べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜

俄まつりでは大活躍でしたね。
こういうお金に直結しない趣味の部分で役に立つのってなかなか難しいと思うんだけど、この人がやると嫌みないし気のいい道楽息子になってしまうところがすごい。
こういう人がちゃんと否定されずに生きていける世界っていいよなと見ていて思う。

いつものんびりしてる兄さんが、祭りとなっちゃ浮き足だっちゃってかわいいったらありゃしない。たくさん荷物を持って嬉しそうに飛び出していくところがかわいかったです。踊りの練習も本番もいつも笑顔で、ほんとに楽しんでるって感じが兄さんらしかったです。

青本を読みながら寝転がっているところはのび太くんがタイムスリップでとしたかのような和やかさ。ほんとに次郎兵衛には癒されっぱなし。かわいげがあってそこまでバカっぽく見えないのはすごいと思う。この人におかえりって言われたい笑。

ちっとも役に立たないと思わせといて、たまには役に立つ。
蔦重に振り回されて疲れた言いながらも、言葉にトゲがないし優しい。
とてもじゃないけれど、親父さんの跡は継げなさそうと思わせるダメさがちょうど良い。

今回は呑気でかわいげのある次郎兵衛さんに何度救われたことだろう。財布が軽くなったことには気づくのに誰かが盗んだなんてことは思いもせず、兄さんでは？と言われれば使い道を一生懸命思い出そうとする始末。とても癒された。

普段全然仕事をしないのに、たまに「良かれと思って」と余計なことをしてやらかしちゃうのが次郎兵衛らしい。後ろの方で猫を撫でながら言い訳してるのも、唐丸の模写を見て「どうなの？」って蔦重に出来栄えを訊ねるのも、「何でこんなこと出来るの？！」って驚く素直さも、全てがチャーミングでほのぼのとしていて、その場にいてくれるだけで癒されます。出番も少ないし、特に役に立ってるわけでもないのにちゃんとキャラが立っていて存在感があるのもさすがです。

この方、ふわふわと芯のない役をさせたら上手いですね。
頼りなく優しい跡取り息子であり、蔦重の兄者様。
ぴったりの役だと思う。

蔦重が親父様に鉄槌を下されてる時にオロオロ見てるだけだったり、子供の唐丸が止めに入ってから自分も止めに入ったり、とばっちりで殴られて2度も鼻血を出したり、情けない姿連発だったけど、のんびりマイペースで愛嬌があって、見ていて不思議とイラッとこないところが良いですね。おっとりした雰囲気の中村さんだからこそ醸し出せる空気感だと思います。

鏡を見てひたすら髪の毛を弄っていたり、重三郎が暴力を受けてる時も「何？何？」ってビビッて見てるだけだったり、限られた出番でも次郎兵衛のマイペースでちょっと情けない性格が伝わってくるところが良かったです。重三郎を桶から出す時も、気遣うように声をかけたり、ふらついてると心配そうに支えようとしたり、さりげない芝居で兄弟仲の良さや次郎兵衛の優しい人柄が感じられるところも良かったと思います。