラした人は罰当たりとか祟られるって言いますから似ていますね。
ただの迷信ととるかは人それぞれ。
さて、メンハーラ王の墓を開けた直後にウィラード考古学者が心臓発作で亡くなってしまいます。
犯人はその偶然の死を利用して連続殺人を計画し、実行してしまう。と言うのもドクターエイムズは学生の頃、海でルパートが溺れた時に助けた事があり、恩義を感じたルパートは冗談半分で自分に何かあったら自分の財産は命の恩人であるエイムズに遺す、と遺書をしたためてしまった事が発端でした。
溺れた人を助けた事があるのに医者の立場を利用して友人を含む三人を殺害したのだから許しがたいです。
ルパートの叔父ブライズナーが死ねばルパートに遺産が入るという目論みで敗血症を、呪いで死ぬという事を印象付ける為にシュナイダーに破傷風を、それぞれ薬を毒として使って殺害。自分で毒を打った相手がひどく苦しんでいるのを治療をするふりをして見ていたのだから最低。
さらにポアロまで青酸カリで殺そうとするから、さすがに医者であるエイムズが怪しいって分かっちゃいました。
ルパートは健康体でスポーツマンだけれど、ちょっとしたケガや体調不良を気にするタイプであった為に、風土病で助からないという嘘を信じ込み自殺。セカンドオピニオンは?とも思いましたけどルパートとしては命の恩人で医者のエイムズの言うことだから疑う余地も無かったのでしょう。でも医者である分ズル賢いですよね。相手の性格と自分への信頼感を見越して仕向けているのですから。
2、3週ぶりにヘイスティングスとミス・レモンが登場してくれて嬉しかったです。
でもヘイスティングスあまり活躍出来ませんでしたね。ポアロがエイムズのテントを物色している間、エイムズを足止めして不審がられただけ。事件の捜査で来たカイロで発掘のロマンを感じたヘイスティングスが「残って発掘調査に志願しようかな」と言ったのがとても彼らしいと思いました。
ポアロが強張った表情で訪れた場所は一体どこなのか、と思っていたら歯科医院だったのですね。納得。大人でも憂鬱なものですから気持ち分かります。
歯科医のモーリーが秘書のグラディスの交際相手の事に口出しするのはおかしいと思いましたが、常にケンカ腰で粗暴な振る舞いのフランクを見ればグラディスを心配して別れた方が言いと助言したくなるのも頷けます。けれど相手が職を失ってイライラしている時も、殺人の疑いをかけられた時もフランクを一途に信じ擁護したグラディスの愛情は本物だと思います。
フランクは危うくブラントの計画通りに絞首刑になるところだったのだから、今度こそまともな仕事に就いてグラディスを幸せにしてあげて欲しいですね。
銀行家のブラントは権力欲しさに資産家の娘と重婚しますが、それを容認してしまう妻のガーダが理解不能。ブラントは凡人には理解出来ない、ガーダは根っからの女優だから喜んで別人を演じてくれたと言っていたけれど、反対したり言うことを聞かなかったら夫に嫌われ捨てられるかもしれないという強迫観念が根底にあったのかも。
けれどガーダは重婚がバレそうになったことで古い友人を殺害してしまっているので、ブラントとは似た者通しとも言えますね。こういう相思相愛は恐ろしい。
常々欧米の方々の区別が付かないと思っていましたが、ニューヨークから来たブラントの義姉ジュリアと姪ジェーンを見ていると、やっぱりアメリカ人という感じがするので不思議です。どこがどう違うのか。まずファッション。あと立ち居振舞いでしょうか。欧米の方々から見たらアジアンは区別出来ないとおっしゃるでしょうけれど、違いも共通点も楽しめたら平和ですよね。
金貸しのジゼルを見ていてちょっと「クリスマス・キャロル」を思い出しました。金貸しで他人から嫌われているのが共通していますね。ジゼルがお金を貸すのは上流階級の人間と決まっていて、常にスキャンダルを探しているというから悪趣味です。お金を借りたら返すのは当然ですからジゼルが責められるのは不当のような気もしますが、セシリーのように行く先々まで付け回されるのはかなりのストレスですし、一種の脅迫行為ですから怒りたくなるのも分かります。
ジゼルは何か過去に上流階級の人間に屈辱を受けたのでしょうか?だから上流階級の人に絞ってお金を貸して返済が滞れば付け回し、憂さ晴らししていたのかと思うと憐れにも感じます。
ジゼルのメイドであるエリーズは忠義者のようだったので、きっとジゼルの良い部分を知っていたのかもしれません。ただの雇用関係だったら警察が来る前に書類を暖炉につっこんで処分したり、ジゼルの生んだ私生児のことで泣いたりしないですよね。きっと。
娘であるアンは母親であるジゼルを憎んで恋人と共謀して殺害に協力してしまうわけですが。憎むのは仕方ないとしても普通恋人にそんなこと持ちかけられたらドン引きしますよ。
ドン引きと言えば考古学者のデュポンがジェーンを待ち伏せしていたのもドン引きでした。怖い!
