絶対正義

予想のつかない終わり方って煽っていたわりに驚いたり、笑っちゃったり、唖然としてしまうような展開がこれと言ってなかったのが個人的には残念でした。
もっと驚けるか、それはダメでしょってツッコみたくなる演出があるか範子のヤバさが忘れられなくなるようなオチを期待しちゃってたから、それまでの面白さがしゃぼんだまみたいに消えちゃってるように思えて仕方なかった。
映像の作り方がとても面白かったので、オチを綺麗に描きすぎてて今までのハチャメチャ感を否定してる感じにもやっとしました。

律子の偏った正義の暴走を止めるために現れた範子の登場が、律子が範子から受け継いだ決め台詞の「私間違ったこと言ってる？」の、最後を被せた「言ってる」と言い切ってのシーンは劇的で、正義のヒロイン風に見えるのがとても良かった。
また、微妙に範子の心境が変わる鏡の前での微かな微笑みがとても可愛らしく、正義を振りかざす律子と対照的にしているのも物語を面白くしていた。
ただ、範子に対して殺人行為をしていた4人がまともで、正義ばかり言っていた範子が全て悪かったような終わり方が残念な部分だった。

あれだけの大けがを負った範子だが生きて病院に収容されていた。殺人罪で服役を終えた４人とどう対決するのかとハラハラの初番でした。私の予想では小娘の律子が仮にも服役を終えた大人の女４人をコテンパンにできるとは思わなかったが４人には出所直後という弱みがあるので展開の予想がつけにくかったです。範子が杖をついてコテージに現れ４人と本音の話し合いを経て５人全員が涙涙で自分たちの考え方の偏りを正したかのように見えたけれど、その先はやはりホラーそのものの展開。一番たくさん涙を流し優しい心根を持っていた由美子が以前の範子のように正義のモンスターになりかけていた。いわゆる「感染」。優しく真面目な人間ほど「なにか」に染まりやすいものだと思知らされるドラマだった。範子と由美子に共通するのは「純真無垢」であり、一番の元凶であった範子の間違いは「〇〇さえ守っていればそれでいい」という「安易さ」だったと思う。

女優初挑戦での演技力としては及第点だと思うが、田中みな実の演技力に若干ボロが出始めた印象です。あと、範子と律子の迫力の差にも少しがっかり。範子の迫力には誰も勝てない気がします。懲役20年の求刑に対して出てきた時の面子の顔が若すぎる。律子が助けたと言っていたが服役は無しだっかたのか？時計の録画機能やディレクターの裏切り等ドラマの展開として読みやすい内容でした。気になったのはパーティの父の友人と言うのは本当に友人だったのか？それとも律子が用意したフェイク？

どこまでもホラーだったなぁとつくづく思います。劇中で一番泣いたのは美村で、その演技力に圧倒されました。ひたすらおびえたのは田中みな実で、どこかはかなげでか弱いキャラクターが見事にはまっていたと思います。片瀬の演技力もすごい。セレブがすごく似合い、いらだつシーンでも幸せそうなシーンでも安定の演技でした。どんどんいい女優になっていくなと実感です。純然としたホラーという点で展開の読みにくさとスリルではこの冬一番のドラマだったかも。

もともとホラーを感じるドラマでしたがミステリーホラーという印象がますます濃くなってきたし、女優陣の演技がすごい迫力満点。口を大きく開けて怖がる表情の演出が見事。みんな捨て身の演技っていう感じがして、ものすごくスリリング。里穂が妊娠中だという設定もなんとなく怖いものを感じるのは私だけでしょうか。本当に里穂と夫の子供が無事に生まれるのか興味あります。もちろん範子は生きてるようにも感じますが何かのトリックなのかな。もう物語も佳境を感じるのにまだまだ謎が多いつくりなのはニクいですね。

正義を何よりも重んじて行動する範子は、どんなときにも冷静で冷徹な人物とばかりに思わせる正義を振るわれ被害を受けていた由美子と理穂、和樹に麗香のそれぞれの視点から、一転するような範子の行動からの視点に内容が変わった所がとても良かった。
予想していた範子の感情が無いような動きが、沢山の果物などをビニール袋から落として散乱させてしまうドジな1面に走って麗香の元に向かっているのに焦らないと自分自身に言い聞かせる所に人間味溢れた人物だと、客観的に見たら範子も至って普通なのに、色眼鏡で見てしまう4人の心理が個性を異様と見れば変わって見える演出が素晴らしい。

