クイーン・メアリー 愛と欲望の王宮 ‐決断‐

このドラマの中で一番好きなキャラクターでした。躊躇なく悪事を働き、己の欲望に忠実で愛する女性には一途で…。やってることはクズなんだけどクレイグ・パーカーの大人の色気たっぷりな演技で実に魅力的な男性に作り上げていたと思います。しっかりと鍛えて魅せる体を作っているから戦闘シーンもラブシーンも様になって見ごたえがあったところも良かったです。

暗闇の中、椅子に座ってジェーンを待ち構えている姿がすごく怖かったです。ただ座ってるだけなのに迫力と有無を言わせぬ威圧感があり、ナルシスの根っからの悪党っぷりが感じられたのが良かったです。ジェーンを脅すシーンも彼女を見つめる眼差しが人間を見ているというより物を見ているように冷たくて、ローラと一緒に心も失ってしまったのかなとちょっと哀しい気持ちにもなりました。

同じ悪党でもルースベン卿やノックスと違い、彼なりの愛国心と正義があるから悪事を働いても見ていてイヤな気持ちになりません。ギデオンと交渉する際の余裕ある上から目線の態度もナルシスの有能さを感じさせます。一方でギデオンに「復讐したいのか」と問われた時のあの動揺ぶり。未だにローラを愛し続けていることが伝わって彼の人間らしさが感じられ、冷酷さとのギャップがよりナルシスを魅力的に見せていて、クレイグ・パーカーのはまり役だと思います。

カトリーヌの前でアンリを褒め讃えたり、「アンリに素質があると認めたらどうだ」と迫る時の表情がカトリーヌの真意を探っているようで、アンリ側に寝返るタイミングを窺っているような不穏な空気を醸し出していたのが良かったです。一波乱起こすかも…という雰囲気を出すのが本当に上手いですね。それが自分の野心のためでもあるけど、一番はフランスを思う愛国心からくるものだというところもカッコ良いです。

アンリに脅された時の大人の余裕たっぷりの態度がカッコ良過ぎました。さすが数々の悪行を重ねてきただけのことはあるなという貫録で、脅したアンリの姑息さが際立ったのも良かったです。ニコルとワインを飲むだけのシーンでもグラスの渡し方やニコルの手を取る仕草などがラブシーンではないのにいちいち色気があって美しく、見ていてドキドキしてしまいます。

ニコルを誘惑する時の表情に少し戸惑いや後ろめたさ、後悔などが滲んでいるところが良いですね。今までのナルシスなら余裕たっぷりにこなしていたと思うのですが、目が虚ろだし心をどこかに置いてきてしまったようでな表情をしていて、そこにローラへの深い愛情が感じられたのが良かったです。

カトリーヌにニコルを誘惑するよう促された時に「国王が愛する女性に手を出すのは…」みたいに躊躇してましたが、ちょっと満更でもなさそうな顔をしていたところがナルシスらしくて良かったです。野心満々な姿は男らしくて素敵なんですが、ローラがいた頃の紳士的で色気があってロマンチックなナルシスも好きだったので、もうローラの存在が感じられないナルシスの様子がちょっと寂しいです。

シャルルと言い合いになりそうなカトリーヌを「スープが冷めてしまう」と制したり、自分の寝室にニコルがいた時も平然としていたり、何があっても落ち着いてスマートな対応をする大人な態度がカッコ良いです。誘惑してくるニコルに「私は魅力的だからね」と返すシーンも色気とちょっと危ない雰囲気があって素敵でした。イケメンで体格も良くてセクシーで、本当に魅力的だから自信過剰な勘違い男に見えないところも良いですね。

リーザにシャルルの不在を問い詰められた時のしどろもどろな感じや、ルークを助けたレイスにお礼を言う時の父親らしい表情、リーザに全てがバレた時の狼狽ぶりなど、今回は今まであまり見たことがないナルシスの一面が沢山見られたのがナルシスファンとして嬉しかったです。あのナルシスですら余裕をなくすほどフランスが危機的状況なのだと視聴者に強く印象付けたところも良かったです。時間稼ぎのためにリーザと美術品を鑑賞するシーンはさすがの色気でカッコ良かったです。

