義母と娘のブルース

万人受けするタイプではないかもしれませんが、魅力がある俳優さんだと思います。あの子供のイメージから、大人になったときに誰が演じるか楽しみでした。敢えて調べたりしなかったのですが、出てきた時にがっかりすることは一切なく安心して見られました。

肩の力が抜けたナチュラルな芝居が良かったです。井之脇さんの演技に「自分の身の周りにもいそうな人」というリアリティがあったおかげで、極端なキャラクターの亜希子や店長の存在が非現実的な感じがしなくて親しみが持てたのだと思います。しっかりしているけど堅苦しい感じではなんく、柔らかでどこかおっとりした雰囲気があるところも素敵でした。

好きな人をずっと見守りながら大きくなった役は子役のことは全く顔立ちは違いますが、なんとなくその子供の時と同じ雰囲気を出していてうまいなあと思いました。ただひたすら一途に相手のことを思うという感じが演技にすごく出ています。優しくてそれでいてしっかりしているというのが、誰からみても伝わるような演技でした。

メインキャストである亜希子、みゆき、店長の3人が思い立ったら一直線で暴走しがちなので、客観的目線を持ちいつも冷静な大樹の存在は貴重だと思います。亜希子とみゆきが仲直りするシーンでは「あっち行ってましょうか」とそっと麦田を端に連れて行ったり、亜希子と店長2人で語るシーンでは後ろの方でみゆきにパンをあげて微笑み合っていたり、画面にはっきり映っていなくても、メインシーンの邪魔をすることなく大樹の人の良さが伝わるような芝居を細かくやっているところも好感が持てます。

現在22歳とのことですが、高校生役でも全く違和感を感じさせません。賢くてしっかりしていて一途でたまにみゆきをドキっとさせるイケメン台詞を吐く非の打ちどころがない青年ですが、井之脇さんの爽やかなルックスと柔らかな物腰のおかげで嫌味な感じがせず、親近感が湧くところも良いですね。