警視庁アウトサイダー

有働のことで悩む直央に「あなたに出来ることをすれば良い」と背中を押すシーンが母親らしい温かさと直央への信頼が感じられてグッときました。干渉し過ぎない「私は私、あなたはあなた」という距離感も心地良い。直央が色んな意味で自由で前向きなのはこのお母さんの影響が大きいんだろうなって親子らしさが感じられたのも良かったです。

結果的に元旦那の有働や小山内に騙されていたというより、彼らの影の部分には気が付かなかったということになるのでしょう。有働とは離婚したのだから、直央に話したこと以外にも思うことはあった筈であり、何らかの直感はあったのかもしれませんが。いずれにせよ最後に直央が自分の思う正義を思い出すよう、光が当る側の存在として導く役目のキャラだったということになります。それがごく普通の女性であるというのは、光とは特別なものではないという意味合いがあったのかもしれません。脚本や演出は破綻したドラマでしたが、原作は加藤実秋さんだし、原作者はいろいろ意図していたのかなと思わせる役でした。

有働との本当の離婚理由を直央に話すシーンがとても良かったです。表情も穏やかで「あの人」と有働を呼ぶ声も愛しげで優しくて、「今でも好きなのかな？」と感じられるような温かみが感じられました。お互い嫌いになったわけじゃないのに有働の思いを尊重して別れを決断する強さと愛の深さが感じられたのもグッときました。

ストレス発散のためにプンスカ怒りながら床にコロコロかけまくる姿が可愛らしくてホッとします。直央が有働に疑いを持ち始めて不穏な空気が増してきたところだったので、余計に真由の明るさや少女のような無邪気さに救われた気がします。直央がこっそりDVDを捜すシリアスなシーンの後ろで、ずっとブツクサ愚痴をこぼしてるところも真由のマイペースさが感じられて良かったと思います。

小山内との記念撮影の時、小山内の隣を直央と取り合う姿が可愛らしかったです。本気になってわちゃわちゃ揉める様子が子供みたいで、二人の仲の良さと真由の乙女心を感じさせました。小山内が直央に「正義感の強い立派な刑事さん」と言った時の誇らしげな笑顔も母親らしくて良かったです。

直央に離婚の原因を語るシーン、「あの人を恨んだことはない」という言葉通り、穏やかな表情と口調で怒りや憎々しさが全く感じられず、有働を嫌いになって別れたんじゃないんだなと感じられました。夫婦としてはダメだったけど、人として有働の真っすぐさや正義感の強さを尊敬していることが伝わってきたのも良かったです。

一人で頑張ってウインナーを食べようとする凛ちゃんを微笑ましげに見守っていたり、手を貸そうとする架川を止めたり、直央の子供の頃を思い出してるんだろうなと思えるような、母親らしい温かい表情をしてるのが良かったです。有働と二人っきりの時にわざわざ「有働さん」呼びしたり、よそよそしくピリついた空気を醸し出してるちょっと大人げない姿もチャーミングで良かったと思います。

一生懸命小山内のうちわをデコレーションする姿が可愛かったです。後援会でそのうちわを振ってる様子が目に浮かぶくらいウキウキと楽しそうで、その傍では娘の直央がソファにコロコロかけまくってて、その平和でまったりした空気が心地よくて、見ているこちらもほっこり幸せな気分になりました。

元旦那に自分のプレゼントしたペンを安物呼ばわりされて怒ってる姿、可愛らしかったです。怒りの発散方法がコロコロをかけるっていうのもチャーミング。母親だけどそういう少女のような可愛らしさに違和感がないところも良かったです。