あんぱん

ある意味でこの時代らしい先生だけど、自分の過去についての独白で教師になった背景がわかると、また違った視線で見てしまうキャラでした。

子どもが生まれずに離縁されるって、この時代には不名誉なことだし、その代償行為として未来の国を担う子どもたちを教育の場で育てようとしたのだろうと想像できます。だからこそ必要以上に厳格にもなった。その姿勢は主人公にも大きな影響を与えたわけだけど、戦後も出てくるのかな？どう変わるのか見るのは残酷な気はするものの、凛としてけじめのつけ方を見せてほしいけど。

演じる瀧内さんですが、表情を変えたのはのぶに過去を語った時のみ。後は終始強くあった。でもその裏にちょっとだけ虚勢みたいなものを感じるところがよかった。

背筋がピンとしてカッコよく、よく通る声でピリッとした空気を纏っている黒井先生。戦前や戦中にはこういう人が幅を利かせていたんだろうなと想像できます。時代背景をヒシヒシと感じさせてくれる役割をきちっと演じていると思います。

言葉の強弱というか抑揚というか、それが抜群で余計に厳しさを感じられるし怖い。学生が官費でお国のためならば、先生もそういう生徒を預かる責任というものが大きくのしかかる。それを背負ってきちんと立っている。そういう気概みたいなものが感じられる。素晴らしい。

低くハリのある声と凛とした佇まいが黒井の生真面目さと厳しさを感じさせます。鉄仮面のような冷たい表情で淡々と話していたかと思えば急に大きな声で怒る、何が怒りのトリガーになるか分からない掴めない感じも怖くて、見てるこちらまで思わず背筋を伸ばしてしまいそうな緊張感が漂うところも良かったです。

怖い！ 上手い！