正義というのはただの言い訳で、結局は範子の狂気だったのかという印象。おまけに先生を殺してしまったみたいで、そこまで行くともう正義でもなんでもありませんね。面白かったのは初回だけで、回を追うごとにだんだんつまらなくなってきました。高校からの同級生4人は家族だけど、夫は家族じゃないなんて屁理屈こねてましたけど、範子の夫はなんで彼女と結婚しようと思ったのかな。自宅での浮気も妻の範子公認のようですし、絶対正義なんてタイトルや、高校時代のそれなりに納得できなくもない行き過ぎた正義感による言動もすっかり歪んでしまって、ストーリー自体が迷走し始めた感じ。

正しいとか正しくないとか正義とか言いながら、結局は範子の言動に対して友人たちがガクゼンとするのを楽しんでいただけか、ということが分って一気に面白みがなくなりました。わかったというのは、範子が嫌らしく笑顔を浮かべて友人たちの反応をうかがっていたからそう思ったのですが。それに、元教師が出てきて威勢よく範子をやり込めるのかと期待してたら、びっくりするほど簡単に言い負かされて、おまけに助けてあげて感謝されてたはずの教え子たち（則子の友人？たち）にも思いっきり安易に手のひら返されて、それで終わりか？！という展開には、拍子抜けしました。

範子のエキセントリックな立ち居振る舞いがますますエスカレートしてきて、いよいよ面白くなってますね。でも、屁理屈ほどに行き過ぎている状況設定は、いかにも作り話めいていて見ていてウンザリします。例えば、社内で服を脱がせたり、警察を呼びつけたり。栄誉ある賞にノミネートされている和樹の本の中身を逐一チェックしていって、内容の真偽や取材状況を追求していくシーンなど、正義の行為というよりもただの病的な、人の揚げ足取りにしか見えません。
則子の子供の律子が万引きをして、店に呼び出された範子が「自分の子供でも悪事を働いたら警察に突き出す」と言った際の律子の表情、反応の仕方はとても自然でリアリティがあり、演技上手いなあと思いました。

女性向け今季冬ドラでは一番のホラーだね。範子はサイコパスなんだろうか。友人たちのプライベートにどんどん踏み込み、それも完全に「否応なし」。「私何か間違ってる？」と聞かれる時に、なにかいい返答は無いものだろうかと、いつも考えてしまう。背筋が凍るホラードラマといえば「真昼の悪魔」を思い出すけど、アレくらい人間の心の闇をちらつかせてモヤモヤさせてくれると嬉しいんだけど。里穂夫婦が壊れて行くのか？万引きした律子がどうなっているのか？気になるところだね。

山口紗弥加さんは、どんなドラマでも割とエキセントリックな役柄が多い印象でしたが、今回のは面目躍如という感じですね。ボブというよりおかっぱ頭、着ている洋服や小物類まで、普通じゃないエキセントリックな人という感じが溢れていて、今回も良い感じです。あの同級生５人が大人になったというには、多少見た目年齢に差があるけれど、高校時代の印象そのままで、上手く配役・演出していますね。則子が一体どんな男性と結婚して、子供を産み育ててるのか気になります。

１回目を見逃しやっと見れました！かなりびっくりしましたよ。こんな「正義」もあるんかいな！？という気持ち。理路整然わき目もふらずバリバリと前に進む女は、この冬旬キャラなのですかね。「正義」「正しい」を盾に次々と他人のプライバシーを把握し否応なしに家庭や会社に踏み入ることはお節介だが法に触れていないだけっていう気がするけど、範子は新たに問題を生み出すような流れにしていくからそれこそが「問題」だと思う。範子に正義以上の何か意図があるのか、無いのか、今のところそこが気になる。

主演の山口紗弥加がはじめは友達の為に力を尽くしているように思えるが、どこにでも入り込んで気づけは裏工作がすべて完璧なところと、淡々と事をなしていく姿は怖くもあり潔さも感じる。
‘友達でしょ’の決めことばにも女友達ならではのねちっこい意味深な裏も読み取ることができ無表情から放たれる言葉の猟奇性を感じ、呪縛から逃れられないような気持ちさえ湧いてくる。
社会に出てそれぞれ違う立場環境で、もがき生きている4人の女性の気持ちにも共感できる。
主人公によって追い詰められた、ミムラ演じる主婦の今後が気になるところです。