正直不動産2

「絶対に破綻になんかさせないと」プロジェクト成功にやる気を漲らせる永瀬たちを嬉しそうに誇らしげに見ている姿が良かった。少し感極まったようにも見えて、喜びだけでなく会社のためにありがとうっていう感謝の子持ちが伝わってきたのも良かったし、こういう愛情深く温かい人だから皆がこの人についていこうって思えるんだなっていう説得力が感じられたのも良かったです。

かつては二枚目というだけで、芝居も下手くそだったのに。長いことほとんどテレビで見なくなった後、晩年になって復活してきたというのは、近藤正臣さんなんかと経過が似ている気がします。年輪を重ねて、味が出てくるというパターンを、まさに体現して見せたひとりだなと思います。まさに継続は力なりということですね。クールだけど冷たい感じではなく、優しい雰囲気と、社員を信頼している感じがよく出ています。独特の間の取り方は若い頃から変わりませんが、それが良い味になっていますね。

「１位を取る約束をしたので」と語る神木に「まだ言ってるのか」と悲しげな様子で見つめる姿が印象的でした。いまだに悲しみを引きずって過去を乗り越えることが出来ていない神木を心配する気持ちが伝わってきて、登坂の優しく愛情深い人柄を感じさせるところが良かったです。息子との約束に縛られる神木に心を痛める登坂の姿と、そのモチベーションを最大限利用しようとほくそ笑む鵤の対比が良いスパイスになっていたと思います。

篠崎への対応に迷いを見せる永瀬に「町の不動産屋さんは町の皆さんに生かされて商売している」とアドバイスするシーンが良かった。何かあったのかと事情を聞いたり、相談に乗るわけじゃないけど、不動産屋としての基本の心構えをサラっと示して背中を押すところが永瀬なら大丈夫という絶対の信頼を感じさせました。出番も少ないし、毎回気まぐれにフラっと登場してるように見えるけど、周りをよく見ていて問題や悩みにすぐ気が付くし、ヒントを与えて手を差し伸べつつ、最終的に相手が自分の力で解決出来るよう導くところが頼もしくて格好良くて、この人についていきたいって思わせる人間力を感じさせるところも素敵です。

バーで椅子を引いてマダムをエスコートする姿、小慣れたスマートな所作が格好良かったです。決め過ぎず、当たり前のようにサラリとこなすのも素敵。十影を心配そうに見つめる眼差しや、永瀬から十影の成長を訊いた時のホッと安心したような笑顔も、マダムに大切な存在を託された責任感と、十影を気に掛け心を寄せる登坂の温かい人柄が感じられて良かったと思います。

土下座する大河の頭を辞表でペシっと叩くシーン、そのやりとりだけで退職を撤回してあげたって伝わってくる「やれやれ」とでも言いたげな表情と空気感がとても良かった。呆れた顔をしつつも、驚いた様子もないし、退職願も提出した時のまま綺麗に保管してあるし、こうなることを予見していたんだろうなって登坂の鋭さや器の大きさが伝わってきたのも良かったです。

マダムの前ですごい勢いで十影への文句を口にする永瀬を楽しげに見ている表情が良かった。「しかし…？」と期待した様子で続きを促したり「何とか育ててみせる」という言葉を頼もしそうな笑みを浮かべて聞いていたり、永瀬ならなんとかしてくれる、出来るって最初から確信していたような深い信頼が感じ取れたのが良かったと思います。

無事に試練を乗り越えた月下を見てホッとした笑顔を浮かべる姿が、部下を信じて静かに成長を見守る登坂の人間の大きさや包容力を感じさせて良かったです。短い台詞や「そう」などの相槌にも何処か温かみが感じられて、厄介な案件に挑む月下を気遣う登坂の優しさが伝わってくるところも良かったと思います。

突然フラっと現れてヒントになる言葉を口にしたり、参考になりそうな本を置いていってくれる、サラリとフォローをしてくれる姿がスマートで格好良かったです。教え過ぎず、当人が自分で気付けるようなさりげなさも登坂の人を育てる上手さや器の大きさを感じさせて良かったです。

ダンディな見た目と飄々としたキャラクターのギャップが良いですね。緩い空気感で威圧感は一切ないんだけど、ちゃんと社長らしい貫禄と頼もしさがあるところも素敵。温和で人の良さそうな雰囲気が、極悪ルックスのミネルヴァの社長と良い対比になっているのも、両社のライバル関係を際立たせていて良いと思います。