愛の、がっこう。

上擦った声や言動がどうも痛い女寄りなんだけど、それが愛実なんだよなと思ってしまう。不器用なりに一生懸命で現状を変えたいという強さが見えるから応援したくなってしまう。百々子が言っていた通り、鈍臭くて世話を焼きたくなるタイプでしたね。

35歳という年齢にしては幼い言動があり、それが世間知らずで親に守られてきた愛実らしさでもあると思う。でもお父さんにちゃんと自分の口で今までの感謝や自分は認めているという意思を伝えることができる大人でもある。その時々に見せる顔が違くてとても面白い。

うますぎて愛実の鈍臭さにイライラさえしてしまう。肝心な気持ちは言わずにぼかしているのに百々子にはバレバレで、キツイことを言われて落ち込むどころかキッと睨むところはもう誰も止められないところまできていると感じてしまう。危なっかしくて目が離せない、そこにとても惹かれる。

カヲルが授業をすっぽかした時の留守電、努めて声を明るくして気が重くならないように配慮しているのが先生っぽいなと思った。百々子にカッとなっちゃうところは自分で罪の意識がありこれ以上踏み込んではいけない焦りのようなものも見えて良かった。

生真面目すぎるほどの真面目さがあるからカオルに字を教えることも下心を感じることなく切ない物語として成立させていると思う。少しでもあざとさが見えると違う話になってしまうのでそこも意識しているのかなと思う。

役作りがすごい。本当に野暮ったくつまらないおばさんに見えるから不思議だ。お尻を打ってしまう鈍臭さも冴えなくてかわいげがない。川原と距離が縮まったかと思えば距離が遠のく、愛実のこの人を信じていいのだろうかという揺れる心や警戒心の高さがキャラに合っている。

恋人と別れてから常軌を逸していく愛実が怖すぎた。初めからやばいんじゃくて相手が応えてくれないからどんどんエスカレートしていく様子がありそうなんだよね。普通の人っていないのかもしれないと思ってしまった。