海に眠るダイヤモンド

百合子の母の死を知った時も、百合子の謝罪を受けてわだかまりが解けていくのも、直接の言葉は一切なかったけど、ハッとした眼差しや、弾けるような笑顔、百合子の肩にそっと頭を乗せる姿など、その表情や仕草で朝子の心情の変化がしっかり伝わってきたのがさすがでした。百合子に向ける棘や警戒心のない心からの笑顔が晴れやかでとても可愛かったです。

「ちょとだけ食堂の朝子じゃない人になりたかった」という台詞、グッときました。オーディションを受けた後の生き生きと弾む笑顔がとても素敵だったから余計に刺さる。ずっと「食堂の朝子」として生きてきて、夢とか憧れとか、そういうキラキラしたものを沢山諦めてきたんだろうなあって切なくなりました。鉄平が朝子の初恋相手に気付いた時の2人の雰囲気や反応もとても可愛らしくて微笑ましかったです。

鉄平とリナが揃って店に入って来た時のあからさまに不機嫌になる表情、二人のやりとりをチラチラ気にする視線、鉄平への恋心が全部顔と態度に出てしまっている姿が可愛らしい。嫉妬っていう湿度のあるドロドロした感じではなくて、少女のようなヤキモチって感じなのも、純粋で真っすぐな朝子らしくて良かったです。

細かい演技がとても上手だなと思いました。鉄平が帰ってきたと知った時の笑顔、それが百合子と一緒だと知った時の嬉しさ半減の顔、百合子が鉄平と付き合ってないと知った時の顔、でも鉄平は百合子が好きだったと知った時の顔。どれもこれも感情をストレートに出してくるから分かりやすい。幸せになってほしいと思うキャラが出来上がっていた。

鉄平のお会計をする時にササっと髪の毛を整える姿や、百合子との仲の良さに嫉妬しているような拗ねた口調、百合子と賢将が付き合ってると聞いた時のご機嫌な笑顔、誰がどう見ても鉄平のことが好きって分かってしまう素直さが可愛らしかったです。すっぴんのように薄いメイクやエプロン姿も、島から出たことがないであろう朝子の素朴さを感じさせて良かったと思います。