アフリカ発掘調査の寄付金をポアロに出して貰えないか口添えをして欲しいという話でしたが、発掘に興味のない人を低能と決めつけたり、蜂の殺し方といい、デュポンはどうにも気持ちが悪い。ポアロはジェーンからその話を訊いて寄付することにしてしまうのが意外でした。人が良いですね。
ポアロシリーズの中でもABC殺人事件はインパクトが強いです。
それと言うのも、殺害場所と被害者の名前がABCの順に行われる連続殺人事件で、犯行前にポアロ宛に挑戦状が送り付けられ、登場人物にもそれぞれ被害者を殺害する動機がありそうだったり、ストッキングのセールスをしているカストが挙動不審で見るからに怪しかったりと見る人を飽きさせないストーリー展開が流石なのです。
連続殺人事件で4人もの人が次々に殺されてしまうのですが、南米に滞在していたヘイスティングスのポアロへのお土産であるカイマンの剥製が何度も登場して、クスッと笑わせてくれます。ワニって獰猛だけれど、あの外股の脚や胴長のボディがコミカルに見えますよね。
ヘイスティングスはイギリスに帰ってきてからカイマンを仕留めた武勇伝を披露したがっていましたが、ポアロやジャップ警部は興味を示しません。最後に無実が証明されてお礼にやって来たカストだけがカイマンの剥製を「これは素晴らしい」と目を輝かせてヘイスティングスを喜ばせていました。カストは人付き合いがあまり得意ではなさそうだけれど、社交的で優しいヘイスティングスとなら良い友人になれそうですね。何よりモノの趣味が合いそうです。有名人となって新聞社から取材を申し込まれたカストは「しばらく旅行にでも行こうかと」とポアロに言っていたのですが、ヘイスティングスの南米の話を訊いて、南米に旅立ったら面白いなと思いました。
お金持ちだけれど皆から嫌われているペイス。銃殺されても誰にも悲しんでもらえなくて少し可哀想。自分が死んだ時に何人の人が本気で悲しんでくれるか、ペイスが考えることがあったなら周囲の人にもう少し優しくなれたでしょうか?
