ザ・ロイヤルファミリー

息子の成長を嬉しく思う反面、独り立ちして別々の人間になっていくんだあって実感して寂しさを募らせる、戸惑いと笑顔が入り混じった表情が母としての複雑な思いを感じさせて良かったです。緊張し過ぎてデビュー戦を直視出来ない姿も可愛らしかったです。

栗須のプロポーズへの反応が加奈子らしくて良かった。「嫌だ、そんなの」ってはっきりバッサリなのも清々しいし、馬にちょっと嫉妬してるのも絵馬のくだりで拗ねてるのも可愛らしいし、栗須との息ぴったりな漫才のようなやりとりも、観てるこちらまで思わず口元が緩むくらい微笑ましくてほっこりと幸せな気持ちになれました。

栗須に誘われそうになった時急に明るくなって話題を変えたところと、レース中に思わず栗須の手を握りしめたのと、真逆に見えておんなじ恋心。一緒にいたい気持ちとこれ以上進みたくない気持ちの微妙な女心が良かったです。

栗須の前で山王のことをクソ呼ばわりするシーン、スカッとしました。馬で後ろからひき殺すって物騒な発言をサラッとするのも笑った。はっきりさっぱりした性格が気持ち良いです。「通って来た道がたった一つの正解」という言葉も自身を重ねてるのか実感が籠っていて説得力があったし、同じ母親として美紀子に心を寄せる姿も、加奈子の人柄と翔平への親心が感じられて良かったです。

ホープを応援する時の必死な表情や叫び声、勝利に感極まって涙する姿、安堵と誇らしさが入り混じったような清々しい笑顔、わざわざ台詞にしなくてもその姿を見ているだけで、不安や期待、歓喜、ホープへの思いが伝わってきたのが良かったです。これまでの紆余曲折を見てきたので、勝利した時に父親の肩をポンポン叩いて喜びを分かち合う姿にもグッときてしまいました。

必死で馬主を探している様子や父親の暴言に項垂れる様子から牧場の経営が厳しいことが容易に予想できる。セリフはあくまでも軽く明るい雰囲気で発しているからこそ加奈子の抱えているものの大きさが分かる。なんとか自分の足で立とうとするがんばりを応援したくなる。

カラッとした明るい口調とさっぱりサバサバした雰囲気が良いですね。栗須が気負うことなく、弱音を吐いたり素をさらけ出せるのも分かる。栗須との親友同士のようなポンポンとテンポよく続く掛け合いやリラックスした空気感も見ていて心地良い。馬に関する話題になると途端に声や眼差しに熱が宿るところも、馬と牧場への深い愛が伝わってきて良かったです。

栗須と喋りながら馬の世話をするシーン、仕事ぶりも移動がてらサラっと馬を撫でていく仕草も慣れた様子でとても自然で、子供の頃からずっと馬たちを見てきたんだろうなあって、馬たちへの愛情とこの子たちを守らなければという強い責任感が感じられました。化粧っ気がなく、髪もボサっとした感じで、全体的に疲労や生活感が滲むところもリアルで良かったです。