令和元年版 怪談牡丹燈籠

色っぽいし怖いし！

伴蔵が障子を開けたときのお米さんの顔が怖かったです。夫が出張に行っていて不在だったので、一人でテレビを見ていましたが、見終わった後、怖くて眠れませんでした・・・

亡くなってもなお新三郎を想うお露同様、お米もお露が不憫で死んでも死にきれなかったんだろうなと母親のような深い愛が伝わってくるところが切ないです。お露の新三郎への愛の深さや重さが自分のお露への愛と似ているからこそ彼女のために尽力してあげてるんだろうな。CGでホラー仕様になっていますが、戸田さんの演技からは恐怖よりも胸が締め付けられるような哀しさが感じられるところが良かったです。

お露が亡くなった時の必死な叫び声や、亡骸に顔を埋めてギュッと力強く抱きしめる姿にお露への深い愛情が感じられ、後追い自殺をしてしまう展開に説得力がありました。お露と新三郎の逢引を見つめる時の、幸せそうな、でもちょっと哀しげな眼差しが印象的で、お露の望みが叶った嬉しさとこれから新三郎がどうなってしまうのか全て分かっているような複雑な心境を思わせました。撫肩で首が長いので、着物姿が浮世絵のように美しいところも良いですね。

お露とお茶をするシーンでのちょっとくだけた話し方と優しい笑顔に母親や姉のような愛情が滲んでいたのが良かったです。小さな頃からずっと成長を見てきて、母を亡くしたお露にとっても家族同然の気の置けない存在なんだろうなと感じました。一方で、お国に対する口調や見下したような眼差しはどこまでも冷たく、彼女への敵対心や嫌悪感が伝わってきましたし、お国に「そなた」と呼ばれた時の表情の歪みっぷりがめちゃくちゃ怖くて、女同士のドロドロを予感させたのも今後の展開への期待感が高まって良かったと思います。