アーチーはポアロたちに、ペイスの異母兄弟のジャックに対する仕打ちや戦争で儲けたこと、嫁の財産を奪った事など悪口を捲し立てていたけれど、本人が亡くなってからそんなことを言うのは卑怯なように思いました。ペイスは莫大な財産にモノをいわせて人を支配していたと言うけれど、ロジャーが博打の借金で首が回らなくなったのは本人の責任だし、ジャックやアーチーたちだってお金よりも自由を優先することは出来たのでは?と思いました。
ヘイスティングスたちが雷鳥を狩るのをポアロは椅子に座って本を読みながら待っていましたが、よくあんな所でじっとしていられるなと思いました。誤って撃たれそうで怖いですし、雪の降るなかじっとしていたら寒いですよね。ヘイスティングスたちのように猟銃をバンバン撃っていれば暖まりそうですけど。
それほど雷鳥料理が楽しみだったのでしょう。
鉄道員のアンストラザーのキャラクターが良かったです。田舎訛りの言葉と自然体な振る舞い。風邪をひいたポアロにブラックベリーティーを淹れてあげて、なかなか親切です。
ポアロもそれが嬉しかったから、アンストラザーが犯人に盗まれた自転車を見つけ出して届けたのに、泥だらけでタイヤカバーがひしゃげているのを見て「そんな自転車に乗っているのを人に見られたら恥ずかしい」と喜んで貰えなかったので腹を立てていました。
確かに自分の親切がムゲにされたらガッカリするのも分かりますが、自分の持ち物が盗まれるだけでも気分悪いのに、ボロボロになって戻ってきたら喜べないのも理解出来ます。
プリプリしているポアロにヘイスティングスは「感謝されたいから親切にするんですか?」と問い、ジャップ警部は「これしきのことで泣き言を言ってたら務まりませんぞ」と言います。
うーん、正しいけどキビシイような。まぁ二人なりの励ましなのでしょうね。
BBCラジオ局に勤めるアカリーの招待で、仮装舞踏会に出席したポアロたち。ヘイスティングスはバッチリ仮装をしましたがポアロは仮装拒否。お誘いを忘れていたから当然衣装の用意もなかったので仕方ないのですが、もし約束を失念していなかったらポアロがどんな仮装をしたのか興味あります。
マラビー夫人は玉の輿にのるべくクロンショー子爵をロックオンしますが、子爵は自分よりもずっと若いし
ココという女優の恋人までいるのに自分に靡く可能性を信じているのが少々厚かましいような気がしました。
分相応な高額な骨董品集めが趣味のユースタスは、甥である子爵の財産を当てにしてまで趣味に投資しようとしていて呆れました。
しかも甥が殺害されたことで爵位と遺産を相続したとたん、また高額な骨董品を購入しているし、マラビー夫人は見事に子爵となったユースタスの恋人に昇格。恥も外聞も気にしない厚顔な者同士お似合いかもしれません。でもふたりとも浪費家だから、すぐに家計が苦しくなりそう。
ポアロは新聞記事に、名探偵が犯人に逃げられたなどと書かれたことが相当悔しかったようで、わざわざ謎解きをラジオにのせてすることに。
舞踏会でポアロが解決した事件をラジオドラマに使いたいと言っていた アカリーは大喜びしますが、BBCに「発音が変」「英語の品性が落ちる」などの苦情電話が殺到してしまい、そこまで言う?と思いました。私は外国人がたどたどしい日本語を話していても日本語の品性が落ちるなんて考えたことありませんけど。
悦に入っていたポアロも流石に気まずそうな顔するかなと思いましたが、苦情電話をジャップ警部の乱暴な口調のせいにして怒ってました。ポアロの些細なことでいちいち落ち込んだり気にしたりせずにユーモアで蹴散らす所、好きです。
ミステリーの女王、アガサクリスティの名探偵ポアロ。シャーロックホームズより好きな作品。所でポアロなのかポワロなのか未だにわからん誰か教えて!そして誰も居なくなった。オリエント急行殺人事件。どれも大好きな作品。ありすぎてタイトルが出て来ない。デヴィッドスーシェのポアロは当たり役でした。ミスマープルは余り気にしなかったけど…。オリエント急行、ナイル殺人事件、ポアロ役の人はどれもミスキャストでアガサ氏をがっかりさせたとか…。デヴィッドスーシェに出会う前に逝ってしまったのが残念で悔やまれます。娘さんもそう言ってくれましたっけ…。ポアロもコロンボも嬉しい事に今放送されてます何度観ても飽きません。やはり名作だからでしょうね。まだ映像化されて無い作品があるのでしょうか?なら小説で是非読みたいです‼️