22話ではルークを認めず全てを否定するような態度が彼を権力を得るための道具とした見ていない冷酷な印象を受けたのですが、23話ではそれが自分が死んだ後のナルシス家の永続のためだと分かり、彼なりの家族への愛情が感じられたのが良かったです。シャルルのことやスペインのことなど内心は焦りがあるはずなのに、ポーカーフェイスでやり過ごすところも、肝が据わった大人の男性らしさが感じられて素敵です。

22話ではもうすっかり以前のナルシスに戻っていて、大法官の座とフランスを守るためなら何でもするという野心丸出しのギラついた雰囲気があって、「何をしでかすんだろう」とワクワクさせられました。修道女になったクロードを想像すると興奮するというような台詞がありましたが、ニヤついていても全然嫌らしくなく、むしろ色気があって素敵に見せてしまうところがクレイグ・パーカーさすがだなと感心しました。

21話でようやくフランスに帰還しましたが、ナルシスがいるというだけでものすごい安心感があります。人生経験豊富な大人の男性の余裕が頼もしく、とてもカッコ良いです。ジョンから辛そうに目をそらす姿は見ていて切なく、ローラへの変わらぬ愛情と彼女を失った悲しみの深さが感じられました。

エリザベスとギデオンが話す様子を遠くから気にしていたり、ノックスをそそのかす時のしたり顔など、常に相手の隙を探して優位に立とうとする姿が昔のナルシスらしい狡猾な感じがして良かったです。以前はそれが自分の出世のためでしたが、今はすべてがローラの仇を討つことに繋がっていて、野心ではなく彼なりの正義に基づいているところも良いし、ローラが登場しなくてもナルシスの表情一つ一つから彼女の存在を感じることが出来ます。

エリザベスに対しても全く臆することなく正面から顔を見据えて敵意と憎しみをむき出しにする姿がローラを奪われた強い怒りを感じさせました。異国の君主に対しても畏まらない、良く言えば堂々とした態度が野心家で怖いもの知らずなナルシスらしくて良かったです。

ローラの処刑シーンの演技がすごかったです。暴れて人を刺しまくる姿がいつもの美しい殺陣ではなく感情のまま剣を振り回しているようにめちゃくちゃで、何とかしてローラを助けたいというナルシスの必死さが伝わってきました。処刑後、エリザベスを睨む瞳が真っ赤になって潤み、怒りや憎しみだけでなく深い悲しみを宿していて、ナルシスにとってどれだけローラが大切な存在だったのかが感じられたのも良かったです。

ローラと再会するシーンが素敵過ぎました。瞬きするのも惜しいというようにローラから一切目を離さず、じっと見つめたまま想いを伝える姿にはジンときました。普段の落ち着いた余裕のある雰囲気とは違う興奮気味な表情も、ローラに会えた喜びと自分の気持ちを早く伝えたいというナルシスの焦りが感じられ、彼のローラへの深い愛情が伝わってきて良かったと思います。

「何で宿敵と…」と文句を言いながらもメアリーを助ける姿がカッコ良かったです。メアリーと兄妹だと偽ってもてなしを受けるシーンでは、後ろめたそうなメアリーとは違って肝が据わって平然とした表情をしていたのがナルシスらしくて良かったです。嘘をつき人を騙すことに慣れているナルシスの悪党ぶりを改めて感じさせられました。

フランスを去る前に「必ず戻ってくる」とカトリーヌの手に恭しくキスをする仕草が大人の色気と余裕が感じられてとても素敵でした。メアリーにローラからの手紙を渡す時の、ショックと苛立ちが混じったような表情にメアリーへの嫉妬が感じられ、今でもローラを愛していて手紙を送り続けているのかなと切ない気持ちになりました。

14話のカジノでの格闘シーンがカッコ良すぎました。いつもの余裕のある雰囲気ではなく、血走った目で必死な表情をしていたのが印象的で、命がけで戦うナルシスの強い愛国心と覚悟が感じられたのが良かったです。しっかりと鍛えて彫刻のような「魅せる身体」を作り上げているところにもプロ意識を感じました。

カトリーヌから疑いは晴れたと言われてホッとした表情を見せつつも少し怪訝そうな、「何か裏があるのでは」というような目つきをしていて、誰も信用しないナルシスの本質が感じられたのが良かったです。ローラと出会って自分は変わったと言っていましたが、ナルシスって本来はこういう疑い深くて誰も信用しない人でしたよね。以前のナルシスが戻ってきたことで彼にとってローラの存在がいかに大きなものだったかが伝わってきたのも良かったと思います。

