お母さん、娘をやめていいですか？

主人公の娘とその母親が尋常じゃないから、そこでバランスをとるありきたりの普通の青年を普通に演じているのですが、ほんとうに芝居の痕跡を消して普通にしている。作品全体の中の自分の立ち位置を的確に理解されているんだなあと感心しています。ほんとうに過不足のない良い演技ですね。

柳楽優弥といえば、子役として脚光を浴びた人というイメージでドラマなど見たことがなかったのですが、本ドラマでの母と娘の異常な関係性に割って入る会社員の彼という平凡とも特殊ともいえる難しい役を自然にこなしている感じでした。ドラマのストーリーを邪魔することなく存在感がアクセントなっていて、とても好印象でした。

柳楽優弥さんのことは、正直これまで好きでも嫌いでもなかったのですが、このドラマを観て好きになりました。波留さん演じる主人公の恋人役だったのですが、彼女のことをコントロールしたがる母親から独立するための手助けに奮闘する姿が好印象でした。

今回のドラマの前クールにやっていた柳楽さんの出演していたドラマも観ていたのですが、そのドラマと今回の役が全く違っていて、でもどちらもこちらがのめり込んでしまうような演技をされていて、本当にすごい俳優さんだなあと思いました。少しふざけた演技から真面目な役柄まで幅広くこなせる今日本を代表する俳優の一人だと思います。

最近のドラマは、顔が良く若者から人気を得ているアイドルなどがキャスティングされることが多いですが、柳楽さんは良い意味でイケメンすぎないため見ていてとても感情移入がしやすかったです。また、朝ドラでその名を馳せたということもあり演技力はピカイチでした。一途で男前でありながらどこか不器用な役柄を見事に演じ切っていました。

柳楽優弥さんはいつも独特な雰囲気の役を演じているイメージがありますが、今回は割と普通の真面目な感じの役でした。一見、優柔不断な感じもするが実は芯があって頼りになる松島、という役をとても自然に演じていました。こういう普通の人の役も出来るのだなと、意外性があってよかったです。

演技は良かったと思います。頼りなさそうに見えて、実は結構グイグイ引っ張ってくれる的な所がいいなと思ってドラマを見ていました。柳楽さんの演技自体ほとんど見た事がなかったのですが、単純にこんな優しい彼氏欲しいなと思いました。

役に合わせて体重を増やしたのか少しふっくらとしていて、人懐っこい雰囲気がいい感じで出ていました。
サラリーマンというわりと普通の役どころなのに演技が上手なので、ベテランの斉藤由貴にも負けていないように見えました。

いかにも現場の人になめられそうで、どこにでも居そうな若手の現場監督をを自然に演じているなと感じました。斉藤由貴さんみたいな中年のおばさんを相手にペコペコ頭を下げながらやっていそうなイメージがわきました。

お母さん、娘をやめていいですか？の初回で柳楽優弥さんを見たとき『え、ヒロイン(波留さん)の相手役にこんな地味な感じな人なの』と思いました。
でも回を重ねて観ていくごとに役柄と柳楽優弥さんの雰囲気が合ってきてシックリくるようになりました。
斉藤由貴さんとのドキドキするやりとりもありましたが、ヒロインを言葉少なに優しく見守り支えていく演技に胸を打たれました。

柳楽優弥さんはもともと御自身が持っているワイルドな雰囲気がかなり強いので、どちらかというとぴったりとハマるワイルドや軽い役柄が多かったのではないでしょうか。今回は昔は遊び人という設定ではありましたが、常に真摯に純粋な相手役に接していた青年でした。いつもと違う役柄でしたが、演技がお上手なので全く違和感がありませんでした。