イギリスのチョコレート屋さん、というだけでもワクワクしますが、クリスマスシーズンだと尚更ワクワク感が増します。ポアロが500グラムのチョコを買っていて羨ましくなりました。包装もクリスマスらしい赤の小箱で素敵です。ポアロの言う通り、誰かと一緒ではなくても何冊かの本とラジオと最高のチョコがあれば幸福なクリスマスだと思います。
けれど事件はポアロにクリスマス休暇も与えてはくれません。
突然外務省に連れていかれ、エジプトの王子がイギリスで知り合った女性にルビーを盗まれたことを次官から聞かされたポアロは、そんな愚か者を助けるのは断る!と言い放ちますが、当の本人に気に入られ次官からはイギリスの国益の為にと頼まれ渋々引き受けます。
ファルークは自分の事を悪く言ったポアロを怒るかと思ったので、笑顔で「この男気に入った」と言ったのは意外でした。普段周囲に自分の事を悪く言う人がいないから新鮮だったのでしょうか。
次官が王子はまだ19歳なので、と言った時は驚きました。20代後半くらいかと。エジプトの為にも傲慢さが改善されると良いのですが。
デズモンドとグロリアが兄妹、という割には距離感が近くて変だなぁと思っていたら、実は恋人同士だったのですね。ルビーを盗むアリバイ工作の為に、セアラの恋心を利用するとはゲスの極み。でもセアラは事の真相を知ってもあまりショック受けていなさそうというか、はやくもデイビットと良い雰囲気になっていて立ち直りが早いというか、変わり身が早い。いえ、逞しいですね。
最初のフェンシングでの決闘シーンが怖かったです。相手が全く乗り気ではなくても審判も立会人も無視して事を進めてしまうのが、不気味でした。決闘を挑まれたら断る選択肢はない、というルールなのでしょうか?真剣を使用しているのに目だけはゴーグルのようなモノで保護しているのもよく分かりません。
マーゲリートはカッとなりやすく束縛の強い夫に怯えながら暮らしていたそうだけれど、私はクレイトンが可哀想に思いました。
妻を娶ったは良いけれど、リッチ少佐と不倫しているのではないかと思い悩み、相談相手のカーチス大佐に嵌められ残酷な殺され方をされてしまうし、妻は不倫はしていなかったけれど、リッチ少佐に想いを寄せていて「夫が死んでくれたら」と願っていたわけですから。
妻の心が自分にないことを感じていたから余計に疑惑が深くなったのかもしれません。そんなに固執するほど好きだったのなら優しくしたらよかったのに、とも思います。
ミス・チャタートンは、マーゲリートはモテていたので結婚相手にクレイトンを選んだのは不思議、と言っていましたが多分その時は彼が良いと思ったのでしょう。
マーゲリートはリッチ少佐が自分の為に夫を殺害したと思い込んで自殺未遂するけれど、不倫関係ではない友人の自分の為に、何故そこまですると考えたのか不思議でした。
リッチ少佐に好意を抱いていたのに無実を信じてあげないし、自分の保身を優先して口をつぐんだまま死のうとするし、身勝手に感じました。
ミス・レモンは休暇の為、ヘイスティングスがポアロにお茶を淹れてあげたのですが、味が違う!と怒られ可哀想でした。だったら自分で入れましょう。お茶に砂糖3杯入れると訊いて多いと思いましたが、探偵業で脳エネルギー使うから糖分が必要なのかも、と思い直しました。
ジャップ警部の首がかかった事件。宝石が盗まれる連続事件を解決しないと首を言い渡されたジャップ警部、いつになく弱気になっていて可哀想でした。勤勉な刑事なのに首なんて酷いですよね。パワハラ。総監も宝石を持っている奥様に事件解決をせっつかれているようですが、だからってジャップ警部に当たらないで欲しいです。
