アンチヒーロー

途中で寝返るだろうなとは思っていたけど、まさか最初から明墨と繋がっていたとは驚きました。勿体ない扱いだなあと思い続けていたけど、それでも限られた出番の中で毎話しっかり存在感を示していて、最終回でドーンと見せ場が来てもそれを唐突なものに感じさせないところもさすが。公判中に伊達原と目が合った時の不敵な微笑みも、伊達原が明墨に放った台詞をそっくりそのまま返し、「検察の恥ですから」と言い放つ姿もとても格好良くてスカッとしました。

最後の最後で正体を表す裏ボス的な感じでしたね。まあ木村さんが出番の少ない脇役なのかという疑問や、「緑」と色が入った名字などから、明墨の協力者なのでは思っていましたが、桃瀬から話を聞いていた当事者でもあったんですね。法廷で伊達原ににやりと微笑むシーンは、伊達原、ざまーみろ、という感じで、溜飲を下げました。芝居は難しくしくはない役だけど、さまあ要員として、お見事だったと思います。

ここ数年ずっと滑舌悪いし口元に力が入って頬がこけてて怖いです。見た目よりも演技に力入れてほしい。

次回最終回なのに出番がこれだけっていうものすごく贅沢で勿体ない扱いだけど、それでも毎回しっかり存在感を示しているのが凄い。表情や視線に「あれ？」というちょっとした含みを持たせつつ、やり過ぎず「気のせい？」程度の印象に留める絶妙な匙加減もさすが。このままで終わりってことは絶対にない人だと思うので、最終回でどんな動きを見せてくれるのか今からドキドキしています。

ハードディスクを踏み壊す伊達原を目の当たりにした時の唖然とした表情や、そこからすぐに取り繕って笑みを浮かべる姿、明墨の事務所を訪れた時の居心地の悪そうな様子、台詞はなくても緑川の心情が伝わる繊細な表情の演技がとても良かったです。時折見せる、伊達原への不信を滲ませるような含みのある表情や目線も、今後の裏切りや寝返りを期待させて良いですね。

伊達原に「僕より偉くならないでね」と忠告された時の、張り付いたような笑顔が良かった。忠告に返事はせず、ただ笑顔を向けるだけというのも緑川の賢さが伝わってきて良かったし、あからさまな作り笑顔も緑川の上昇志向の強さや伊達原のことをいつか裏切りそうな不穏な空気を感じさせて良かったと思います。

瀬古と対面した時の嬉しそうな笑顔が印象的でした。普段とてもクールで笑顔も含みがあったり挑戦的なものしか見たことなかったので、まるで恩師に再会したような少し幼さを感じるパアっと明るい表情がすごく新鮮で、緑川の新たな一面が垣間見れた気がしました。弾むような楽し気な口調や敬意は払っているけど堅過ぎない態度も、特に説明がなくても親しい間柄なんだと伝わってきて良かったです。

法廷での凛とした姿がとても格好良かったです。落ち着きのある低めの声と迷いのないはっきりとした口調から、正一郎が犯人だという自信と確信が伝わってきて、絶対に敵に回したくないなという手強さを感じさせたのも良かった。畳みかけるような攻めの口調や何事にも動じない強気な姿勢も明墨に一歩も引けを取っておらず、強敵・ライバルに相応しい貫禄と存在感を示していたと思います。

姫野に「あなたを調べる理由、なんだと思う？」と問う時の意味ありげな口調や表情が良かった。穏やかなのに問い詰めるような圧があって、姫野の秘密を何となく感じ取っているような、「ちゃんと知ってるんだよ」って匂わせてるような怖さが感じられたのも良かったです。明墨と対峙した時の緊張感漂うピリっとした空気も観ていてヒリヒリしたし「罪を犯した人間はきちんと裁かれるべき」と毅然と言い放つ姿も格好良かったです。

ピンと伸びた背筋や颯爽とした歩き方が格好良くて、登場しただけで緑川の有能さが感じられるところが良かったです。明墨について語る時の口ぶりや、公判前にじっと明墨を見つめる眼差し、頭を下げて挨拶する時の含みのある笑み、何やら因縁がありそうな空気を醸し出しているところも「どんな関係なんだろう」と好奇心を掻き立てられて良かったと思います。