下町ロケット 2018年版

そんなにセリフが多い役どころではありませんでした。それこそ「存在感」が物を言う難しい役柄だったと思いますが映画「龍三と七人の子分たち」の時の演技を見ても感じたとおり、名バイプレイヤ－としての自立ぶりには目を見張るものがありました。

安田さんの温かく深みのある話し方やくしゃっとした笑顔が、佃社長からも部下からも信頼されて頼りにされる山崎の人柄の良さを感じさせます。ただニコニコしてるだけでなく、時には現実的に物事を捉えて佃に進言する冷静で頼もしい一面も見せてくれ、佃にとっても会社にとってもいてくれなきゃ困る大切な存在なんだということを、限られた出番の中でしっかり印象付けていたと思います。

軽部に不満を持つ立花たちを飲みに誘うシーンがさらっとさりげなく自然で、普段からこうやって若手と中堅の潤滑油的役割を担っているんだろうなという雰囲気が滲み出ていたのが良かったです。山崎がいるから会社全体が上手く回っているんだなという説得力が感じられました。

ハマり役だと思います。個性を主張しすぎず溶け込んでいるのに、記憶に残る演技をするところがすごいと思います。1番素敵だと感じたのは、顔芸です。業務がうまくすすまず悔しい時、契約が成立し嬉しい時、大切な仲間が退職する時、その表情ひとつひとつに注目してしまい、いつの間にか自分もその顔になってしまいます。

出番は多くないけれど、モチベーションが下がる立花たちを「ほらほら」と鼓舞したり、佃社長の隣でサブ役に徹したり、会社を円滑に回すための縁の下の力持ち的な頼もしさが感じられる演技が素敵です。パッと目を引く個性の強い役も得意な方ですが、今回は良い意味で目立たないというか、周りに溶け込んだ程良い存在感で場面を締めているところも良いなと思います。

溜息混じりの台詞まわしやちょっと猫背っぽい立ち方などで良い感じにくたびれた中年男性の雰囲気を醸し出していると思います。演技派なんだけど役の感情を視聴者に押し付けてこないというか、やり過ぎないようバランスを計算して芝居をしているように感じられるところも好きです。5話で涙ながらに殿村を送り出すシーンも青春ドラマ並みに熱くて、やり過ぎると逆に興冷めしてしまうのですが、安田さんの演技は全然鬱陶しくなくて、でも殿村への感謝とエールはしっかりと伝わってきて感動しました。

佃社長のすぐそばで大いに力になっている名参謀と言った感じですし、熱くなった時の佃を落ち着かせることもでき佃には欠かすことができないとても大きな存在でこの人がいるからこそ佃製作所の窮地が何度も救われてきたと感じています。

前回のシリーズよりも出番が少なめなのが勿体ないですが、時に夢や人情に流されそうになる佃とは違い、熱いけれどきちんと現実をみて冷静な判断が出来る頼もしさが感じられ、佃社長の隣にいてくれるだけで安心感があります。髪の毛をぐしゃぐしゃにしたり目が半分開いてなかったり、疲労困憊の外見作りを徹底的にやるところも好感が持てます。あまり画面には映らない他の社員たちの奮闘ぶりも山崎のボロボロ具合を通して感じることが出来るのが良いですね。

社長を陰で支える立場として、常に控えめだけど、時に佃の暴走を諌めようと異常に熱くなるギャップに驚かされます。でも、佃が全面的に信頼を寄せているのもよく伝わってくるので、彼の最高のバディという感じがします。

技術屋ひとすじの情熱的な人柄がよく出てると思います。
ちょっと小汚くて、乱暴そうだけど、でも人はいいという味のある感じが素敵です。
社長からの信頼も厚くて重要なシーンではいつも一緒に同行していますね。
チームを上手にひっぱっていくリーダー力もあると思います。

相変わらずの個性的過ぎる風貌に独特な話し方で安定したキャラクターを出していましたが、新しい尖った個性のキャラクターが登場したことで、社長の佃の側にいるとき以外は、目立たなくなってしまったのがとても残念に感じました。

目立ちすぎることなく、でも社長の傍でしっかりと仕事をこなす安定感のある演技がさすがです。佃社長とのテンポの良いちょっとコミカルなやりとりも面白いし、社長が投げつけた大福を慌てて拾ったり袖でテーブルを拭いたり、「それ、アドリブ？」というような安田さん独特の細かな芝居も遊び心があって好きです。