ハードマン所有のエメラルドのネックレスが盗まれポアロが捜査に加わりますが、ハードマン邸でのパーティーに参加していた伯爵夫人にメロメロに。伯爵夫人とデートに繰り出すポアロの様子にヘイスティングスとミス・レモンが、ジャップ警部の首がかかっているのに事件を放ったらかしている、と誤解し心配してしまうのが仕方ないけれど、ポアロあまり信用がないんだなぁと思いました。結局ネックレスは伯爵夫人から返してもらったけれど、犯人は浮浪者のせいにしてしまって見逃してしまったから、どうなのでしょう。しかもヘイスティングスが遭遇した浮浪者は、ポアロが私立探偵仲間に頼んで変装してもらっていたのだから本当に抜け目がない。まぁ殺人ではないから大目に見たのでしょうけれど。
伯爵夫人は確かに終始優美な方で、ポアロが見逃したくなるのも解る気がします。犯罪を犯しているのに、あれほど優美でいられるのが不思議です。
ミステリー好きな宿屋の主人、ノートンが面白かったです。自作のミステリー小説を書き始めたものの収拾が着かなくなり、犯人を捻り出して貰う為にポアロに手紙を書く、という発想からしてちょっと図々しい。しかも小説の内容であるということを書き忘れた、というのだから呆れてしまいます。ポアロは本当の殺人事件が起こったと信じてはるばる駆け付けたので、当然不快感をあらわにしますがノートンは全く悪びれずグイグイ自作の小説を勧めるからスゴい。自信がある、というよりはドン詰まりの小説を完結させたい一心なのでしょうけれど、天真爛漫さもあそこまでいくと迷惑かも。
アフリカ帰りのブラック大尉のスーザンへのお土産がちょっと衝撃的でした。魔除けらしい木彫りの置き物なのですが、あれを貰って喜ぶ女性は少数派だと思います。スーザン沈黙しちゃったし。ブラック大尉のお土産センス、女性の好み、アプローチ方法・・・色々残念。信頼出来る相談役を見つけて勉強したほうが良いと思いました。
お茶の葉占い、と聞いてハリー・ポッターを思い出したました。カップに残った葉の形を読み解く占いなんて胡散臭くて、ポアロが進んで占っているのは少し意外な気がしました。
ポアロはモリーのカップに付いた口紅を見て不倫を疑ったから、わざと不吉な占いを口にしたのかな?と思いました。モリーの婚約者のハリスンとポアロは旧知の仲のようだし、ちょっと意地悪したくなったとしてもおかしくありません。
ミス・レモンはフィットネスに通っているのですね。ポアロにも勧めていましたが、フィットネスをするポアロはちょっと想像出来ません。本人が憤慨して「ポアロの体型は完璧ですよ!」と言っているのが可笑しかったです。ポアロの自信満々なところは滑稽でありながらチャーミングで羨ましくもあります。
モリーとクロードはふたりしてハリスンを裏切っていて最低ですね。
コソコソと裏切りながら善人ぶっているのが嫌らしい。心変わりは仕方ありませんが、本当に善意があるのならきちんとケジメを着けるべきだったと思います。結局自分たちが悪者扱いされるのが嫌で黙っていただけでしょう。それを相手を思いやって言えませんでしたっていうフリをしているのが不快です。ですが、ハリスンが殺人者にならずに済んで良かったです。あの人たちの為にそれ以上苦しむことなんてありませんから。庭に居付いているスズメバチを駆除しようとしていたハリスンが、ポアロに全てを見破られ自殺も先回りで阻止されたことで憑き物が落ちたようになり、「スズメバチを殺すのは止そうと思います。なんだか愛着が湧いてしまって。」と穏やかな顔で言っていたラストが良かったです。自分の不運を受け入れられたわけではないでしょうけど、きっと最期も穏やかな気持ちで迎えられたと思えます。
本物のセレブは人に世話を焼かれることを当然のように思っているものなのでしょうね。
鉱山を所有するハレデイの一人娘フロレンスは、小旅行の荷造りもメイド任せ。あまつさえ父親に「(メイドを)手伝ってあげてね」と言い自分はなにもしません。有り得ない。自分の荷物くらい自分で詰めましょうよ。
ハレデイは裕福であるが故に、娘に近寄ってくるのは金目当ての男ばかり、と言っていました。フロレンスはフロレンスで、男性に言い寄られることを楽しんでいて、ちょっと浅はかな感じで、父親が危惧するのも分かるような危なっかしい女性ですね。
