ばけばけ

時代の風を読んだ長男と次男は(ずる)賢く家を捨てた。三男は一番逃げやすい立場だったのに、ナイーブすぎて後始末を背負わされた。その意味では気の毒。

でもまだ江戸の影響が残る時代の元武家だから、男子は15才で元服のイメージが残っていた筈。兄たちがどうあれ三之丞は立派に成人男子とみなされることを自覚していなければならないよね。跡取り扱いになった事や、武家から商家になったことなどは急だったとしても、そもそも家を出なければならない三男として、どうやって生きていくかすでに考えておかなければならない立場だ。それが跡取りとなり、その準備が無駄になったことや無責任な兄たちを怒るならともかく、何も期待されず、教えられなかったことを嘆くのは筋違いかな。

演じる板垣さんですが、明治男の気風よりも現代っ子っぽさを感じさせるナイーブさをうまく表現していると思います。どんな時代にでもこういう人はいたでしょうし。このキャラだからこそ、呆然と棒立ちするのにもに意味がある。とてもよかったと思います。

傳に説明しろと詰め寄られた時、首を振りイヤイヤをするように口を開かなかったところが一瞬でしたが子供っぽくて親の愛情を確かめるような仕草に見えて切なかった。三之丞としてはこんなことでしか親と会話できないことへの悲しみがあったでしょうね。