こういう色悪的ポジションの役はもともと人気が出やすいよな思っていましたが、相当ゲスなのにこれだけ魅力的に見えてしまうのは役柄だけでなくクレイグ・パーカーの高い演技力も大きく影響していると思います。特に言葉とは裏腹の本心をさりげなく滲ませる表情が秀逸です。摂政になったカトリーヌを褒め称えるスピーチをする際の一見微笑んでるけど目が全く笑っていないところとか、隙があればその座を奪い返すというギラギラ感が伝わってきて良かったです。

10話のナルシスはローラを失って出世欲への歯止めがますます効かなくなっているような印象を受けました。メアリーやカトリーヌに対して高圧的な態度で敵意をむき出しにしていて、ローラがいた頃の穏やかな一面が完全に消えてしまったのが哀しく切なく感じました。

9話では表情や話し方にかつての傲慢さや狡猾さが戻っているようなアクの強さが感じられ、ローラが去って彼の「良い人間」の部分も消えてしまったような印象を受けました。ナルシスにとってどれだけローラが大切な存在だったのか伝わってきて、こうなったのは自業自得なんですが何だか切なくなってしまいました。

8話はカトリーヌを破滅させようと企み、出番も多かったですが、ローラにネズミの件や秘書殺しがバレてしまうシーンが特に良かったです。いつもの余裕のある雰囲気は一切なく、動揺して戸惑い、必死で愛していると訴える姿が印象的で、ローラへの愛が本物だったことが伝わってきました。やり方は卑怯で卑劣だけど、こんな間違ったやり方でしかローラの愛を勝ち取れないナルシスが哀れにも感じました。ローラが去った後の呆然とした表情が彼女への愛の大きさを感じさせたのも良かったです。

カトリーヌと手を組んだように見せかけて簡単に裏切るところが相変わらずの悪党ぶりで、ここまで道徳心がないと逆に気持ちが良いです。とんでもなく悪い人ですがクレイグ・パーカーがとにかくカッコ良くて色気があるので、魅力的なキャラクターに見えてしまいます。摂政に選ばれた時の勝ち誇ったような表情が憎らしげで良かったです。

ローラに嘘をつく時の少しためらいと後悔を感じさせる複雑な表情が良いですね。今まで散々人を騙して殺してきた悪党だけど、ローラに対しては彼女に見合う良い人間でありたいというナルシスの葛藤が伝わってきますし、彼女への愛情の深さも感じられます。

フランソワの死を嘆くローラを優しく抱きしめて慰める姿が紳士的で素敵でした。その直後に、メアリーにフランソワを襲った犯人を吊るし首にしろと命じられた時の全く動じない平然とした表情がナルシスの残忍さを強く感じさせ、ローラに向ける優しい表情とのギャップがあって良かったです。

ローラに対しては優しくて頼もしい夫ぶりですが、人を騙して土地を奪うなど根柢の悪党ぶりは全く変わっていなくて、その二面性がナルシスの魅力だなと感じます。カトリーヌと対峙するシーンやネズミの件がローラにバレそうになる時の悪役感満載の表情がゾッとするほど冷たくセクシーで素敵です。

３話でシャルルの不祥事を処理する姿が頼もしくてカッコ良かったです。テキパキと手際が良くてナルシスの出来る男ぶりが際立っていたし、王太子に対してもひるまず指示を出してビシっと諌めて責任の取り方を教える姿がこれまで見たことのないナルシスで、父親のような雰囲気すら感じられました。彼も人の親だったなと思い出し、本当にジョージの良いお父さんになれるかもしれないと、フランソワの心変わりに説得力を持たせていたのが良かったです。

ローラと二人でいる時の穏やかで幸せそうな笑顔と、ローラへの脅迫状を自作自演する際の狡猾そうな顔、正反対の表情を巧みに使い分けてナルシスの二面性を上手く表現していると思います。最近の良い人ぶりも素敵ですが、やはりナルシスは悪役要素が多少でもあったほうが色気が増してよりカッコ良く見える気がします。

ドラマ内で一番好きなキャラクターなので今シリーズから出番が大幅に増えたのが嬉しいです。初登場の頃は国王を脅迫する悪党でしたが、ローラと出会って彼女を本気で愛するようになる姿が本当に素敵です。ローラを見つめる眼差しや彼女の背中に手をやる仕草などに大人の男性の色気があって、見ていてドキドキしてしまいます。