フロレンスに離婚を言い渡されていた夫は、確かに妻に幾度となくお金の無心をし、うだつの上がらない人でしたが、遺産相続を迷わず拒否したことから、彼は彼なりにフロレンスを愛していたのだと思いました。
フロレンスがその事を知らぬまま殺されてしまったのは、とても残念です。
宝石目当てで殺害した犯人たちが捕まったのは良かったけれど、男手ひとつで大切に育て慈しんでいた娘を殺されてしまったハレデイが、ポアロにしたためたお礼状が切なかったですね。
豪華客船のクイーンメリー号が格好良かったです。クイーンの名に相応しい風格。乗船を楽しみにしていたヘイスティングスは食当たりでダウン。けれど本当は船酔いでしょうか?自分は船酔いしないと言って酔い止めなどの準備をしなかったから認めたくなかったのでしょうね。ポアロにはバレバレでしたけれど。ポアロは神経質で几帳面な性格な為、船旅の荷物もコンパクトにまとめるのは大変そうですね。酔い止めをはじめとする薬ビンの多さに驚きました。今のように錠剤ではなく飲み薬オンリーだから携帯するのは重いでしょうね。あの時代のお医者さんは往診するには鞄が重くて苦労されたのではないでしょうか。
銀行のマクニールも神経質なタイプだけれど、ポアロのような可愛らしさがないですね。生真面目で人を見下しているし付き合いにくそう。
ミランダの変装は見事でしたが、ヘイスティングスの、女性はメイクで美人にも不美人にも変身出来るのなら、どちらを信じたら良いかという悩みには「はぁ?」と思ってしまいました。外見ではなく内面をみようとは思わないのでしょうか? 悪気はないのでしょうしどんな基準で付き合う相手を選ぶかは人の自由ですが、女性の価値は外見の美しさのみ、と言われているようで正直不快です。
イングリッシュガーデンが好きな人には楽しいと思います。ポアロシリーズでは舞台がイギリスなだけあってかイングリッシュガーデンがステキなお屋敷や田舎町などが結構出てくるので、そこも魅力のひとつと言えるでしょう。
バロビーは賢くて勘の良い女性でしたが、ポアロに助けを求めるのが一歩遅く残念でした。持病が無くひとりで自由に動けたのならもっと早く相談出来ていたのでしょうけど。
ジャップ警部は園芸に興味があったのですね。自分の好きな花の品種を覚えている人は少なくはないと思いますが、バラの系統がさらりと口から出てくるということはかなり好きなのでしょう。人間の嫌な部分を見ることが多い仕事だから休日は園芸で癒されているのかもしれません。ポアロもバロビーに「庭はお持ち?」と尋ねられて引退したら庭いじりしたいと思っていると答えていましたし、共通していますね。
犯行がバレて逃亡も叶わず、薬品が入ったビンの中身もアル中の夫が酒にすり替えていた為に自害も出来なかったメアリのヒステリーが凄かったです。そりゃ絞首台よりも毒を飲んで死んだ方がマシでしょうけど。夫はお酒以外のことにはあまり関心が無さそうというか、事の重大さを分かっているのか疑問に感じるくらいノンキ。叔母の殺害計画にも妻の言いなりで自分の意思はないのでしょうか?ある意味メアリより怖い。
今回はポアロがイギリスに亡命した頃に請け負った過去の事件。戦時中の頃なのでヘイスティングスが軍服を着ていてちょっと新鮮でした。
ヘイスティングスは友人ジョンから、母親が再婚相手に騙されている疑惑があると相談されてスタイルズ荘へ。資産家の母親が自分よりも20も年下の男性と再婚したら、財産狙いかもしれないと不安に思うのも仕方ない気がします。
ポアロたちベルギー人がイギリスに亡命出来るように尽力してくれて、その上住む所まで提供してくれたエミリーはなかなかの篤志家だと思います。でもちょっと家族には怒りっぽいというか冷たい印象。
立派なお城のような屋敷に住んでいるのに、空気が重々しいのはエミリーの再婚だけでなく、ジョンの不倫疑惑なども絡んでいるからで、つくづく「家族」って難しいなと思いました。夫の不倫を疑うメアリは姑の部屋に忍び込んで手紙を盗み見しようとしますが、突然心臓発作を起こしたエミリーに驚いて慌てて出ていってしまいますが、そこは人命救助しようよ!
