Heaven？～ご苦楽レストラン～

伊賀や川合ほど出番は多くなかったけど、良いキャラだったなあ。嬉しい時やテンション高い時は満面の笑みで、落ち込んでる時は「そこまで？！」というくらい背中まん丸にしていじけてたり、おじさんなのに感情駄々漏れなところが素直で可愛らしくて好きでした。

最初は自信満々だったのに、黒須に料理をダメだしされるごとに段々萎れていくというか、元気がなくなって目も死んだ魚みたいになっていく姿がコミカル且つ可愛らしくて、見ていると「シェフ、頑張れ！」と応援したくなる魅力があります。香宮が来るからとニコニコご機嫌な様子も、シェフの素直さが伝わってきました。あからさまにヘコんだり、いじけたり、やってることは子供みたいで見た目とのギャップがあるんだけど、無理してる痛い感じや違和感がなく、とても自然に見えるところも段田さんの演技力の高さゆえだと思います。

厨房にいることが多いせいか、何か事件が起こっていてもいつも事情が呑み込めず蚊帳の外状態でキョトンとしている姿がチャーミングで良い味出してます。まかないを食べている時の猫背気味の姿勢や首を前に出してちょっと小首を傾げたような癖も、小澤の心配症な性格を感じさせて良かったです。

皆が必死で黒須と目を合わせないようにしている時に一人だけ目が合ってしまったり、勝代に「美味しいけどパンチがない」とバッサリ斬られたり、雑に扱われがちなシェフの残念な雰囲気を人が良さそうな笑顔やちょっと自信なさげな口調などでしっかり表現されていると思います。黒須が厨房をウロチョロして邪魔してる時も、苛立ちというより「困ったな」という戸惑いの方が強く感じられ、シェフの気弱な性格が滲み出ていて良かったです。

そもそも自信がなくなると、塩気が薄くなるシェフという設定が面白いのですが、いかにも自信なさげでありながら、おだてられるとその気になるところが、面白く演じられています。まあプロの料理人は常に同じ味を再現しないとダメ。そこを逆手にとった原作者のセンスが光るキャラを、段田さんが大袈裟さと地味さを生かした芝居でうまく表現しているなあと思います。

気弱で自信喪失したシェフっぽさが存分に出てましたね。キャストのみんなとの絡みも最高にテンポ良くて笑わせてくれたし、石原さとみさんに手のひらで転がされてる感じが面白かったです。あーでもないこーでもないって言って頭抱えて悩む姿はちょっと可愛かったです。歳を感じさせない演技だったと思います。

自信を無くしてヘコんだり、黒須に「うちの大黒柱」と言われてパッと顔が輝いたり、「塩分濃度」に合わせた自由自在な喜怒哀楽の表現が素晴らしかったです。そんなに大きく表情が変わるわけではないんだけど、猫背になったり首を落としたり、声のボリュームや張り方など体全体を使った表現力で小澤のモチベーションの変化をしっかり演じていたのがさすがです。

ずっと厨房にいるからあまり出番がなかったのが勿体なかったですが、口調に力が入っていなかったり、語尾がため息混じりだったり、目が半分閉じそうだったり、暑さでクラクラになってる様子が表情や仕草からしっかり伝わってきたのが凄かったです。気温まで表現する演技力の高さ、さすがです。