相棒 Season15

菅原大吉さん、「人間爆弾」で演じた元自衛官・塩塚玄一や、後の「マイルール」で演じた作家・福山光一郎役も素晴らしかったですね。悪役やってる時の菅原さんは、ふた昔くらい前の大林丈史さんと雰囲気が似てます。大林さんは大物政治家や大企業の重役を多く演じられた方です。
ちなみに小説版でのレイブンは、マーク・リュウ（鹿賀丈史さん）ではなく天谷克則の息子でした。そして、警察側のレイブンの協力者が山崎警備局長という設定でした。
小説版では、USBを捜査本部に落とすのはリュウではなく山崎です。自らの出世のために手段を選ばない山崎は、過去にもみ消した自分自身の不祥事をレイブンの部下で、ハッカーの滝口に握られ、レイブンに弱みを握られていました。山崎はこの状況を逆に活用し、レイブンと協力し、テロ未遂事件解決の手柄を自作自演で自分のものにしようとしていたのでした。そして、事件解決後に懲戒免職処分となりました。
小説版で微妙に結末が違っているのは、ひょっとしたら決定稿に至る前にボツになったシナリオを復活・援用したのかもしれません。いわゆる「パラレル・ワールド」的なストーリーとして、非常に楽しめました。ぜひ読んでみてください。
映画版での山崎の結末ですが、警察組織の体質は身内には甘い組織なので、戒告や減給処分で終わっているかもしれませんが…少なくとも相棒Season17の最終話にも登場していないので、降格以上の処分を受けていると思われますね。そして「マイルール」で別役で出演している以上、もう山崎は出てこないでしょうね。

きっちりなでつけた髪型と太眉のメイク、あとスーツのチョイスが素晴らしくないですか。俳優の中にうっかり本物の官僚連れてきちゃったみたいなやばみがある。
山崎は劇場版にも出てきましたね。劇場版では警察庁警備局局長に出世していました。山崎警備局長はその立場にありながら人の命を軽視し、犯罪組織を率いるボス・レイブンの方が命を大切に考えているという皮肉な構図。そして真犯人の意図を理解した上で、彼のような人物が死んではいけないと身体を張って守った右京さん。
良い意味での「人間」のドラマがあの場面に集約されている。「あなたは、生きるべきです。」というポスターのキャッチコピーはそういうことだった。