次男のローレンスは意中のシンシアが事件に関わっていると勘違いして、母親の死を毒殺ではなく単なる発作ですませようとするし、なんかエミリーも浮かばれないよなぁと思いました。
再婚相手は財産目当てでイビーと恋人同士で二重に裏切られていたし、怨念で化けて出そう。
犯人たちが捕まってスタイルズ荘の人たちは幸せに暮らしました、のような終わり方だったけれどエミリーが幽霊になって住み着いたら面白いのになぁ。
マリー・マーベルというベルギーの映画スターが自宅に来るということで、ウキウキのポアロ。おもてなしの仕度にも力が入ります。お茶菓子やケーキ、サンドイッチがテーブルに置かれ、花まで飾られていて、まさにイギリスのアフタヌーンティー!ポアロの歓迎の気持ちがテーブルにいっぱい溢れていてステキでした。
「西洋の星」と呼ばれるダイヤが直径5センチくらいの大きさで驚きました。女性はなぜ宝石に固執するのでしょう。そして何故性悪な男に魅惑されてしまうのか。マリー・マーベルもレディ・ヤードリーも、グレゴリーのどこがそんなに良かったのか解せません。
突然来訪したレディ・ヤードリーに、不在だったポアロに代わってヘイスティングスが、すでにマリー・マーベルから依頼を受けて知っている事を「簡単な推理」と嘘を付いて格好つけて語るシーンが可笑しかったです。ポアロがマリー・マーベルの為に準備したアフタヌーンティーのサンドイッチをちゃっかりつまみ食いしたり、ヘイスティングスは少年っぽさがありますね。
ポアロとはまた違った可愛らしさがあるように思います。
行き付けのスーツの仕立屋で新しい服を仕立ててもらうべく、採寸をしてもらうポアロ。テイラーにウエストが測る度に増えている、と言われメジャーのせいにしていました。確かに嬉しくない指摘を受けたら言い返したくなりますよね。でも「巻尺が縮んでいる」という茶目っ気のある返しは良いと思います。世の女性やメタボに悩む男性は似たようなことを誰かに言われたらポアロのユーモアを真似するといいかも。
さて、首相が誘拐されたことでポアロに依頼がきました。
時々ポアロという名探偵のことを知らない登場人物が出てくることもありますが、一国のリーダーの誘拐を依頼されるくらいだからポアロの名探偵振りはやはり有名なのですね。
首相の側近バーナードは、フランスで誘拐されたと思い込んでいるので、イギリスにとどまって捜査をしているポアロにヤキモキして文句を言い募りますが、ポアロは柳に風。自分の能力に自信を持っているからこその落ち着きですね。周囲からのプレッシャーなんてまるで感じていない様で凄いなと思いました。
ステキなマンションを格安で借りられることになったら迷わず契約するか、隣人トラブルや事故物件などの問題があるのかもしれない、と警戒して別の物件を探すか、悩むところです。
ロビンソン夫妻が契約をしたものの、一抹の不安が拭えずにいるのも仕方ありませんよね。何も起こらずに済めば万々歳だけれど、そうは問屋が卸しません。
名前が同じロビンソンであったが為に、知らぬ間に青写真を盗んだスパイの替え玉にされるなんて、新婚早々ついていませんね。いきなり波乱にとんだ結婚生活となってしまいましたが、ヘイスティングスと知り合いでポアロに事件を見破ってもらうことになったのは幸運だったと思います。
まんまとスパイであるカーラのハニートラップに引っ掛かり、海軍の情報を流してしまったルイージが情けない。しかも最期は彼女に撃ち殺されてしまうので、可哀想だけれど良いところなしでした。純粋というか世間知らずと言うか。せめてもう少し女性を疑うことを知っていたら軽率なことをしなかったかも。
ロビンソン夫妻を殺害する為に侵入してきたマフィアに銃が渡ることを予想して、玉を抜いておいたポアロが抜け目ない!流石ですね。
