雲霧仁左衛門4

山崎努版を先に観てしまっているので、山崎努氏のどこかに武家の匂いを残しつつ、凄みと粋とを何処までも高く維持した芝居は他の追随を許さないと思います。
中井貴一氏は大変いい俳優ですが、なんと言うかジャンルがちょっと違う印象です。
山崎努版ファンは、むしろ火盗改の國村隼氏と逆の配役の方がしっくり来たかもしれません。

雲霧のお頭の威厳が滲み出す静の表現はさすがです。このシーズンはこれまでに増して引きこもり設定ながら、あの隠れ家の中に大きく生けられた花や草木が四季の移ろいと、天一坊たちの変化や死を反映していて心憎い。詰将棋が台詞少なめなのを補う感じも良い。

盗賊の棟梁という貫禄と手下を従えるカリスマ性が見事に演じられています。周りを固める手下や敵である火付盗賊改の面々のキャラも濃いのに、影が薄まる事ない存在感がすごいです。盗賊というと、悪党なのですがそれでも雲霧仁左衛門に肩入れしてしまいます。

ドラマのタッチとしてはハードボイルドである。中井の貴一さんが主役の仁左衛門をシブく演じていてほとんど笑わない。これが昔だったら抵抗なく観れたであろうが、近年の中井さんはコメディとか三枚目が多い。特に今は同じ局でナレーションだが「サラメシ」とかやっていて、思い出してどうしても笑えてしまう。中井さん自身も突然おチャラけてしまうのではないかと思いながら観てしまう。ギャップが大きいのである。