命売ります

タイトル通り自らの命を売ることを商売としている、主人公の山田羽仁男だが、いくつかの依頼を引き受け、結果的に自分は死ねず周りの人が死ぬことになっていくうちに、少しずつ羽仁男自身の心情に変化があらわれてきます。ここのところ、少しずつ死に抵抗を覚え始め、このまま生きる活力を見出してドラマの終わりかと思わせつつ、そこはやはり原作が三島小説だけあって、一筋縄では行かないようです。少しずつ活動が世間に広まり始めた羽仁男の真似をし、同じく命を売ることを始めた男が羽仁男の前にあらわれ、彼自身が気づかないようにしていた心の痛いところを付かれてしまい…最終話に向けてどのような展開となっていくのか、どういった結末になるのか楽しみです。

１話完結なので、とても見やすいです。そして、１話ごとに豪華なゲストの俳優さんが、どんなストーリーを見せてくれるだろうとワクワクします。特に、壇蜜さんの出演した回の話が面白かったです。女医さん役で白衣がよく似合っていて、男性受けが良いというのはピッタリだったと思います。

自殺願望から商売道具として自分の命を扱う主人公の異常内容のドラマ化に驚きとキャストの豪華さに観られずにはいられない作品でした。オープニングの豪華さが尋常じゃない。何故に三輪明宏さん？主人公のキモイ演技がめちゃめちゃ上手い。

さすが三島由紀夫さんの作品だなと思います。現代風にアレンジした作品を三島由紀夫さんが見たら何と言うだろうと想像しながら見るのも楽しいです。壇蜜さんがハマりすぎで、本人の性格とは違うのかもしれませんが、見た目通り、視聴者の期待どおりの演技でとても良かったです。あんな女医さんがいたら、ほとんどの男性はイチコロだと思います。

脇に芸達者を揃えて、まさに毒だらけと言った感じで独特の雰囲気はあるんだけれども、いかんせん悪い意味での最近のテレビドラマ的な薄っぺらさから抜け切れていないんだよなぁ…悪くはないんだけど。命を賭した悦楽感とエロスの対比なんてのも、なんだか時代がかって空回りしていて古本屋から持って来ちゃったよって感じでかな。