警視庁アウトサイダー

響子の犯行を目の当たりにしてすぐに有働に助けを求めたり、父親にも逆らえなかったり、「これ以上あの人から時間を奪うのは…」と梶間のことで罪悪感を感じていたり、イマイチ悪になりきれない弱さや情けない姿がお坊ちゃん育ちの甘さを感じさせて良かったと思います。裏の顔はもちろん、誠実そうで爽やかな人気政治家っぷりもよく似合っていたし、役の幅が広い俳優さんだなと改めて感じました。

前半の誠実そうな好漢から、後半は一転して身勝手な悪漢に転じるあたりは、最初から怪しかった有働に比べてよかったと思います。ただ大きな悪を絶つための小事とするには、あまりに思慮が足りない浮気と事件の隠蔽だし、奥さんのためというよりはやはり自己保身であって、結局は政治を託すには足りない小人物でした。斎藤さんの演技は、そんな小山内の仮面の表と裏、愚かさ、自己欺瞞などを、充分に感じさせるものだったと思います。ひどい脚本と演出のドラマで、失敗作だと思いますが、濱田さんVS斎藤さんの演技バトルだけは見ごたえがありました。

爽やかで正義感の強い好青年かと思いきや、とんでもないクズ野郎でしたね。犯行も短絡的だし、千佳に縋る時の情けない顔や拒絶されてカッとなった時の表情も印象的で、相手の本音も見抜けない愚かさや衝動を抑えられない未熟さが伝わってきました。1話の人気政治家の姿から回を追うごとに徐々にダークな面を覗かせる丁寧な演技もとても良かったと思います。

7話の小山内議員、これまでの爽やか好青年な雰囲気とは違ったダークな一面が垣間見れたのが印象的でした。有働と話す時の何か企んでいるようなニヤっとした笑みや含みのある口調、丁寧な言葉遣いはいつもと同じなのに、表情や声のトーンが別人みたいに怪しくてインパクトがありました。1話で氷を削るシーンも怖い顔してたけど、こちらが小山内の本性なのかな？最終回に向けてキーマンになりそうで、これからどんな裏の顔を見せてくれるのかワクワクします。

父親の七回忌法要での堂々とした挨拶、「青臭いこと言うな」と絡んでくる年配者にも毅然とした態度で自分の考えを語る姿、何事にも動じない肝の据わりっぷりと信念の強さが短いシーンでもしっかり感じられたのが良かったです。父親と比較されても卑屈になることなく、堂々としているけど謙虚さもあって、その塩梅が絶妙なところも上手いなと思いました。

講演会での低く穏やかな声と迷いのない語り口が、小山内の真っすぐさと誠実さを感じさせて良かったです。写真撮影もサインも快く応じるし、真由に横からグイグイ押されても表情ひとつ変えずに爽やかにポーズを保ってるし、いつ誰に見られても大丈夫という隙の無さが、人気のカリスマ政治家という説得力を感じさせたのも良かったと思います。

静電気に怯えて握手を躊躇う姿が可愛らしくて親近感がわきました。自分の人気にも浮つかず謙虚だし、その謙遜が嫌味に聞こえないところも良かった。有働との会話も、礼儀正しいけど堅苦し過ぎず、にこやかで感じが良くて、女性ファンが大勢いるという人気ぶりに説得力が感じられました。

爽やかに理想を語る、若手政治家らしい真っすぐさや熱さ、誠実そうな雰囲気、妻との和やかなやりとりなど、絵に描いたような好青年っぷりが良かったです。完璧過ぎてちょっと鼻につく感じも上手かった。人前で見せる笑顔と、一人でアイスピックで氷を砕く時の冷たい視線や無表情っぷりのギャップも怖くて、ただの若手ホープ議員ではなさそうな闇を感じさせたのも良かったと思います。