イグナイト -法の無法者-

設定として父親が千賀弁護士にはめられて自死し、独学して19歳で司法試験に合格。そして千賀に復讐を果たすという役柄になっている。

そういう目で見ると、この役は二律背反したものを感じさせるように演じるべき。非エリートらしさとインテリジェンス、世間へ無関心なクールさと一度狙ったら勤勉なホットさ。でも孤独で群れない行動力は事務所の連中との絡みの中で変わっていく。そんな役柄。

孤独感とかクールさはそもそもそんなルックスをしているから良いとして、インテリジェンスは感じられない。脳を動かし、思考しているんだなと類推できる細かな演技がほしい。たとえばペンを回すとか、鼻の頭をかくでもいい。それを轟が見抜いていることで、高井戸の裏切りの背後にあるものをわかっているというシーンにつなげることができる。

また宇崎に食いかかるシーンは迫力があるけど、これはヤンキーの役ではない。ホットであっても、どこかに知的な分別がないと弁護士という部分が消えてしまう。

おいしい役なのにもったいないなと思う。

虎に翼の堅い役を見ていたから軽さになれず違和感があったけど、報道を見てもしかしたら素はこちらなんじゃないかと思うようになった。チャラチャラと女の子と話場面はいつも通りって感じでちょっと感じが悪い。やっぱり別物とはいかないんだよね。

クールさと有能さを感じさせる落ち着きのある佇まいが熱血の宇崎と良い対比になっていたと思います。動の宇崎に対して台詞も登場シーンも少なめではあるけど、決して埋もれることなく存在感があったのも良かった。宇崎の過去を聞いた時にふと表情が変わるところも、高井戸の人間味が感じられて良かったと思います。