事件(依頼)がこなくて弱気になり引退を仄めかすポアロが、ジャップ警部が解決した事件について公演を開くことを知るとお金を払ってまで聞く価値はない、と不機嫌になったので安心しました。落ち込むのではなく妬むのなら、まだまだ引退はないでしょう。
バスで同乗したメアリが、少なく見積もっても1,500ポンドの価値がある細密画を預かっていることをペラペラ話していて無用心だなぁと思いました。けれどそれは計算の内で、叔母と一緒に詐欺をしていたので驚きました。朴とつな女の子だと思っていたのに。
また、駆け落ちカップルを窃盗犯と間違えて捕まえたことで警察官に失笑されてしまったヘイスティングスですが、警察官である自分たちだって犯人を捕まえられずにいるのだから笑うのはおかしいと思いました。
公演の場でポアロを褒めちぎっているジャップ警部の友情にしみじみしました。本当はポアロもジャップの公演があることを予め知っていて、公演を聞くために休暇と嘘を付いていたのが可愛かったです。ジャップ警部は実はヘイスティングスよりもポアロと付き合いが長いのですよね。
一週間、自宅から一歩も出ずに事件を解決出来るか5ポンド賭けたポアロとジャップ警部。事件の当事者からしたら大分不謹慎ですよね。ミス レモンも呆れていました。外に出ないものだから暇をもて余して手品の練習に励み、ドンドン上達。料理も自作のレシピを発明したりと巣籠もり生活をエンジョイしているように見えました。友人から突然押し付けられたオウムを邪険にしていたポアロが、ローストチキンをディナーに用意した時の、ヘイスティングスとジャップ警部の疑うような危惧するような表情がなんとも言えませんでした。オウムも身の危険を感じたのでしょうか、ちょっと騒いでいましたね。生存本能でこの人間に逆らってはいけない、と感じたのか、後半からオウムの喋る言葉が丁寧になったような。
ダベンハイム夫人は「夫は仕事で出掛けた際は、いつも宝石を買ってきてくれた」と言い、行方不明の夫を想って涙ぐんでいましたが、銀行家ってそんなに経済的余裕があるものなのかと疑問に感じました。夫人は高価な贈り物を素直に喜んでいたのだろうけれど、その元手を心配したり疑ったことはなかったのでしょうか。
実際ダベンハイムは銀行のお金を横領し、宝石に変えていた上にケレットというスリに変装して悪事を働いていたのだから図々しい。銀行家なのだから普通に働いていれば生活出来るはずなのに強欲ですね。
殺人の濡れ衣を着せられそうになったローウェンは災難だったけれど、憎んでいたダベンハイムが横領等で捕まったことで溜飲も下がったことでしょう。
ペンゲリー夫人は夫に毒を盛られているかもしれない、とポアロに相談に来ます。夫が家に居る時に食事をすると、体調がとても悪くなるけれど、町医者は胃炎だと言うらしい。自身の死を望んでいる人物がいるかもしれないという疑惑に怯えながらも、夫を疑う事に心苦しさを感じているようで可哀想でした。
ペンゲリーは田舎町の歯科医をしていて、歯科助手の金髪美人と不倫していると噂されていて、それが動機かもしれないと夫人は言っていましたが、それも夫が歯科助手に唆されているせいだと、夫を擁護していました。
夫人は不倫していると思われる夫よりも、不倫相手かもしれない相手を憎むタイプですね。夫に対しては随分寛大だなぁと思っていたら、姪のフリーダによると、彼女の恋人ジェイコブに熱を上げていたと聞いてビックリしました。怒る資格ないじゃないですか。でも夫人のお金目当てだったジェイコブに、夫の不倫の噂を聞かされていたから、疑惑と哀しみで魔が差してしまったのかも。
ポアロは夫人が亡くなったと知ってすぐに、彼女を胃炎と診断していた町医者に話を聞きに行きましたが、あまりの石頭ぶりに憤慨。夫人が急死しても自分の診断に疑いを抱いていない頑固な態度は、確かに信頼出来ないですね。ポアロの「疑問を持たない医者は医者じゃない」というセリフは的を射ていると思いました。