アバランチ

全員の命は取らないということを条件に大山についたふりをしたのはうまかった。羽生にバレたからあそこまで徹底できたんだろうけど、極東リサーチを軽くディスるとことか笑えました。大山に一杯食わせたときの表情がとても良かったです。

「ここからが雪崩の始まりですから」と意味ありげな笑みを見せる姿、格好良かったです。あの大山がたじろぐように表情を変えるくらいの凄みと自信が滲み出ていて、「何を企んでいるんだろう？」と観ているこちらもハラハラさせられました。羽生に「もう1人で戦わなくて良い」と言われた時の涙や、メンバーの顔を頼もしげに見つめる表情も、強い信頼関係と絆の深さが感じられてグッときました。

　山守は終盤で涙を流す場面が多くなるが、その時の演技がとても安っぽく感じてしまうのは木村佳乃の演技力のなさであろう。もちろん普段の冷静な山守を演じている時の彼女を素晴らしい。しかし、泣く場面になるとまるでただ目薬をうっただけなのか？と思ってしまう。つまり、目から水が出ているだけなのである。そしてなんとなく声を噛み殺しているような雰囲気を出すだけである。綾野剛の演技が素晴らしかったかだけにとても残念で勿体無いと感じてしまうのは私だけではないはずである。

貴方のために始めたことなのに貴方に否定されるなんてと藤田の前で気丈に振る舞おうとする姿に泣きそうになりました。自分ではなく自分が軽蔑している大山の肩をもつ藤田に悲しめば良いのか怒ればいいのか、わけがわからないのがわかる表情が良かったです。

これだけのことを計画して実行に移して、強くて芯の通った人であることは間違いないけど、何にも動じない鉄の女という感じではなく、民間人を人質に取るような取引を持ちかける大山に動揺したり、本心を悟られまいとポーカーフェイスを保とうとしていたり、随所で弱さや必死さが垣間見れるところが人間味があって良いと思います。藤田と再会した時の言葉も出ないような、目を見開いて茫然としている表情もとても印象的でした。

強く断ったときの表情は凛々しく志が見えました。でも牧原に爆弾が取り付けられてると言われて、民間人が犠牲になると言われてした動揺、それでも大山が信用ならなくて断ったときのちょっとした弱さなど細かい表現が良かったです。

大山に対する緊張は未だ解けてないけど、西城がついてこようとしたときの強い目と口調は捕まるのは自分だけでいいという感情が溢れていてカッコ良かったです。大山と向き合って、表情を変えないように意識する様子も緊張感が伝わってきました。

あのきっちりかっちりした外見で藤田の遺体を見て声をあげて泣いた姿にはギャップがあったし、深い愛情が感じられて涙がこぼれました。さらに大山に緊張しながらも対峙したカッコよさも素敵でした。

5話は3年前の回想シーンが多かったですが、羽生に料理を褒められて嬉しそうにはにかんだり、愛しそうに藤田を見たり、現在のシーンでは見られない幸せそうな笑顔がいっぱいで切なかったです。藤田が亡くなった時の慟哭シーンも、絞り出すような悲鳴や泣き声が印象的で胸が締め付けられる思いでした。各場面で藤田への深い愛情が丁寧に表現されていたので、アバランチ結成までの流れに説得力が感じられたのも良かったと思います。

恋人である藤田の亡骸と対面したシーンは素晴らしかったです。言葉にならない嗚咽から、やがて崩れ落ち、激しい慟哭へと変化していく芝居は、同様の場面でただすがりついて泣くだけの演技をする人が多い中、迫力とリアリティを感じました。そこにつながる藤田とのシーンでは可愛らしさを感じる表情が多かったし、それらを経た現在のシーンではどちらかといえば無表情に近い感じで、彼女の人生を垣間見た感じです。キャラクターの背景がよく理解できる芝居をしていると思います。

大山に貴方がアバランチかと正面から言われ、大山という存在に緊張しているのにまったく声を震わせずに話せていたのが印象的でした。出し抜けないことはわかって始めたということかなと守山の覚悟が見えた気がします。

警視庁の地下では気弱そうで不安そうで頼りがいもなく見えたのに、西城に車の運転を指示したりアバランチのメンバーと話したりしているときはやり手の指揮官に見えました。その変化が"左遷されたエリート"という役どころをとてもよく表現していたと思います。