最愛

いつも背筋を伸ばしそつなく隙なく仕事をしてるように見えたけど、失脚してからは髪もボサボサで憔悴しきっていた。元々不器用な人だからこそ隙を見せないように頑張っていたのだろうか。後半になればなるほど多面的になっていき、より人間味が出てきてよかった。

周りの役者に比べてしまうとどうしてもわざとらしく感じてしまいました。。良くも悪くもミッチーの演技でした。周りが上手すぎたのかもしれない。。

ボロボロの姿をあんなに見せておいて元のキリッとした後藤に戻れるのはすごいなあ。自分の不正がバレただけで鼻血出しちゃう人だもん、人なんか殺してたら倒れちゃうよね。強そうにしてた人がボロを出すって醜いことだけど、及川さんは何だか綺麗でした。不思議な感覚を体験できました。

梓の後任候補を見つけてきたり、辞任した時としなかった時の企業価値評価を数値化して政信を説得したり、怪我をおして会社のために尽力する姿が頼もしかったです。不正が発覚してから散々な姿ばかりだったので、最終回に名誉挽回する姿が見られたのも良かったです。梓に面会し、自首して自分もそちら側に行きますと告げるシーンも、秘密を抱えて生きていく加瀬や大輝と良い対比になっていたと思います。

あのキリッとビシッとしてた後藤が震えながら謝罪する様子は正直守ってあげてほしいと思わせる弱々しさがあって、全ての罪を被った梓の会見を見て震えていた姿も、この人だから守ろうとしたんだろうなと思えるものでした。

梓の会見を見て「何で…」と泣き崩れる姿や、階段から落ちて頭から流血してるのに、それでも警察に行こうとする執念が後藤の梓と会社への強い想いが感じられて良かったです。不正して逃げ回った挙句、鼻血出して倒れちゃうし、勝手に階段から落ちて梨央を巻き込むし、ここ最近の後藤は迷惑ばかりかけてグダグダだけど、会社のために冷静さを欠いて空回りしてしまうところも、居場所を何としても守りたいという後藤の必死な思いが伝わってきて良いと思います。

PCを破壊してる姿やフラフラになりながら証拠隠滅を図ろうとする必死な姿はもちろんだけど、泣きそうになりながら「あの場所が私の全てだ」と叫ぶシーンが一番会社への愛が強く感じられてグッときました。いつもポーカーフェイスを気取る後藤の本音が初めて聞けた気がして、心身ともに疲弊した姿も相まってとても人間味が感じられたのも良かったと思います。

会社のためにやったと言って加瀬に"なってない！"と返されたときの泣きそうな、自分だってやりたくなかったという表情が何とも言えませんでした。今までのポーカーフェイスとは違い、感情が露になっていて本当の後藤がやっと少し見れてドキドキしました。

みんなお金大好きだろ攻撃が効かず、会話を録音されるという失態を犯した上でのまたしても鼻血！窮地に立たされてると自覚すると出るようなのに、表情には変化がないのが素晴らしいと思いました。

橘に会社の不正を突き付けられた時に少し目が泳いで動揺を見せたり、編集長の買収にも失敗、渡辺昭に500万を渡すよう優に指示したのも加瀬にばれてしまい、いつもの隙がない後藤とは違う姿が多く見られ、焦りや追い詰められたような印象を受けました。去っていく橘を見送るシーンなど、背中ごしでも苛立ちや忌々しげな感情が伝わってくるところも良かったと思います。

ポーカーフェイスで口調も淡々と落ち着いているけど、目を伏せたり、相手をチラっと横目で見たり、下唇を噛んだり、人差指で机をトントン叩き続けたり、ほんのちょっとの動作や表情の変化で後藤の苛立ちを表現するのが上手いです。梨央が部屋を出て行った後の高笑いも、社長の座が見えてきたのを確信したのか、それとも別の意図があるのか分かりませんが、普段感情を表に出さないのでとても印象に残りました。

この前の鼻血のような失態がなくて残念さもあったけど、ペーパーカンパニーを探られては困ると先手を打って、トランクに詰められた橘を見下したときのどや顔が最高でした。

加瀬に胸ぐらを掴まれても涼しい顔でサッと襟元を直したり、渡辺の父と会ったことを話す時もちょっと含みを持たせてみたり、いつも余裕で相手より優位に立とうとするところが後藤のプライドの高さや梨央や加瀬に対する敵対心を際立たせています。４話を見た後だと、そのプライドや敵意が自分の地位や名誉のためではなく愛する会社を守るためのものだと感じられるところも良いと思いました。

ペーパーカンパニーについてちょっと問いただされて鼻血を出したのが意表を突かれて動揺した演技ならとても凄い。
会社のために尽くしてる人だと思ったけど痛いとこを突かれて、怒りを露にしてたのも後藤らしくていいなと思いました。

誰も寄せ付けない空気感とクールで崩れない表情が「孤独と折り合いをつける」という言葉そのものを体現しているところが良いですね。4話冒頭のナレーションを聞いて後藤の会社への深い愛情と執着を垣間見て、彼もまた最愛のもののために動いているだけで梨央たちと変わらないんだなと感じ、権力欲の塊という印象がだいぶ変わりました。梨央への刺すような鋭い視線も迫力あって良かったと思います。

ポーカーフェイスだけど冷たい視線や時折見せる不敵な笑み、棘のある物言いで梨央への敵意がビシバシ伝わってくるところが上手いです。梨央と2人のシーンはいつもピリっとした緊張感があって見ているだけでドキドキします。3話終わりに橘に言った「聞きましょう」という台詞も、駆け引きに応じてやっても良いというあくまで上から目線な雰囲気があって、そこが後藤らしくて良かったと思います。

及川さんが居ると、そのドラマ、安心して、楽しみながら見れる。少し暗いドラマだけど、及川さんが居るから見れる。

ただオフィスを歩いてるだけなのに「この人、何かありそう」という怪しさを漂わせているのがさすが。何を考えてるか分からないミステリアスさがドラマの空気感に合っていて、出番は少なかったけど「要注意人物だろうな」と強く印象づけていたのも良かったと思います。