ザ・トラベルナース

寮での食事シーンでも表情が柔らかくなって周りの皆に目を配るようになったし、久鬼や那須田とも笑顔で気さくに話をするし、壁や棘がなくなって穏やかで柔らかな雰囲気に変わりましたね。結構な変わりようだけど、突然人格が変わったような違和感がなく、あくまで「金谷吉子」の心境の変化によるものとしっかり伝わる表現力がさすがだと思います。那須田と久鬼の関係をすっかり勘違いして応援してる姿もお茶目で良かったです。

皆とよく喋るようになったし、那須田のことも「歩ちゃん」って呼んで普通に会話してるし、五反田の件を乗り越えて心境の変化があったのか、纏う空気が柔らかくなって少し雰囲気が変わったのが伝わってきました。部長代理を任されてパニックになったり、先陣切って院長に直談判する熱い姿など、ポーカーフェイスだったこれまでと違う、感情をはっきりと表に出す人間味溢れる姿が多く見られたのも新鮮でとても良かったです。

五反田相手にいつもクールな金谷が感情むき出しになる姿が印象的でした。地獄に落ちれば良いとか恨みごとを口にしていても、陰では腕の良い神野に手術を頼んでいたり、手術を引き受けてもらった時も心底安心したような表情を浮かべていたり、五反田のことが心配で放っておけない姿にグッときました。退院する五反田に「二度とここには来ないで」と告げるシーンも、口調は冷たいけど必死で感情を抑えるような表情を浮かべていて「病院の世話にならないよう元気でいて欲しい」という思いやりの気持ちが感じられて良かったと思います。

口うるさい久鬼に「姑かよ」ってキツい口調で突っ込み入れたり「目が笑ってない」って指摘したり、相手が誰でも言いたいことはっきり口にする姿がクールで媚びない金谷らしくて良かったです。皆で患者さんについて話してる時も、同情的だったり親身になって辛そうな顔してるメンバーとは違って、ポーカーフェイスで他人事って感じの距離感で話してるところも金谷のドライさや患者のプライベートに首突っ込まないっていうスタンスを感じさせて良いと思います。

三雲にお尻を触られてもスルーだし、向坂のサポートに入ったのも彼女のためではなく早く仕事を終わらせたいだけだったし、効率重視の姿勢をどんな時も徹底していてブレないところが金谷らしかったです。那須田が久鬼に掴みかかった時も1人だけワクワクした顔をしていたり、向坂の失恋を平気な顔で皆にバラしちゃうし、ちょっと価値観がズレてるっていうか、スミレに「歪んでる」と言われてしまう説得力が感じられたのも良かったです。

久鬼が二階堂に遺言状を書かせていたかもと疑っていたり、食事トレーニングに拘る久鬼に「それって自己満じゃないですか？」と喰ってかかったり、言葉にも態度にもちょいちょい棘があって久鬼への不信感を滲ませていたのが良かったです。久鬼の特注スプーンセットをチラっと見ただけで「色々使えそうね」とその使い道や拘りっぷりを見抜いているところも、ベテラン看護師らしい経験豊富さを窺わせて良かったと思います。

小言っぽい口調や文句を言う時も常に手が動いていて無駄がないところ、後輩たちへのテキパキとした指示、ベテランらしい頼もしさが限られた出番でもしっかり伝わってくる演技が良かったです。お煎餅食べながら愚痴ってる姿も良い感じにおばちゃんっぽくて、普段の若々しさや可愛らしさとまるで別人なところも凄い。若手の女優さんが多い中、ナース集団に安達さんがいるだけで場が締まるところもさすがです。