ちょっとだけエスパー

自分の身に何が起こってるのか理解が追い付かない動揺や戸惑い、紫苑に人殺しと憎悪を向けられた悲しみ、苦しみ、普段の陽キャぶりが嘘のように翳りのある表情と光のない暗い眼差しが印象深かったです。市松の自宅から逃げ去った後、縋るように文太に電話をする弱りきった声音や表情も見ていて辛くしんどかったです。

紫苑に近づくなと市松を脅す時のドスの効いた声音や乱暴さが、息子を危険な目に遭わせたくないという親心を感じさせました。市松の身体に異変が起きていたけど、それくらい紫苑を心配する気持ちや「大事な息子を巻き込むな」という怒りが凄まじく強いんだろうなって説得力があったのも良かったです。

紫苑を見かけた時の反応の素早さや朝の挨拶をした時の嬉しそうな笑顔が良かった。店の前を通るのを心待ちにしてるんだろうなあって伝わってくる。眩しそうに紫苑の後ろ姿を見つめる眼差しも愛おしさが滲んでいて、絶対に紫苑の平穏な日々を守る、そのために騙し続けるっていう強い意志と覚悟が伝わってきて良かったと思います。

花束を紫苑にしたのはわざとだよね。「紫苑」って音の響きに少しだけ照れと寂しさが入り混じっていて、あー名前を呼びたかったんだなとジーンとしてしまった。彼が帰った後、嬉しそうに余韻に浸るところがとてもよかった。

紫苑が触れた自身の腕を大切そうに撫でたり、腕っぷしを褒められて嬉しかったのか突然腕立て伏せを始めたり、思いがけない息子との触れ合いを噛みしめるように喜ぶ姿がとても良かったです。いつもチャラいけど、息子の前だとあんなに優しいお父さんの顔をするんだなあ。紫苑の方は何か思惑があって近づいてきたっぽかったので、余計にただ純粋に息子を思って喜ぶ様子が切なく映って印象に残りました。

キャラクターがイマイチ馴染んでいないように見えることがあって、そこがちょっと残念だなと思っていたけど、過去について語る時の静かな口調、成長した息子に向ける愛おしそうな眼差しや幸せそうな姿に安堵するような表情、見守るだけしか出来ないけどちゃんとお父さんだなって感じられたのは良かったです。

顔、声、動き等に抑揚情緒を感じられない
だからユーモアキャラには不自然故不向き
面白くないハンサムが無理してお茶らけたら
寒くなりましたの典型的な仕上がり…残念

定番の流れになった「花咲かせとく？」が面白い。このドラマの世界観だからこその台詞だし、一応毎回口にするけど本人が一番「咲かせてどうすんだよ」って思ってそうなところも良い。ぶっ壊すとか拉致するとか、発想がどうしても犯罪方面に傾きがちなのも、とりあえずやっちゃえっていう桜介の後先考えて無さそうな性格を感じさせて良かったです。

シュッとして格好良い役だけじゃなくて、こういうチャラくて明るいキャラクターも似合いますね。「植物系エスパー」って戦隊ものみたいなポーズ取ってドヤってる姿もチャーミングで良かった。気さくで人懐っこい人だけど、それだけじゃなさそうな、心の内は見せていないようなミステリアスさがほんのりと滲むところも良かったと思います。