リバーサルオーケストラ

初音に振られた後も、一緒に防音室で練習したり、恋敵である常葉のことを褒めたり、気まずくならずに友人・オケ仲間として仲良くしている姿が蒼の人柄の良さを感じさせます。カラ元気とか無理してる感じがしないのも良いですね。恋愛感情抜きにしても初音のことを人として尊敬して慕ってるんだなって伝わってきました。正装でフルートを吹く姿も様になっていて格好良かったです。

奏奈と洗い物をするシーン、台詞はないけど初音の失恋を知った複雑な気持ちや自分が力になれないもどかしさ、切なさが表情だけで伝わってきたのがすごく良かった。そう簡単に気持ち吹っ切れないのがリアルだし、それだけ真剣に初音のことを想ってたんだなと感じられて、短いシーンでほぼ喋らないけどとても印象に残りました。擬人化たまちゃんに怯えて「怖い怖い」って慌てて逃げる姿もコミカルで面白かったです。

穂刈の力になりたいと一生懸命な姿が、蒼の優しい性格や穂刈を慕い尊敬する気持ちを感じさせてとても良かったです。初音に振られてしまうシーンも、「本当に良い子だな」という初音の台詞あたりから表情がちょっと強張ったような感じになっていて、「ああダメかな」という気持ちが漏れてしまっているのがすごく切なかったです。喜怒哀楽、毎回表情の演技が丁寧で繊細で素晴らしいと思います。

「蒼くんに何が分かるの？」とキツい言葉で初音に八つ当たりされても決して怒らずに庇う姿が、初音のことが本当に大好きなんだなと想いの強さと深さを感じさせました。初音の家に向かう常葉をムキになって遮ったり、部屋にこもった二人を気にしてドアに耳を押し当てるなど、ライバル心やソワソワした気持ちが抑えられていない姿も若さが感じられて可愛らしかったです。

初音に抱きつく勢いや、迷いや躊躇なく「好きです」と告白の言葉が出てくる姿が、想いが溢れ出てしまってどうしようもないという蒼の熱い気持ちを感じさせました。その後、帰宅してからお互い正座して面接みたいな堅い口調でやりとりする姿も面白い。ぎこちないんだけど必要以上に気まずい空気にならず、どこかほのぼのした雰囲気が流れるところが二人らしくて良かったです。

初音が傍に来ただけでドキドキしたり、気持ちが周りの団員にバレバレだったり、恋愛に対して初々し過ぎる姿が可愛らしくて応援したくなります。初音の力になりたいけど空回りしてしまうもどかしさや苛立ちも、浮かない表情や力のない声のトーンから伝わってきます。穂刈さんと二人で語りあうシーンも、男性二人が恋バナをする微笑ましさと、静かで落ち着きのある雰囲気が心地良くて、見ごたえのある良い場面に仕上がっていたと思います。

すっかり初音のファンになったのか、それとも初音を親鳥と思ったひよこなのか？初音さんに従順すぎる蒼くんがかわいくて仕方ありません。いつも初音さんのことを気にかけていていなくなるとすぐに気づいてキョロキョロするのがかわいいです。

奏奈に「コンチェルトは絶対成功させる」と宣言するシーン、迷いのない口調と気合の入った表情が初音を全力で支える覚悟を感じさせました。初音のちょっとした表情の変化も敏感に感じ取るし、初音を追い込むだけだと常葉に喰ってかかるなど、いつも初音を気遣って思いやる姿が彼女への好意を感じさせるけど、気持ちを押し付けるような強引さやガツガツした感じがないところも素敵です。「さりげなく寄り添う優しさ」の表現が上手だと思います。

すっかり丸くなってオケのメンバーと和気あいあいと盛り上がる姿にホッとしました。初めて「初音さん」呼びする時のちょっと照れたような表情や、一緒に出勤した時に玲緒たちに揶揄われて慌てる姿など、初々しい反応も可愛らしかったです。初音を見つめるシーンも、異性として気にはなってるんだろうけど、ギラついた熱い視線というより「大丈夫かな？」と気遣うような優しさがあって、その穏やかに見守る感じが庄司らしくて良かったと思います。

誰にも心を開かず分かってもらえないとでも言いたげな態度から、初音に餌付けされちょっとづつ心を開いていく様子が良かったです。助けてって言えば助けてくれることってあるんですよね。みんなに助けを求めることができて道がひらけた時ハニカムように表情が明るくなったのがとても良かったです。

初めてフルートに出会った時の話をする懐かしそうな表情やキラキラした目が良かった。フルートが本当に大好きなんだって気持ちが伝わってきて、最終的にオケに残る決断をする説得力がありました。鬱々とした思いやジレンマを抱えた状態から、オケのメンバーとの交流を通して徐々に心がほぐれていく過程も自然で良かったし、「目が覚めた」後の力の宿った眼差しや引き締まった表情も音楽を続けていく覚悟が感じられて良かったと思います。

オケ合わせに遅刻して来た時の、焦りのない平然とした態度が遅刻魔の庄司らしかったです。ずっと無表情で淡々としていたのに、初音の演奏を耳にした途端「すげえ」」と目を見張って感嘆している姿も、ちゃんとプロの耳を持った演奏者という説得力があったし、初音のアイコンタクトに気付いて一緒に演奏を始める勘の良さや演奏技術の高さも、フルート主席を担う腕の確かさを印象付けていて良かったと思います。