伝説の頭 翔

翔は違う誰かから聞く前に自分で今までは替え玉だったと告白したのだろう。それがなければさらっと交代すれば傷つく人も少なくて済んだ。でも‥もしかしたら、今まで降りかかった問題を達人なりに乗り越えてきたことのリスペクトを込めて今までは達人だったって言ってくれたんじゃないだろうか。翔は全部いいとこ取りするようなやつじゃない。みんなは翔だと騙されていたけけど確かに頭として頑張ったのは達人だから。達人の居場所を残してくれている気がするんだよなー。

誰が相手でも殴られるしかない達人が、相手を女だと思ったから手を出さなかったみたいな英雄になっているのが笑えた。良いふうに見られればそうなるのか、翔は頭もキレるんだねと感心した。達人は自分じゃない誰かになることに憧れがあったかもしれないけど、強い翔さんになりきることでより孤独を感じてしまう。自分も大事にされたいという欲が出てくるのは自然なこと、達人が捨てたいと思っていた自分のことを考えられるようになってよかった。

ヤンキーが生理的に無理くらいの刑事さんはちょっと過剰だと思うけど、なあなあになっちゃうのは確かに良くない。警察は警察として毅然とした態度で接してほしい。そしてヤンキーたちが街の自警団っぽく扱われるのも違和感がある。仲間のためには命も厭わないくらいの熱さが良さって言いたいのかもだけど、正直他人とどうしてそこまで揉めるのかが分からないし。翔さんは引退を言い出せずにいるけど、あそこまで神格化されてしまうと簡単には言い出せない。まだまだ達人に頑張ってもらおう。

不治の病っていうから翔さんはそのうち死んでしまうのかと思っていたらナルコレプシーでしたか。これもこれで厄介で大変な病気ですよね。よくバイク乗っていたなと今考えると冷や汗もんです。ただ程度にもよりますが、それでヤンキーができないのかは正直分かりません。もう少し時間をくれと言っている間に達人は次々起こる問題から逃げられないので自然と逞しくなっていく、そこも面白いところです。見た目がやばくない悪いやつが本当に悪いのは鉄板。ヤンキーがかわいく見えました。

近くにいたら迷惑だけどエンタメとしては面白い。なるほどと思いました。ヤンキー作品が途切れないのはそんな理由からなのでしょう。ただの荒くれ者が礼儀正しく筋を通したり、仲間を守るために血まみれになったりするところに感動するのでしょうか。あやのために直子が一肌脱いだのはヤンキーの王道って感じで悪くなかったです。あやも仲間たちに支えられて元ヤン疑惑も乗り越えられそうで良かった。まぁあのグループならそれで箔がつくかもしれませんね。

ヤンキーっていろんなドラマや映画で扱われているけど、そんなにいいものなんですかね？誰がやられて誰がやり返して、土地を持ってるわけでもないのに野良猫みたいに縄張り争いして喧嘩する。人の敷地を自分のシマなんて言われたくないわな。それこそガキの遊び。そこに血が流れても意味があるとは到底思えない。ちゃんと存在意義を描かないとただの他人の小競り合いに興味を持つ人はいない。したがって翔の人望にも興味がない。オワコンだな。

今どき北関東でさえもこんなヤンキーがいるとは思えませんし、自分にそっくりだからという理由でヘッドが務まるとは思えないですが楽しく見ました。北関東感を出すならもっと訛っていても面白かったかもしれませんね。もうすぐ死のうと考えていた青年がいつでも殺される立場になりやっぱり死にたくない！と思うのかなと思うと荒療治ですがいいのかもしれません。立場が変わるだけで町の風景も変わってくるのはとても興味深かったです。ただ急に戦える人っていないのであくまでフィクションですね。