9ボーダー

松嶋のために手を離す決断をした六月を「むっちゃん、良い女になってる」とおどけて励ます姿が素敵でした。「今がピーク、更新してる」「お綺麗です～」ってふざけてじゃれ合う姿が可愛らしくてほっこりしたし、「本当に良いの？」とか「後悔しない？」などの余計な口出しは一切せず、六月の決断を尊重するところも、盛岡の六月への信頼や真の友情が感じられてとても良かったと思います。

メニューが選べなくて結局沢山注文しちゃうのが可愛い。それを食べきれないからって周りのテーブルに配ってまわったり、七苗の元同僚たちとすっかり打ち解けて盛り上がってるのも、盛岡の明るさや人柄の良さが伝わってきて良かったです。出番は少ないんだけど、表情や口調、周りの人との接し方などで台本に描かれている以上の役のディティールをしっかり表現しているところもさすがです。

六月と松嶋のこれまでとは違う空気感を察して、ニヤけつつ嬉しそうな笑みを浮かべたり、目元を覆う姿がチャーミングでした。ほんの数秒のシーンだったけど、六月の幸せそうな姿が友人として嬉しくて仕方ないんだろうなあって、仕草や表情だけでしっかり伝わってきたのも良かったです。

九吾が一緒に住むことになったと聞いた時の「あら大家族」って楽しそうに喜ぶ姿や、この指とまれ方式で飲みに誘う姿など、仕草や口調が絶妙に可愛らしくて、盛岡が登場すると自然とほのぼのとした空気になるところが良いですね。他局のドラマで演じているツンとした外科医とはまるで別人で、演技派の俳優さんって凄いんだなって改めて実感しています。

六月と松嶋の関係がちょっと変化したことを察知して「私は賛成ですよ」って本人以上に浮かれて楽しそうな姿が可愛い。ちょっと面白がって揶揄うような口調だったけど、友人として六月に幸せになって欲しいんだろうなって本気で応援している気持ちが伝わってきたのも良かったです。むっちゃん呼びも話す時の距離の近さやはしゃぎっぷりも２人の仲の良さが感じられて微笑ましかったです。

「所長」呼びではなく「むっちゃん」呼びで六月の背中を押すシーン、素敵でした。「やる時はやる、それが成澤六月でしょ」と力強く喝を入れたり、辛い心情を労わるように優しく肩を抱いて擦ってあげたり、仕事仲間ではあるけど、それ以前に大切な友人同士なんだなと二人の信頼関係の深さが感じられたのも良かったです。

ストレスモードの六月について小声で松嶋に説明する姿や、六月の様子を窺う時の恐る恐るといった表情が、ストレスを抱えた六月の厄介さやヤバさを感じさせました。あんまり仕事シーンがないけど、盛岡の表情や態度から六月の普段の事務所での様子が感じ取れるところも六月のキャラクターに奥行きが増して良いと思うし、そういった台詞や態度が変に説明じみた感じにならないところも自然で上手いなと感じます。

六月の夫が訪ねて来た時のオロオロっぷりが面白かった。ドタバタした挙句、六月の代わりに対応してくれるのもしっかり者で頼もしい盛岡らしくて良かったし、「合点承知」っていう気合の入った返事や、居留守って白状しながら「いるかいないかは本人が決めること」って謎発言をするところなど、ちょいちょい言動がおかしいところもチャーミングで良い味出していました。

面接で話が脱線しがちな六月を隣でフォローしたり、ツッコミいれたり、常に冷静で落ち着いた佇まいが盛岡の有能さを感じさせて良かったです。六月役の木南さんとのテンポのよいやりとりも楽しい。面接に来た松嶋に向ける感じの良い笑顔や丁寧な対応、逃げ出したハムスターを一緒に捕まえる姿も、盛岡の人柄の良さや面倒見の良さが伝わってきて良かったと思います。