令和元年版 怪談牡丹燈籠

時代劇って表情も台詞まわしも全体的に芝居が大きくなりがちですが、淡々とした口調やあまり変化のない表情などが良い具合に力が抜けていて、それが源次郎のダメ息子っぷりとマッチしていて良かったです。普段、淡々としているからこそ、たまに見せるニヤリとした厭らしい笑いや鋭い眼差しが彼のクズっぷりを際立たせていたと思います。

柄本佑は好きな役者で、今後も伸びると思うがこの役にはどうか……。
この役にはもっとわかりやすく色っぽいイケメンを配すべきじゃなかったかなあ。
イケメンってだけではお国がそんなに入れ込むのも実はわからないんだけど、
この脚本では柄本佑の役の魅力が全く書けてないので、ますますわからない。

平左衛門が斬りかかってきた時に咄嗟にお国を脇に逃がしたり、自分は深手を負っているのにお国に「逃げろ」と言ったり、クズ男なんだけどお国への愛だけは本物なんだなと感じさせるところが良いですね。個人的には所謂イケメン俳優とは違うかなと思うのですが、着物をはだけて立て膝で座る姿やニヤリとした笑みに不思議な色気があって格好良いです。

猫背気味の姿勢に緊張感のないタラタラした歩き方、締まりのない表情、喋らなくても見た目だけで厄介者の放蕩息子っぷりが伝わってくるのがさすがですね。どこか相手を下に見ているような、面倒臭そうな話し方も源次郎の人間性がよく出ていて良かったです。