ばけばけ

銀二郎は真面目で頑張り屋。そんな人間でもある瞬間、ポッキリと折れる。そのシーンでの表現力は見事でした。理屈ではなく、もう頑張り切れない限界は、体力よりも気力。勘右衛門はその大事な部分をへし折ってしまった。そこが折れるともうどうやっても無理だよね。元には戻らない。短いシーンでしたが、そんな感じがよく伝わってきました。

父親が佐藤浩市さん、祖父が三國連太郎さんと、俳優界のサラブレットといえる寛一郎さんですが、父親の浩市さんと同様にじっくり着実に力をつけている役者という印象です。まあ浩市さんも若くして有名にはなったけど、役者としての実力がついたのはゆっくりめだったしね。

どんどん魅力的になっていく銀次郎さんに参った。東京に出てきてからはなんの枷もなく素直におトキちゃんが好きって気持ちが出ているのがすごく眩しい。今朝のお弁当を受け取った時の笑顔は最高だった。ちょっとしたヤキモチも素敵に見えた。

よくある親の容姿に似せようと売り出す2世俳優、タレント。
寛一郎さんは、ハンサムなお父さんより性格俳優だったお祖父さんを目指してね。

おトキちゃんの1番そばにいたいはずなのにいつも家の奥にいるのが不憫。1番離れた位置からも頷いたり声をかけたりと夫らしい視線を送ってくるんだよね。もっとおトキちゃんとの時間がほしいと思ってたところに1人で取り乱したいといわれる始末。悲しげな表情が忘れられません。

脚本の行間まで読める演技。
銀ニ郎の内面まで伝わる。
顔売りで表面的な演技しか出来ない若手が多いから、頑張って欲しい。

稼ぎの大半を借金取りに持っていかれてももっと働かなきゃですねと口では言っているけど表情は相当無理している感じがあって心配になります。なんとかポジティブに状況を捉えようとするけど浮かない顔がチラホラ。気苦労してると顔に書いてあるところがすごい。

人の血で塗られた井戸のヘリを見て興奮できるのはこの人くらいだろう。憧れていた舞台を間近で見て興奮が止まらない様子がオタクっぽくて良かったし、その後トキに着物の袖を掴まれてなんとも言えない嬉しそうな顔をしているのが良かったです。