シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。

面会に来たレンに「レンなの？リコなの？」と呼びかけるシーンで、「リコ」の名を口にする時にサッと表情が冷たくなって吐き捨てるような口調に変わったのが怖かったです。そこまで？というくらいのリコへの強い憎しみを感じてゾッとしました。小さな声で何度も「レンのままでいて」と呟く姿も、感情むき出しで必死に懇願されるよりグッと思いの深さが伝わってきて良かったと思います。

山口さんはエキセントリックな演技がうまい女優さんだなと改めて思いました。
麻衣子はレンばっかり可愛がってリコをないがしろにして、最低な母親。
麻衣子をこのように追い込んだのは周りの無責任な周りの声なのでしょう。
それでも共感できず、腹が立ってしょうがなかったです。

こういうエキセントリックな役がすごく似合うし上手いですね。顔をぐしゃっと崩して叫んだりニヤっとしてるのに目だけ笑ってなかったりと表情も凄かったですが、子どもみたいに一語一語台詞を区切って話したり、ブツブツ独り言のように早口になったり、声を震わせたり、声やセリフ回しの変化で麻衣子の不安定な精神状態とレンへの異常な執着を表現していたのが素晴らしかったです。狂気が滲み出ていてめっちゃ怖かったです。

予想以上に怖い人でしたね。先生殺した犯人でびっくりです。とにかくこのドラマで一番異常なのは双子の片方しか愛さないというこのお母さんかと。。どうしてそんないびつな愛なのか、それが気になります。旦那は？仕事は？入院費はレンちゃんが払ってるのか？しかも犯罪者となり、また生きづらくなってしまいそうです。

二面性を持った役がとてもうまいと思いました。二人の娘に対する態度の違いはもちろん、目の動きや表情の違いがとてもうまく表現しています。また、二人の娘を同じように愛せない非情な母親というよりはその母親の苦悩を感じました。

笑顔が怖くて、見ていると背筋がゾ～っとするような不安な気持ちにさせられるところが上手いです。春男と会話していても微妙にやりとりが噛み合ってないし、レンの彼氏についてハイテンションで話していたかと思うと、レンに会いたいと駄々をこねて急に不機嫌になったり、情緒の不安定さの表現が巧みで、ちょっと怖くなるくらいリアリティがあります。

この人の声が震えがちだからなのか折れちゃいそうに細いからそうなのか？精神不安定なのがこっちにも伝わって不安にさせる。上手いなーって思うけど役だけならいいなとちょっと心配になってしまう。ボーッとしているようで目でしっかり演技しているから目が離せない。

写真を無心で掻き続けたり、笑顔で「リコが死んでくれて良かった～」と口にしたり、狂気じみた病み演技が上手いです。回想シーンでバナナを投げつける時の冷たい眼差しもゾッとするほど怖いし、麻衣子の異常っぷりがレンの抱える闇や心の傷の深さを際立たせていて、ドラマがより面白くなっていると思います。

回想シーンで見せた目尻下がりまくりの甘い笑顔からサッと冷たい表情に変わる瞬間や、病室での虚ろな眼差し、お見舞いに来たレンに向ける満面の笑み、表情や感情の豹変ぶりがちょっと普通じゃない感じというか、見ていて「何だか怖いな」と感じさせる異質さが滲み出ていたのが良かったです。少ない出番で台詞もほとんどないのに強烈なインパクトがあり、さすがの存在感を示していたと思います。