ちょっとだけエスパー

四季が混乱してくると心配そうな顔で体をさすり声をかけて一生懸命宥めている円寂さん。誰かに愛されたいし愛したいって言葉の通り愛情深く優しさが溢れていました。ビット5といる時は幸せそうで和みました。ミッションによっていろんな顔が見れて良かったです。

復讐している時の笑顔と高笑いが、徐々に辛そうな泣き顔と叫びに変わっていくのが切なくて苦しかったです。誰かに愛されたかった、愛したかったっていう言葉もズシンと響いて、鉛のような重さで心に残りました。クリスマスマーケットで皆の膀胱を温める姿も、３４人の命がかかった緊張感・緊迫感を壊すことなく、ほんのりコミカルさを滲ませるその絶妙な塩梅がさすがだと思いました。

千田が亡くなっていたと知った時の表情がとても良かった。人助けをした、世界を救ったって思っていたのだから余計にショックが大きいだろうし、自分たちのミッションのせいかもと責任も感じてるだろうし、ただ知り合いが亡くなったというだけではない複雑に絡む思いが言葉以上に伝わってきて、何秒もないカットだったけど強く印象に残りました。

元々尽くすタイプで面倒見が良い人だし、恩義を感じている兆に「円寂さんだけは味方でいて下さい」なんて言われたらそりゃあ絆されちゃって何が何でも兆を信じようとするよなあ。九条の話を聞いた後、現実逃避するようにポテトを食べ続ける姿が、信じたいけど…っていう気持ちの揺れと迷い、戸惑いを感じさせたのも良かったです。

文太に過去を語るシーンが素晴らしかったです。憎悪や悔しさが過去のものとは思えないくらい激しくて生々しくて、円寂さんが経験した絶望の深さがひしひしと伝わってて見てるこちらまで胸が苦しくなる心地がしました。文太と西瓜の種を飛ばし合う姿もほのぼのと微笑ましくて、文太も言っていたけど、思い留まってくれて、第三の人生を選んでくれて本当に良かったなってグッときてしまいました。

市松の登場に浮かれていつも以上にテンション高くなってる姿が可愛らしかったです。過去について触れられた時にサッと陰が差す表情も、いつも明るい円寂の闇というか、抱える過去の重さが垣間見れた気がして印象に残りました。

ミッション達成のために「心臓が苦しい～」って迫真の演技を披露するシーン、絶妙な棒読みっぽさと急遽思いついた感満載のリンゴ飴の謎くだり、察しの悪い桜介への舌打ち、短い場面だったけど見応えがあって面白かったです。ああいう芝居が寒くならずにちゃんと面白いのもさすがです。

「フンッ！」って1個ずつお茶を温めるシーンが面白かったです。笑わせようっていう感じが一切なくて、大真面目にやってるから余計にジワジワくる。文太をボケナス呼ばわりする時の目が全く笑っていない笑顔も、「四季ちゃんにバレたらいけない」っていう円寂の焦りや必死さ、文太への苛立ちを感じさせて良かったと思います。