ミリオンジョー

今もミリオンジョーを描き続ける呉井の記憶の中には真加田のエピソードが色濃く残っていて、特に｢ぼく、養護施設の育ちだから｣という一言が重々しく響くよね。｢正気の沙汰じゃない？面白いものを創るにはそれくらいがちょうど良い｣など、ある種の狂気は作品への愛情表現なんだと思う。

大人気漫画家という華々しい肩書きとはおおよそ程遠い、何とも言いがたい寂しさを背中に感じたよね。｢養護施設の育ちだから｣という言葉の重さ。そして、自分自身よりも作品が大事という愛情を超えた執念のようなものに突き動かされていたのかな。

真加田さんは少しだけの出番でしたが、凡人には分かり得ない独特の怪しい空気がかもし出され、天才で狂人の強烈な印象を受けました。ほぼ同じ時期に別のドラマで三浦さんをお見かけしましたが、名前が出るまで、同じ人と気づかなかったです。

謎多きヒットメーカーにして偏屈者でコミュ障という人気漫画家の異様なオーラがビシビシっと出てた。｢僕、養護施設にいたんだよね｣｢正気の沙汰じゃない？そのくらいでいいんだ｣など天才肌な発言も静かで重々しく響いたよね。成功者とは思えない寂しい背中も印象的だった。

ミリオンジョーの原作者である真加田恒夫を演じていますが、もうちょっとキャラクターをしっかり演じた方が良かったと思います。"人間嫌いといえばこういう感じ"というかなりベタな暗い長髪の顔が見えないキャラクターにしていて、印象が薄かったです。顔はもう少し見えるようにして、漫画だけにしか興味がないという個性が不足していました。あれでは、ミリオンジョーがどれだけすごい作品であったのかということが伝わらないと思います。これから先生の過去など深く掘り下げていくところがあれば、そのあたりの物足りなさを埋められるかもしれません。