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脚本のせいでなかなか共感しにくいヒロインだったけど、高畑さんの演技はとても良かったと思います。加賀美といる時はしっかり者でお姉さんみたいな感じだけど、虎松と二人の時は安心して子供みたいに甘えた感じになるのが可愛い。最終回、森で加賀美と対峙するシーンでは、加賀美の悲しみや怒りを全て受け止めるような包容力や慈しむような表情、加賀美の頬を優しく撫でる姿が印象的で、恋愛とも単なる友情とも違うけど確かな愛が感じられてグッときました。

表現力もあるし、安定感のある演技ですね。舞台慣れした見栄えのする芝居です。充分と言えば充分なのですが、でもだからこそ、もうひとつ上のレベルを求めてしまいます。たとえば椿が連続殺人犯だと知った後で、彼に対する表情は憂いと哀しみの表情でした。信じたくない気持ちとなぜそんなに吸血鬼を排除するのかという気持ちなのはわかりますが、目の前で虎松の父親が殺されていて、まつりなど仲が良かった人たちの死を目の当たりにしているのだから、やはりそこには怖れとか怒りも見えるべきだと思います。まあ脚本が謎かけのような終わり方をしているので、演出家の要望なのかもしれないのですが。とはいえ総評としてはマルです。

加賀美に対する小さな疑惑が徐々に大きくなって恐怖に変わっていくまでを、視線や声のトーン、会話の間などで丁寧に繊細に表現していたのがとても良かったです。1話からずっと見ている車中の会話シーンなのに、8話は二人の距離が遠く感じたし、会話の端々に訪れる間の静けさがすごく怖かった。貧血でフラフラになりながら、信じたくない、信じられないという悲痛な願いが溢れ出ている姿も、こころにとって加賀美がどれだけ大切な友達で信頼しきっていたのか伝わってきて胸が痛かったです。

加賀美に「トラちゃんが犯人だったらどうしよう」と話す時の不安げな表情や泣きそうな上ずった声がとても印象的でした。取り調べでもほぼ表情を変えず黙秘を貫き、釈放された後も虎松への疑惑を一人で抱え込んで気丈に振舞っていたけど、疑惑や不安を加賀美に話したことで張り詰めていたものがプツンと切れてしまったような、一杯一杯なこころの精神状態が伝わってきて胸が苦しくなりました。ラストで虎松と疑い合うシーンもヒリついた緊張感があって見応えがありました。

加賀美の優しさに触れて泣き出してしまうシーンがとても良かった。「無理してない？」と訊かれて何とか笑顔を作って明るく振舞うけど、そこから徐々に目が潤んで涙が止まらなくなってしまうまでの芝居がすごくリアルで、「トラちゃんを支えなければ」とギリギリの状態でずっと必死に取り繕っていたんだろうなとこころの健気さが伝わってきてグッときました。

キスしたことを謝る加賀美とのやりとりや、嫉妬して拗ねる虎松を宥めるシーンで見せるふわっと温かい包容力が素敵。相手のすべてを受け止めて包み込むような大きさがあって、それがなかなか受け入れてもらえず、生きづらい人生を歩んで来たであろうこころ自身のバックボーンを思わせるところも良かった。虎松とのキスシーンも可愛らしさとしっとりした色気があって素敵でした。

虎ちゃんが殺人犯の息子だと知ったけど本人には言わずヨヨ塚さんに聞いた時のシュミレーションを手伝ってもらったり、虎ちゃんから言う前に自分の家族へ理解をしてもらうように説得したりと健気なシーンが続きました。ちゃんと理解してくれるように懇願する様子に虎ちゃんへの本気度を感じました。

婚約は破棄しないと海造を説得するシーン、声を震わせて必死に虎松の気持ちを代弁する姿がとても良かったです。迷いのない真っすぐな眼差しや涙声になりつつも力強さを失わない口調が、何があっても虎松を愛するというこころの強い覚悟と決意を感じさせてグッときました。泣き崩れる虎松に寄り添う姿も、母性や包容力を感じさせて良かった。コミカルな芝居も台詞の間や反応がホント上手くて、やりたい放題の小手さんや吉田さん相手でも全く動じず、全部拾って打ち返す芝居が頼もしかったです。

「馬鹿じゃないの？」とか「ざけんな」とか口調が荒かったり、虎松へのあたりがキツかったり、結構我が侭だしヒロインとしてどうなんだろうってキャラだけど、高畑さんの演技のおかげで何とか嫌いにならずに見られてる気がします。たまに覗く甘えた口調や小動物のような仕草が可愛らしいし、コロコロ変わる豊かな表情も魅力的で、虎松がすべてを受け入れて大切に想う説得力が感じられます。ただ血を飲んだり日傘差したり、吸血鬼アピールはしてるけど、キャラの濃い両親と違って見た目や挙動から全く吸血鬼らしさが感じられないのは残念。毎回「そういえば吸血鬼だったわ」って忘れちゃうくらい、その印象が薄いです。

こんなことを言ったら元も子もないんだけどそもそもかわいくないんだよ。田中圭と町田啓太が取り合うってところでも違和感しかないし、吸血鬼っていう人とは違う雰囲気を出すこともなくミステリアスさも感じない。ママの方が魅力的だよ。

何故、この役が高畑充希？！
それまでのキャリアが振り出しの様な役処。
彼女に力持ちキャラは違和感だらけ。
火事場で田中圭持ち運ぶ不自然さ。
後、田中圭とキスし過ぎ。2話でやんぺ！！

誰が相手でも台詞のやりとりが自然で、リアルな会話に聞こえるところが上手いです。決死の覚悟で告白した秘密を虎松に冗談扱いされた時のショックや怒り、悲しさが入り混じったような表情や、虎松に吸血鬼について説明する時の必死な口調も「分かって欲しい、受け入れて欲しい」という虎松への強い想いが伝わってきて切なかったです。抱き付いた時に相手のリュックの紐や服の裾をギュッと握り締めたり、頭を肩口にグリグリ押さえつけるなど、甘える時のさりげない仕草もとても可愛らしかったです。

吸血鬼っていうぶっ飛んだ役柄だけど、高畑さんのしっかりと地に足のついた演技のおかげで思ったよりすんなり受け入れることが出来た気がします。虎松とのやりとりも台本がないみたいに自然でテンポが良いし、二人一緒にいる時の幸せそうな甘さのある笑顔も可愛い。秘密を隠したり吸血鬼あるあるに悩んで面倒臭がるコミカルさや「虎ちゃんに嫌われたくない」と涙する切ない表情など、1話の中で色んな顔を見せてくれるところも演技の幅が広い高畑さんならではの魅力だなと感じました。